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38 混ぜたら危険

38話目です。前回の予告『次回、気絶したお姉さんが起きる!!』って・・・。いや適当すぎでしょ!?いくら予告ブレイカー君を呼び出したくないからってそんな予告されても!!逆に受付のお姉さん、このまま起きなかったりするの!?


と、一人で突っ込んでいました。でも前回の予告を書き換えたりなんかしないっ!!

 ダンジョンは影に包まれたまま、ミカヅキが作ったであろう巨大な穴にすっぽりと入っていた。いや~、軽く"ダンジョン入るくらいの穴作ってね!"とか言っちゃったけど、これ相当大変だったんじゃないかな・・・。うん、ミカヅキを丁寧に扱おう


「マスター、この人どうします?」


 ミカヅキはいまだ気絶中のお姉さんを指す。どうしよう、このお姉さん・・・。無理やり起こすか・・・?いや、


「そのまま放置で」


 お姉さんを放置したまま俺は駆除作業最後の仕上げに取り掛かる。ダンジョン内にいる"G"共をどうやって全滅させようか・・・・。あ、というかこのままだとダンジョンの中にいる奴らに攻撃って当たらないんじゃ・・・。ダンジョンに直接穴でも開けておくか


 ――――――――ダン、ダン、ダン、ダン、ダン、ダン、ダンッ!!


 よし、これで穴は開いただろう。さてどうやって攻めかかるか・・・。ここはやっぱり、水攻めでいってみるかな?


「よしカゲロウ、"暴水"!!」


 影に包まれたダンジョンに大量の水が勢いよく流れ込む。さすがに奴らでも水中で生きてられるということは無いだろう。でもなあ、何か不安なんだよな。ずっととは言わずとも、一日、二日くらい生きていそうな気がするんだよな。そんなに長期間影を維持するのはさすがにきついし、ダンジョンにも入るから戦闘にも集中したいんだよね。何か手っ取り早く全滅させられないかな・・・?


「マスター、それ普通の水ですよね?」


「うん?そうだけど、どうかした?」


「いえ、水よりは熱湯を使うとか、炎で焼いちゃうとかの方がよくないですかね?」


 なるほど、その手があったか!!確かに水で攻めるよりは、熱を使った方が素早く駆除できそうだ。早速やってみよう!!


「じゃあカゲロウ、"豪爆炎"!ダンジョンがあのサイズだからちょっと強力なやつで!!」

 

 今度は超高温の炎が影に包まれたダンジョンを襲う


「あ、そうだ宿主―――――」


 ―――――――ズドゴオオオォォォン!!!!!!


カゲロウが俺に何かを言おうとした瞬間、ものすごい爆発音が今さっき炎をぶち込んだダンジョンから聞こえ、それに伴う地響きが起こった


「水に超高温の炎を入れたら水蒸気爆発が起こるぞ・・・と言いたかったんだが」


 それは是非とも炎を入れる前に言ってほしかったな!!入れた後じゃどうにもならないだろ!!


「うわああああああああ!!!???」


 うおっ!?ビックリした!!いきなり大声で叫ばれると心臓に悪いなあ。どうやら今の爆発音と振動で気絶していたお姉さんが起きたようだ


「おはようございます。大丈夫ですか?」


 俺がお姉さんに近づき話しかけると、お姉さんは必死な様子で俺の腕に掴みかかってきた


「空っ、飛んでっ、投げられてっ、地面に、落ちっ落ちっ!!」


 あー、これだいぶパニックになっているな。たぶん投げられた直後くらいに気絶して、そこからの記憶と混濁しているんだろう


「とりあえず落ち着いてください。深呼吸、深呼吸。はい吸って―、吐いて―、吸ってー、吐いて―」


「すー、はー、すー、はー・・・。あら?今わたし地面にいる。空をとんでない!生きている!!助かった!!」


 お、ちゃんと正気を取り戻せたみたいだな。さすが深呼吸


「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃなかったわよ!!死ぬかと思ったわよ!!トラウマものよアレ!?」


