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43 ミートアンドフィッシュ

43話目です。今回予告通りに中ボス戦なのですが、どうにか1話分に引き延ばそうとやってみました。主人公たちが全力でやったら瞬殺で終わっちゃうと思うんだよなあ。それではこの前書きに瞬殺で終わった場合を書いておきます。本編と比べてお楽しみください



―――――光が収まるとそこには魔物が立っていた


「【カゲアソビ・針山】」


「【豪爆炎】」


 開幕即行での俺たちの攻撃が終わると、魔物はこちらに仕掛けることなくその場に倒れ伏していた。なんだ、随分とあっさり終わっちゃったな・・・—————



 では、本編開始です

 魚に襲われた3階を抜け、階段を上り4階へとやってきた。1階と2階が迷路という仕組みになっていたので3階に続き4階も水のゾーンなのかと思っていたがそうではないらしく、4階は一本の通路とその先にある大きな扉のみのようだ


「これあれだよな。ボスが出てくるところ」


「そうですね。階層的にボスといっても中ボスでしょうけど」


「ふむ、扉の装飾の出来はワタシの方が勝っているな」


 あ、気にするところそこなんだ


「ボス部屋の扉ならもう少し威圧感のある飾りにしてもいいのではないか?これでは中にいる敵の程度も知れるな。・・・いや、まさかそうやって挑戦者をミスリードさせているのだとしたら?・・このダンジョン、なかなかやるではないか!!」


 たぶんそんなことまで考えて扉は作られていないだろうなあ。まあ、そんなことを言って一人テンションが上がっているカゲロウに水を差すのもなんだし、さっさとボスに挑もうか


 ・・・それにしてもこの扉、無駄にでかいよな。押しても開かなかったらどうしよう。とりあえず押してみよう。開かなかったら・・・壊すか!


 このでかい扉が開くのか心配だったがどうやらそれは杞憂だったようで、俺が扉を押すとそこまで力も入れていないのに簡単に開いた。なるほど、ちゃんとそういう仕様になっているんだな


 扉の中の部屋は思いのほか広い作りになっていて、存分に動きながら戦えそうだ。が、魔物の姿はどこにも見当たらない。これはあれかな?一定以上進んで行かないと現れないっていう仕組みなのかな?


「よし、奥へ進むぞ」


「ちょっと緊張してきました・・・。"人"って書いて呑み込んでおかないと・・・」


 確かにこう"ボス戦"ってなると少し緊張してくるな。そういえば何で緊張した時は掌に"人"って書いて呑み込むのだろうか?ちょっと気になるが、今はボス戦に意識を向けないと



 

 ボス部屋の中に入り中央に向かい歩いていくと、先程予想した通りに中央付近を中心に魔法陣が光を放ちながら現れ、その光が収まるとそこには2メートル近くありそうな体をした2体の魔物が立っていた


 『【ゴズメズ】【アクル】が現れました』


 あー、ホントだ。2本足で立つ2体のガタイのいい魔物は牛のような見た目と馬のような見た目をしている。こいつらが牛頭馬頭ゴズメズで間違いないだろう。というか何でコイツら手にでかい魚なんて持っているの!?あれか、今までの階層で肉と魚が出てきたからか!?いくら何でも無理やり過ぎない!?まずその魚何に使うんだよ!!武器か!?


 あとそういえば【アクル】ってどこにいるんだ?まさか透過能力持ちで姿が見えなくなっているとか!?それだったらちょっと面倒くさいな


 俺は魔眼でアクルとやらがどこにいるのかを"視る"。そして発見したアクルとは・・・・・ゴズメズが持っている魚だった


「お前かいっ!!」


「うわっ!マスターいきなり叫ばないでください。ビックリしました!」


「あ、ああ。悪かった」


「何かあったんですか?」


「いやな、あの魚いるだろ?アイツの名前が【アクル】だったんだよ」


「魚のことだったんですか!?」


 うん、やっぱり驚くよね。おっと、こんなことしている場合じゃない。このボスたちを倒さないと


「ミカヅキ、俺はこっちの馬をやるから、お前はそっちの牛の方を頼む」


「了解です」 


 俺たちは二手に分かれ馬と牛にそれぞれ駆けていく。さて、こいつらは見た目的にスピードよりパワーで勝負してきそうだがどうだろうか。スピードもパワーもあるのは面倒なんだが・・・


「Hihiiiiiiiinnn!!!」


 馬が鳴き、俺に向かって手に持っているでかい魚を振り下ろす。よかった、スピードがあるタイプではなさそうだな。俺は横へ移動し攻撃を回避する


 —————ダアアァァン!!!


 馬が地面を叩きつけると大きな音と共に振動が走る。思っていたよりパワーがあるらしく、若干衝撃の余波を食らってしまった。大した問題は無いんだが、今のを直撃するのはなるべく避けたいな。というかあの魚、絶対今の痛かっただろうなあ


 俺はひとまず馬の攻撃の範囲から脱するため後ろに下がった。さて、ここは一気に接近して斬ってしまうか。そう考えていると、馬が何やら手に持っていた魚を抱えるように持ち替えた


 —————パシュンッ!!


 するとこちらに向いた魚の口から水の弾が発射された。なっ!?その魚遠距離もいけるタイプの奴ですか!?驚きはしたものの反応できないスピードではなかったので回避する。いやしかし、遠近両用とは厄介な武器だな


 その後も馬は水弾を撃ってくるが、どうやら連射ができるわけではないようだ。うまくその間をついて接近するか・・・っ!?とその時、後方から水弾が飛んできた。咄嗟に横にずれてこれを回避。どうやら向こうで闘っているミカヅキと牛の流れ弾が飛んできたらしい


「あなたの相手は、私ですっ!!」


 ミカヅキが牛に向かって蹴りを入れる。牛は魚を使いこれをガードするが、勢いを殺せずぶっ飛んで行った。あっちも盛り上がってるねえ。じゃあ俺も攻めていきますか!!


