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39 UMA

39話目です。今話(と、すみません次話もです)のシーン、前話を書いている途中に思いついたんですよね。ダンジョン壊したのに住人から何も言われないっていうのはおかしいだろう・・・と。というわけで、本当にすみませんが、まだダンジョンに入ってません。(おい誰だよ"ダンジョン編"とか言ったやつ!!)

 ダンジョン受付所は多くの人でごった返していた。昨日ここで鳴いていたであろう閑古鳥はきっと焼き鳥にでもされて食べられてしまったに違いない。それにしてもなぜこんなに人が・・・。やっぱり昨日のダンジョンのことだろうか


『おい!!ダンジョンに何かあったのか!?』


『昨日見えた黒い巨人は何なんだ!!』


『あれはUMAユー・エム・エーの仕業なんだろ!?くううぅぅ!!やっぱり存在すると信じてたよ!!』


 建物内の喧騒からいろんな声が聞こえてくる。一様に言えるのはどれも昨日の不可思議現象に若干でも恐れを抱いているような雰囲気があるということだろうか。UMA好きの例外を除き・・・。やはり、自分たちの住む町で、原因の特定しきれない"何か"があるというのは大きな不安要素となるのだろう。UMA好きの例外を除き・・・


「なあ、ここは何も知らぬふりをして素通りするのが一番だと思うんだが・・・」


「そうですね・・。それが一番だと思います」


「ああ、ワタシもそう思う」


 みんなの意見も同じということで抜き足差し足忍び足でその場を過ぎようとしたその時


「あれ?アライ君?」


 突然後方から声を掛けられた。やべえ、見つかったか!?と思い、声のした方を振り向くと、そこにはストールさんがこちらに向かって手を振っていた


「やっぱりアライ君だったか。昨日ぶりだね」


「どうもストールさん。どうしてここに?」


「いやね、昨日このダンジョンに何かあったみたいでね。町の人たちも集まっているし、ぼくもちょっと気になってね。巨人だなんだとか言っているみたいだけれど・・・アライ君も昨日何か見たかい?」


 ここで俺に振ってくるのかー!!まいったな、ここは気軽に"あ、それ昨日俺たちがやったんですよ。まさかこんな騒ぎになるとはね。HAHAHA!!"とでも言うか、適当に誤魔化すか・・・。うん、誤魔化そう!!


「あははは、そうですねえ~。昨日は俺たちダンジョンに潜らなかったんで、今日来てみたんですけど・・・」


「ああ、そうだったね。君たちはダンジョンに挑戦しに来たんだったね。ああ、でもこの人だかりが・・・」 


「ええ、そうなんですよね・・・」


 よっし、なんとか誤魔化せたぜ!!今回の誤魔化しポイントは"昨日は俺たちダンジョンに潜らなかったんで"というところだ。嘘はついていないが相手のとらえ方よって、昨日俺たちは"ダンジョンに何かあったことを知らない"と勘違いしてくれる。・・・はずだ!今回は、まあうまくいったのだろう


「とりあえず、何とかダンジョンに入ってきますよ。それでは」


「ああ、気を付けて!!」


 ストールさんと別れた俺たちは人の密集地帯をかき分けてダンジョンへと向かう。建物内に入ると、外にいた時よりも喧噪が大きく聞こえてくる


『いい加減があったのか教えろよ!!』


『ダンジョンに何があったんだよ!!』


『やっぱりUMAユー・エム・エーなんでしょ!?そうなんでしょ!?』


 おい誰か一回UMAの奴を外に出せよ!!アイツの声大きいし、内容が異彩を放ち過ぎてすごい目立だっているんだけど!!


「みなさん、落ち着いて下さい!!一旦落ち着いて!!」


 エリメラさんは受付嬢としての仕事をしっかりと果たしているようだ。といってもこの受付所、エリメラさん一人しかいないからエリメラさん以外どうしようもないんだけどね。でも俺たちにはどうすることもできない!!すまないが何とか頑張ってくれ!!健闘を祈る!!


「みなさんっ、落ち着いて、落ち着いてっ!!・・・あら?もしかしてそこにいるのはアライ君?ちょっとー!!アライ君!!」


 やべえ!!見つかった!!今度のはストールさんとは比べ物にならないくらいマズイぞ!!今ならまだ間に合うか!?素早くコソコソと行くぞ!!