「ホントにすみませんでした。俺も、ミカヅキが助けてくれなきゃ死ぬところでしたよ・・・」


「ミカヅキ・・・?ああ、あの子?」


 お姉さんは座ったまま周りを見渡し、ダンジョンがが入っている穴を恐る恐る覗いているミカヅキを見てそう言った


「そういえば、こんなに巻き込まれているのにあなたたちの名前も知らなかったわ。わたしはエリメラ。あなたは?」


「俺はアライって言います。よろしくお願いします」


「ええ、もうずいぶんよろしくされている気がするけどね・・・。それで、えっと、作業?はどうなったの?」


「一応大方終わりましたよ。あ、でも確認がまだなので行きましょうか」


 俺たちはいまだ穴の中を覗き込んでいるミカヅキの横へと並ぶ。ダンジョンを包んでいる影には爆発で破れたようなところは見えず、中のダンジョンがどうなっているのかはわからない


「さて、どうなっているかな・・?」


 俺はダンジョンを包んでいる影を取り払う。中からは壁のいたるところが穴だらけになったダンジョンだった。すげえ、水蒸気爆発ってとんでもない威力・・・・違う、これ爆発前に俺が開けた穴だ。仕切り直しまして、さあ!奴らはどうなったかな?


「おっ!反応なし。完全駆除成功だな!!」


「おお!やりましたねマスター!!」


 後はダンジョンを穴ごと埋めて・・・はい、これで完了!!こんなにでっかい穴をすぐに埋められるんだから魔法って便利だよねえ。よし、これで何の問題もなくダンジョンに挑むことができる。・・・できる、が


「よーし、今日は終了!どっか宿でもとって休むぞー!!」


「あら?あなたたちダンジョンに挑戦するんじゃ・・・?」


「すいません、疲れました。もう今日は無理です」


 俺の横でミカヅキも肯定の意を込めて首を縦に振る。ミカヅキは長時間の飛行や穴を掘ったことで、俺は巨人や巨大な刀を作ったり、ジェット噴射や水蒸気爆発で結構な力を使った。ちなみにだが、俺は魔法を使うことができないためカゲロウに頼んでいるが、消費されるのは俺のMPのためガンガン削られた。やっぱり未知なるところへの挑戦は万全の状態でかからないといけないよね


「ということで、町に戻りましょう」




 町に戻った俺たちはエリメラさんと別れ、夕食を食べ、安くて済む宿を探してとった。そろそろ財布事情がやばいな。ダンジョンで何か金になりそうなものがあればいいんだが・・・。


 そういえば、今日俺たちがいろいろとやったダンジョンのことが町で噂になっていた


 『ダンジョンのところに黒い巨人が現れた』とか『ダンジョンが縮んだ』とか『黒い得体の知れないものが町の外に飛んで行った』とか『あれはきっとUMAユー・エム・エー』とか


 UMAどこから湧いてきた!?まあUMA以外は正解だし、別に隠そうともしていなかったので噂になるのは仕方がないだろうな。あ、もしかしたら明日野次馬とかでダンジョン混んでたりしないかな?やっちゃったなあ・・・


 あと、ミカヅキを丁寧に扱おうと思ったが、何をしたらいいのかわからなかったので、取り敢えず夕飯の俺の肉をあげてみたり、宿の部屋を開けて先に中に通してあげたり、部屋の中にあった簡素なベッドをそれっぽい感じでベッドメイキングしてみたところ


『あの、マスターの気遣いは嬉しいのですが、何か気持ち悪いのでいつも通りに戻ってくれませんか?』


 と言われた。ちょっと悲しくなったぞ・・・。することも無くなったので、今日はもう寝ることとしよう。明日からダンジョンに入るんだしな


「それじゃあ、お休みミカヅキ」


「はい、お休みなさいマスター」


 そうして俺たちは眠りについた



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 朝だ。日差しが目に刺さる。こんな日は・・・いやこんな日でなくとも二度寝したくなるが、そうはいかない


「あ、マスター。おはようございま・・ふぁあ~・・」


 ミカヅキもあくびをしながら起きた。さてさて今日はダンジョンに初挑戦しに行く日だ。俺たちは準備をし、朝食を済ませ、昨日と同じくダンジョン受付所に向かう。が、ここで予想外のこと・・ではなく昨日俺が予想したことが的中することとなった


 先日は誰もいないほど閑散としていたダンジョン受付所に、多くの人が押し寄せてきていたのだった



はい、ということで駆除作業終了。そして今回でもダンジョンに入らない・・。このままダンジョンに入らないんじゃ・・・。いえ!そんなことは無いです!!そろそろ入ります!!


次回、町の住民たちが押し掛ける!!

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