37 空中飛行
37話目です。
予告ブレイカー「フハハハハ!!我、参上っ!!前回の予告なんぞへし折ってくれるわ!!」
ぐああああ!!くそう、予告ブレイカー君のせいで今回でも終わらなかった!!いったい何時になったら主人公たちはダンジョンに入れるんだあ!!
思いっきりハンマーでダンジョンを叩いたけど、一応影で包んでいるから壊れないだろう。中身は寄り弁みたいにぐっちゃぐちゃになっているかもしれないが・・・
――――――ズズゥン!!
取り残された8階以降のダンジョンが影の巨人に支えられながらもすごい地響きを立てながら地面へと落ち着いた。ちなみに吹っ飛んでいったダンジョンはどうなったかというと、飛んで行った先で急激に落下するのが見えたから、うまくミカヅキが穴に落としてくれたのだろう。とその時、再び俺の持っている小人さんがパタパタと動き出した
「もしも――――――」
『ちょっとマスター!?い、いったいなんてものを飛ばしてきているんですか!?死ぬかと思いましたよ!!』
「わるいわるい、でも一番手っ取り早いのがあの方法だったから。それにミカヅキなら大丈夫だろうと思っていたしな」
『まあ問題なく穴には落とせましたけど・・・』
「さすがだな!じゃあ俺はもうちょっとこっちの作業をやってから行くから。それじゃ」
『え、ちょっ!?』
さて、次は残ったダンジョンを地面とくっつける作業といこうか。さすがに地面に適当に置いただけだと倒れてしまうだろう。というか、絶対倒れる。ではどうやるかというと・・・
「おーい、カゲロウ。起きているか?」
「なんだ宿主。別に寝てはいない・・ふぁあ~」
おい、今あくびしただろ。寝てただろ
「まあいいや。カゲロウ、ちょっとあそこのダンジョン、土魔法とか何とかで地面と固定してくれない?」
「地面と?ふむ、わかった」
カゲロウがそういうと、地面から土が盛り上がりダンジョンに張り付くように固定した。だがこれだけではしっかりと固定できていないかもしれない。そこでこの【天界性万能手袋】の出番だ。これでダンジョンを一周しながら地面とダンジョンの壁を一体化させる。やったことは無いけどたぶん大丈夫だろう。何せこの手袋かなり万能だからな!!
盛り上がった土とダンジョンの壁が接触している部分を手袋で馴染ませるように触れていく。なんかこれ、粘土で遊んでいるみたいだな。いや決して遊んでいるわけではないぞ!!大事な作業なのだからな!!
でもこれ、馴染ませるように丁寧にやっているから少しずつしか進んで行かないな。じれったいというか、だんだんと飽きてくる。いっそのこと、サッと触れただけで超広範囲に馴染めばいいのに・・・
そんな風に考えながら俺がサッとまだ馴染ませていない部分に触れると、一気に広範囲に亘って土とダンジョンの壁が一体化した。・・・・・できた、だと・・?うははははは!!すごい!さすが万能手袋だー!!テンションの上がった俺は走りながら土とダンジョンの壁を一体化させて回った
・・・・ふう、一周完了!これでダンジョンは倒れることは無いだろう。あと、何かすることは・・・。あ、入り口が無い!!そうか、自動ドアのあった1階部分を切り取ったからダンジョンに入るところが無くなったのか。よし、なら作ってしまおう!!
「よっと!こんなかんじ、かなっ!」
目の前の壁を【半影喰】を使ってドアの大きさに切り取る。それからカゲロウに土魔法で扉を作ってもらう。それを手袋で一体化させたらオッケーだ。自動ドアではなくなったが、別にいいだろう。というかこの扉
「なんかすごく"ボス部屋の入り口の扉"みたいになっているんだけど・・・」
様々な模様が扉のいたるところに付けられていて、最初にあった入り口より荘厳さがかなり増している。"これからダンジョンに入る"という緊張をさらに上げていくような仕上げだ
「いいではないか。この方がカッコイイだろう?」
確かにそうだなんだけどね。それにしてもなんか違和感があるんだよなあ。ああ、扉じゃなくてダンジョン全体的に。切り取ったせいかな?
「・・・・ん?なあ宿主、このダンジョン少し斜めになっていないか?」
・・・ホントだ、斜めになっている。さっきの"ダルマ落とし"で下の部分を飛ばした後に置いたとき、若干斜めになっちゃったんだろうな、これ。どうしよう。今からでも直すか・・・?いや、そのままでいこう!!いずれ【エイルムの斜塔】とか呼ばれて観光スポットになるだろう!!いや別に今からまた作業するのが面倒くさいとかそういうことではない!!
