表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/102

41 見た目と中身

41話目です。やっと今話からダンジョンに入ります。遂に"ダンジョン編"とか言っても問題なくなりました。ふはははは、予告ブレイカー君は帰りたまえ!!!

 俺は新しく作ったダンジョンの扉を開ける。装飾とかのせいもあってなかなかに重厚そうな見た目の扉だが、思いの他すんなりと開いた。ダンジョンの一部となって、そういう開きやすいような仕組みにでもなったのだろうか


 それはともかく、遂に俺たちはダンジョンの中へと入った。前回初見で食らったトラウマ事件の時は、扉の前にいただけで中には入ってなかったからな・・・。入る気にもならなかったが


「なんだか迷路みたいな感じですね」


「そうだな。"デパート"っていうイメージが頭の中にあるからすごい違和感しかないけどな」


 中はゲームなんかのダンジョンらしく迷路のような仕組みとなってるようだ。まあ普通に全体を見渡せたら楽そうだしな。元がデパートの為か、ダンジョンといっても洞窟のような作りにはなっていない。あと、電気がついているので明るい。別に真っ暗でも"暗視"があるので問題は無いんだがな!


「マスター、この迷路、どうやって進みましょうか・・・」


 そうだな・・・。一般的な迷路で確実にゴールする方法というのに、左右どちらかの壁をずっと触れながら進む・・・というのがあるが、さすがに迷宮でやったらダメだろう。トラップに引っかかって穴に落ちたりとか、鉄球に追われたりとか、毒沼にはまったりとか・・・。あれ?もしかしてこれフラグ建てちゃった?


「とりあえず、何となくで進んでみよう」


「かなり適当だな宿主」


 それしか思いつかないから仕方がない





 ダンジョンに入ってから少し進んだが何もない。正解なのかすらわからないから不安で仕方がないな


「そういえば、まだ魔物に遭遇してませんね」


「そういえば、魔物もいるんだったな・・・」


「どうします?あそこの角から突然出てきたりしたら・・・」



「フッフッフ、その心配には及ばんよ。俺の魔眼の能力、"透視"を使えば壁の向こうに魔物がいるかなんて――――――」


『【カト】が現れました』


 ・・・タイミング悪っ!!??


「魔眼が・・・なんでしたっけ?」


「の、能力使う前に出てきちゃったんだからしょうがないだろ!?」


 狙ったようなタイミングで出てきたその魔物は、ヒツジのような見た目をしていた。子羊とかデフォルメしたようなカワイイやつではなく、成体の何の可愛げもないやつが出てきた。ちなみに奴は二足歩行をしていて、片方の手には中華包丁みたいなのを持っているんだが・・・。ねえ、なんで血が滴っているのかな?



「マスター、あの羊少しおかしくないですか?」


「どこが?いや確かにいろいろとおかしいが・・・」


「そうじゃなくて、ほらあの頭についている耳とか、尻尾とか・・・」


 ・・・本当だ。血の滴る包丁の衝撃で気が付かなかったが、よく見れば耳や尻尾は羊のものとは違う。というか、あれはたぶん


「犬のやつ・・・だよな?」


「ですよねえ・・・」


「・・・あ、宿主よ、ワタシはああいうのをなんと言うのか知っているぞ」


「なんだ?」


「"羊頭狗肉"」


 それはなんというか・・・うん、言いたいことはわからんでもないな。とかそんな会話をしていると、向こうもこちらに気が付いたようで、俺たちに向かって走り出した


「MEEEEEEEEEE!!!!!!」


 あ、鳴き声は羊の方なんだな。そんな羊モドキがこちらに向かって走り出す。ってか速い!?そこそこあった奴との距離がかなりのスピードで縮まっていく。走るスピードは犬なのかよ!!


 奴の速さには驚いたが、だからといってそんなに慌てるようなことでもない。俺は身体の周りから先端を鋭く尖らせた影を出現させ、羊モドキに放つ


 ———————ドスドスドスドスドスッ!!!!


 いくつもの影が羊モドキの体を貫く。羊モドキはこちらに攻撃を仕掛けることなく地に伏し動かなくなった


「よし、オッケー」


「あれ?マスターいつもみたいに地面からの刺突じゃないんですね」


「まあね。なんか自分の体からオーラみたいな感じで出した方がカッコイイじゃん?ミカヅキも炎とかの魔法使うときにオーラみたいなのやってみたら?」


「いえ、遠慮しておきます」


 思いも別ですか。と、今さっき倒した羊モドキの体が突然光の粒子となって消えていった。その後には奴が持っていた包丁と肉・・・のようなものが置いてある。おー!なんかゲームみたいなシステムだな!!ではドロップしたアイテムを見てみようか


 えっと、ドロップしたのはここにある奴が使っていた中華包丁のようなものと、たぶん奴のであろう謎の肉か。これをちょっと鑑定してみよう


-------------------------------------------------------


【中華包丁】・・・カトの使用していた中華包丁。そこそこ切れる


【カト肉】・・・カトの肉。元の見た目と違い羊肉の味はしない。


--------------------------------------------------------


 あ、羊肉じゃないんだ。じゃあやっぱり犬の方か?それだと本当に羊頭狗肉になるじゃねーか!!