「あっ!?ちょっ、アライ君!?おい待て逃げるなそこの黒髪!!」


 そんな個人を特定できるようなことを言われてしまえばもうお終いだ。今までガヤガヤしていた人たちがエリメラさんの声につられ一斉に俺の方を見る。何十もの視線を一気に浴びるというのは結構怖い


「ちょっとアライ君。あなた今逃げようとしてたでしょ?」


 エリメラさんが俺の目の前までやってきてものすごく疑い深い目で見てくる


「え?何のことですかね~・・・?」


 とりあえず精一杯誤魔化す


「ちょっとちょっと、管理者さん?まだ話の途中ですよ!」


 と、ここで俺の全く知らない太ったおじさんが出てきた。というか、エリメラさんって受付嬢だけじゃなく管理者もやっていたんだな。あ、一人だからか


「すいません、事情を知っているもの・・・というより当事者がいたものですから」


「当事者?そこの人が・・・ですかな?」


「はい、そうですね」


 あ、この人さらりと俺に全部押し付けた!!確かに昨日いろいろとやったのは俺だけど、このままじゃさっきのエリメラさんみたいに今度は俺が面倒くさい質問攻めにあうじゃないか!!"何てことを!!"という意思を込めてエリメラさんを見ると、"昨日の仕返し!!"と言わんばかりにこちらを横目で見ながらニィッと笑っていた


「ふむふむ。そこのあなた」


 俺のことかな?俺のことだね。おじさん明らかに俺の方を向いて言っているもんね。はぁ~、何を言われるんだろうか・・・


「あなたが昨日の異変の原因だというのは本当ですかな?」


「・・・まあ、そうですね」


 俺がそう言った瞬間、周りにいる人たちがざわめきだした 


「ではあなた、少し詳しいことをっ!?」


 おじさんが俺に質問しようとしたその時、何者かが人込みをかき分け俺の目の前に迫ってきた


「き、きみ!!きみが昨日の出来事の原因というのは本当かい!?」


「はい、そうですけど・・・」


「と、ということはあの黒い巨人のUMAユー・エム・エーについても知っているんだよね!?」


 あ、この人あれか。さっきからやたら声の大きかったただのUMA好きの人か


「い、いいえ。あれは別にUMAとかじゃなくて・・・」


「おーう!!それはつまり教えられないということかい!!」


「いや別にそういうことじゃなくて」


「それでもだっ!!少しだけ、少しだけでもいいから教えてくれないかなっ!!」


「だから教えるも何も・・・」


「頼むよぉ!!UMAユー・エム・エーはわたしの憧れであり、そして世界の神秘でもあるのだよっ!!だから、ねぇ。お願いだっ!!」


 この人ホントに人の話聞かないな!!


「ううむ、どうすれば教えてくれるんだい。お金かい?・・・はっ!それとも身体かい!?君のことを"ご主人様"とか呼んじゃったらいいのかい!?」


 訂正、コイツはどうやらUMA好きで変態のようだ。どんだけUMAの情報欲しいんだよ・・・。必死過ぎて怖いよ。助けを求めてミカヅキを見たが、ものすごくドン引きしながら顔が引き攣っていて、こちらに気が付いてすらいないようだ。エリメラさんも同じような状態だ


 どうしよう、ただでさえ異変の原因が俺だとバレたという面倒くさい状況下だというのに、よくわからない変態につかまってより面倒くさい方へと向かっている。ミカヅキも、エリメラさんも使い物にならない・・・。誰か助けてー!!


「あの、元の話からだいぶズレているようですし、いったんこの話は終わりにしませんか?」


 俺がそう心で叫んだ時、不意に人込みから声がかかる。こ、この声はまさか、ストールさん!?


「はっ!!そうだな。おい誰か!!この変態を連れていけ!!」


「あ、ああ!!まだわたしは何も聞き出せてっ!!きみー!!絶対にまた聞きに行くからねぇー!!」


 おじさんの指示により、UMA好きの変態は連れていかれた。ぜひとも今後二度と会いたくないものだがな


「いやあ、アライ君。何やらおかしな状況になっているようだったから声をかけてしまったんだが、大丈夫だったかい?」


「ストールさん!!はい、もう、とても助かりました。ありがとうございます!!」


「あはは、問題が無かったならいいんだ」


 ストールさん、何ていい人なんだ!!


「さて、では気を取り直して。あなたが異変の原因ということですが、詳しいことを聞かせてもらえますかな?」


 そういえば、面倒ごとはまだ終わりじゃなかったんだった・・・



はい、というわけでUMA好きなやつが出てくるお話しでした。いや~、あの人のところだけ無駄にサクッと書けたなぁ。・・・こんなやつ書いているから、ダンジョンに入るのが長引くんでしょうね・・・。


次回、最後の方でちょっぴりダンジョンに入れるかも!!

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