 水弾を避けた直後に馬へ向かって突っ込んでいく。馬の真正面に来たところで奴の腕から厄介な武器である魚を叩き落とす。武器を落としたものの、馬は気にせず素手で殴りかかってきたのでこれを小さく横にずれて回避。うん、武器が無いから攻撃範囲も小さくなってる。さすがに空中を殴って衝撃波を生み出すとかそんなことはできないようだ


 一撃重視なタイプの奴は今の攻撃で隙だらけとなっている。俺はその馬の顔面に掌底打ちし、顎先を強制的に上へ向けた。そして大きく開いた首へと瞬時に【カゲアソビ】で作り出した【短刀】を繰り出す。怯んで防御もままならない馬はそのまま胴体と頭を斬り離された


 よし、こっちは終了。ミカヅキの方はどうなっただろう。先程ミカヅキに蹴られて牛が飛んで行った方向に目を向けると、愛刀の【月見酒】を持つミカヅキ。その先には綺麗に胴体が真っ二つになった牛がいた


「お疲れミカヅキ」


「あ、マスター終わっていたんですね」


「いや、俺も今ちょうど終わったとこ――――」


 ————————ビーーーーーーーーーッ!!!!


 突然警報のような音が鳴り響く。どう聞いてもボス戦クリアを祝福するような音ではない。じゃあ、いったい何なんだこれの音は!?


 すると壁や天井のいたるところから大量の水が流れ出してきた。水だと!?部屋が水没するトラップでも仕掛けてあったのか!?どんどん水かさが増していく部屋を見渡していると先程ゴズとメズが使用していた武器である魚の姿が目に入った。その魚は先程とは様子が違い、眼の部分が赤く光っていた


「まさか、あの魚か!?あの魚って武器じゃないのかよ!?」


「宿主よ、あの武器魚は【アクル】と表示されたのであろう?なら、あれも単なる武器ではなく魔物ではないのか?」


 くそっ、そういうことか!ということはこのボス戦、ボスを倒す順番を間違えると難易度が上がるっていう仕組みになっているのか!!


 その間にも水かさはかなりの勢いで増えていき、部屋の3分の2近くまで浸水した。ミカヅキの方も魚は倒していなかったらしく、先程まで地面に投げ捨てられたように落ちていた魚2匹は、まさしく"水を得た魚"と言った風に水中を泳ぎまくっていた


 そろそろ部屋が完全に浸水しそうになった時、魚2匹からの攻撃が始まった。奴らは水中生物らしくかなりのスピードをもってこちらにぶつかってくる。ヒレの部分が刃物のように鋭くなっているようでまともに当たるのは危険だ。一方こちらは水中戦の経験は無いうえに、陸上と違って動きも鈍くなるためまともに戦うのもなかなか難しい


 影による刺突攻撃も試み、数発当たりはしたものの致命傷には至らなかったようで、今度は遠距離からの水中水弾攻撃に切り替えられた


 やばいな、このままじゃジリ貧だ。呼吸もいつまでもつかわからないし・・・。すると、隣にいたミカヅキに肩を叩かれた


「ばぶばー、ばばびばばびばびべばぶばぼばぼびば、ゴボオ、———ゴクン、ぶ」


 どうしよう、ミカヅキが何を言っているのかさっぱりわからないや。あと最後の方で喋りながら水飲んじゃってたよね。まあ、何か策がありそうなのでここはミカヅキに任せよう。俺はミカヅキにサムズアップを送る。ミカヅキも"了承を得た"とばかりにサムズアップを返す


 さて、ミカヅキはいったい何をするのか。隣にいるミカヅキを見ていると、不意に肌に刺激を感じた。それはまるで静電気のような・・・。ん?静電気・・?まさかミカヅキお前っ!!


 その瞬間、ミカヅキの身体から電流が迸る。水は電気を伝えやすいので、ミカヅキが放った強烈な電流は水で満たされたこの部屋の隅々まで広がった。遠距離から水弾を撃ってきていた魚2匹は電流にやられて感電死したようで、水面へと上昇していった


 それだけならもちろんよかったのだが、俺にも電流の影響は伝わった。死にはしなかったものの電気風呂よりも強烈な痛みが身体中を駆け抜けていった。これマンガとかだったらアフロになっているんじゃないの!?


 魚2匹を倒したことによりボス部屋の水は抜けていき、俺たちはやっと地面に足を付けることができた


「ミカヅキお前っ、死ぬかと思ったぞ!?」


「え、でもマスターに"私が雷で奴らを倒します"って言ったらサムズアップで了承してくれたじゃないですか」


 さっきのは雷撃ちますって言っていたのかー!!全然わからなかった!!まあ、俺も適当に了承しちゃったし、結果魚も倒せたんだからよかったのか・・・。体はまだ若干痺れているような感じがするが・・・


 とにかくこの階もなんとかクリアできた。よし、次の階に行くか!いや、やっぱり休憩しよう。今日はもう疲れたぜ・・・



はい、ということで肉と魚が共闘してきました。思ったのですが、このダンジョン編中の次回予告って次話のネタバレになってしまってますよね。ということで、次回予告の内容を"ふわっ"とさせてみようと思います


次回、"緑"・・・ですね。

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