「ふう、アイテムも回収したわけだし進んで行こうか」


「このまま真っすぐ行くか、先程の羊が出てきたところに行ってみるか・・・。どうするのだ?」


「そうだな・・。曲がってみるか!」


 俺たちは先程の羊が出てきた角を曲がる。どうやらこの先には敵はいないようだ。今度こそ魔眼の能力を使って確認したので大丈夫!


 先行して俺が先に角を曲がる。が、残念ながらそこは行き止まりのようで続く道は無いようだった。それだけならよかったんだが・・・。地面には刃物が刺さったような跡、何かが抵抗したような跡、そして壁にはいかにも新鮮そうな・・・アレは腸詰かな・・・?とにかく回れ右をして戻った


「あれ?どうしたんですマスター?」


「いやあ、この先行き止まりだったんだけど、ちょっと見た光景のインパクトが強くて・・・」


「何かあったんですか?」


 そう言いながらミカヅキは角を曲がる。"あっ"と思ったが間に合わず、4秒ほど経ってから回れ右をして戻ってきた


「なるほど・・・。では、先に進みましょうか」


 俺たちがその場を速足で通過したのは言うまでもない





 その後も俺たちはいろいろ迷ったり、羊モドキと戦いながら進み、遂に上へと上がる階段らしきものを見つけた






「これで、次の階に上がれるんですかね?」


「そうみたいだな。よし、行こうか!」


 俺たちは階段を上り、次の階へと進む。上り切った先は・・・また迷路でした


「またかよっ!!」


「しかも見てくださいマスター。あの遠くの方にいるのって・・・あの羊モドキですよね」


 またかよっ!!お前らこの階層にもいるのかよ!!まさかこのダンジョンの階層全部にアイツらいるっていうパターンじゃないよな!?


「とにかく進むしかないのだろう?ワタシとしては肉が出てくるだけ嬉しいのだがな」


「そうだな。じゃあこの階も頑張っていこうか」


そう言って俺たちはこの迷路を抜けるために進んで行った。この階の羊モドキたちはさっきの階の奴らとは違って集団行動をとるらしく、少なくても2匹、多い場合だと4匹くらいで行動していた。階が上がって難易度も上昇したということだろうか。まあ俺たちにとっては2匹も4匹もたいして変わらないので襲ってくる奴らは遠慮なく屠っていった


 しばらく進んだあと、俺たちはちょっとした広場のようなところに出た。そしてそこには15匹もの羊モドキたち。今までで一番数が多い。続く通路は集団羊モドキたちの後ろで、それ以外の道は無い。とはいっても苦戦するということは無いだろう


 さて、さっさと片付けて進もうかな。そう思ったその時、奴らがこちらに向かって走り出した。こちらに向かって突進でもしてくるのかと思ったが、奴らは俺たちの5メートル近くまで来ると急に進路を変え、こちらの周りをグルグルと回り出した


 何をしているんだ?分身とかそういうのなら本体がどれだか特定されないように周辺を回る・・・というのはわからなくもないが、アイツら全部本物だしなあ。攻撃を仕掛けてくるでもなくただただ回っている奴らに一応の警戒をし続け、そろそろ面倒くさくなってきたので"やっちまうか"と思ったとき、ほんの一瞬体に違和感を感じすぐに消えた


『【スリープ】が無効化されました』


 なるほど、一瞬違和感を感じたのはスリープがかけられたためだったというわけか!目の前を目視できるような速さでグルグル回る羊、そしてスリープ・・・。はっ!まさかこいつら"羊が1匹~、羊が2匹~"とかそういうネタなのか!?てか何で魔物がこれ知ってんだよ!?


「うん、もう面倒くさいからやっちゃおう。ミカヅキ、そっち側半分よろしく」


「わかりました」


 いまだにグルグルと回り続けている羊モドキたち。こいつら俺たちが寝るまで回り続けるつもりかな?まあとにかく


「お前らが永遠にお休みだっ!!」


 俺の影が地面から針のように出現し、ピンポイントで奴らを貫く。ミカヅキの方も風の刃で奴らの首と胴体を切り分けていた


「よし、あとはドロップアイテムを回収して終わりだな」


 出てくるアイテムは包丁や肉だ。最初の奴が持っていたのは中華包丁だったのだが、個体によって持っている包丁は様々で、"こいつら種族で料理人とかしてんのかな"とか思った。そのおかげでいろんな種類の包丁が結構集まった。別に使い道は無いんだが・・・


「おっ?」


「どうしたカゲロウ?」


「いや、この肉他の物と違う気がするのだが・・・」


「へえ、そんなこともわかるのか」


「さっきからちょくちょくと齧っていたからな。少し違う気がしたのだ」


 おい、つまみ食いしてんじゃねーよ!!で、この肉がなんか違うんだったっけか。視てみよう


--------------------------------------------------------


【カト肉】・・・カトの肉。珍しい羊肉味


--------------------------------------------------------


「よ、羊肉味だと!?」


「珍しいのか?」


「たぶん結構珍しいんじゃないか?」


「よし、ならばそれをもっと探すぞ!!」


 俺たちは外見と中身の味が一致した肉を求め、羊モドキ狩りをした。散々苦労した末に入手できたのは1つだけだったが・・・。そしてその後、上の階へと続く階段へとたどり着いたのだった



はい、というわけで"羊頭狗肉"って言いたかっただけのダンジョン回でした。羊肉って食べたことがあるかは記憶にないんですが、一度食べた山羊肉は臭みが強すぎて僕はダメだったことは覚えています


次回、肉の次は魚かなあ・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