「よし、じゃあこっちは終わり。ミカヅキのところに行くか!!」
ミカヅキのところにまでどうやって行くかと言えば・・・またまたこの【巨人】を使う。便利だな~、この巨人。と、俺が巨人に乗ってミカヅキのところまで運んでもらおうとした時、作業の被害を食らわないように少し離れたところにいたお姉さんに気づく
「あ、完全に忘れていた。どうしよう、このまま放置するべきか連れていくべきか・・・」
とりあえず本人に聞いてみるのが一番なので、俺はお姉さんに近づいていく。が、さきほどからこのお姉さん、じっと真っすぐを見たまま動かない。声をかけてみたが反応が無い。よし、こうなったら
「必殺、猫だまし!!」
お姉さんの目の前で"パァン!!"と両手を打ち鳴らす。すると、お姉さんが一瞬"ビクッ!!"となった後、どこかへ飛んで行っていた意識が戻ってきたように辺りをキョロキョロと見回した
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ・・・。目の前で起きた光景が衝撃的過ぎてちょっと魂抜けていた気がするわ・・・」
確かに巨人出したり、ダンジョン切り取ったり、ダンジョン吹っ飛ばしたり、荘厳な扉作ったりしたら魂も抜けそうになるかもな。・・・"猫だまし"が最後の追い打ちとなって魂抜けなくてよかった
「それで、これから最後の仕上げに向かうんですけど・・・来ます?」
「・・・・・もう、最後まで見届けさせてもらうことにするわ」
お姉さんが盛大な溜息と共にそう言う。ということで、お姉さんの動向も決まったので早速【巨人】に乗って出発しよう
この【巨人】、別にロボットみたいに操縦席とか作っていないので手のひらに載って移動する。たぶん大丈夫だろうが落ちないようにしっかりと掴まっておこう。さてどうやって移動するか・・・街中は建物を潰しそうだから・・・やっぱりジャンプして町の外まで飛び越えるしかないかなちょっと距離が長い気もするが・・・俺はこの巨人を信じるぞ!!
「よし行け巨人!!」
巨人をダンジョン周辺の何もないスペースギリギリまで下がらせ助走をつけさせる。そして
――――――ダン、ダンっ!!
という助走と踏切の音と共に町の外に向かって飛び上がる
うおおおおお!!すげーー!!飛んでる!風を感じるぞー!!下から・・上に・・・
「きゃああああ!!!ちょっとこれ落ちてない!?落ちてるよねこれ!?」
どうしよう、飛距離が足りていない・・・。助走が全然足りていなかったのもそうだけど、町の外への距離が思った以上にあったんだよね。というかそんなことを考えている場合じゃない!!このままだと町へ巨人ごと落下してしまう!!どうしよう、どうしよう!!こうなったら・・・投げよう!!
「ちょっとしっかり掴まっていてくださいね!!」
俺はお姉さんを落とさないようにしっかりと掴まえる。そして巨人を使い、俺たちを町の外へとぶん投げる!!投げられた後、巨人は町に墜落する前に消した。影で作ったからものだからこそできることかな
だが当然これで終了ではない。次は俺たちだ。このままだと予定地をすっ飛ばしてかなり遠くの方に頭から地面へ突っ込むことになりそうだ。俺はギリギリ重症で済むかもしれないが、お姉さんは確実に即死だろう
「カゲロウ!俺もミカヅキみたいに飛べたりするか!?」
「宿主、人にはできることとできないことがある。そしてこの場合は・・・無理だな」
だああああ!!ちくしょう!!そうだ、飛行機の着陸時みたいに逆噴射すれば何とかなるかも!!
「カゲロウ、逆噴射できるか!?風でも炎でもなんでもいいから」
「なるほど、やってみよう」
――――――ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
俺たちの進行方向に炎と風が吹き出され、減速にかかる。が、それでもまだかなりのスピードが出ている。やべえ、さっき焦りすぎてかなりの力で俺たちを投げちゃったみたいだ。こうなったら最終手段!!
「ミカヅキさんヘルプミー!!!」
『どうしたんですかマスター?周りの風の音がすごいですよ?・・・あの、なんか上空にこっちに向かってくる影があるんですけど、もしかして・・・』
「そう!それ俺!!あのね、いろいろあって止まれなくなってるんだよね。このまま墜落するのは嫌なのでで助けてもらえませんかね?」
『いいですけど・・・。ちょっと私の扱い雑になってません?』
「わー!ごめんなさい、ごめんなさい!!これから超丁寧に扱うんで助けてください!!」
『いえ別にそこまでではないですけど・・・。まあ、今行くのでちょっと待っていてください』
ミカヅキとの通話が切れてから数秒後、翼を生やしたミカヅキがこちらへ飛んできた。おう!まさに救いの天使だ!!
「マスター!!ちょっと邪魔なのでそのジェット噴射切ってもらえますー!!??」
おお、そうだな。耐性があるから火傷とか燃えたりはしないだろうけど、やっぱり邪魔になるよな。カゲロウに噴射を切ってもらった直後、ミカヅキが俺たちを受け止める
「あ、これマスターとのハグですね!!」
「うん、まあハグとかそういうのはさておき、これ全く止まる気配が無いんだけど・・・」
ミカヅキに受け止めてもらった現在、変わらず空中を飛行中だ
「それはそうですよ。いきなり止めたらものすごい衝撃を食らいますからね。気絶しますよ?あ、既に気絶している方が・・・」
見てみると、お姉さんは既に気絶していた。あぶねえ!!これ俺がちょっとでも力抜いてたら落下していたんじゃないの!?そしてこの間も俺たちは飛行中・・・というより落下中だ
「ちょっとミカヅキ!?これ落ちてるよ!?地面に激突するよ!?」
「そうですね。マスター、今からちょと負荷が掛かるのでしっかり掴まっていてくださいね」
そういわれ、俺は気絶しているお姉さんを落とさないように気を付けながら、ミカヅキを先程より強めに掴む
「お、マスターからの強めのハグです!!」
そんなこと言っている場合かあああああ!!!!やばい、地面にぶつかる!!そう思った瞬間、体に負荷が掛かり、上昇していくような感覚が与えられる。その後、空中を飛びながら少しずつ減速し、安全に地上へとおろされた
「し、死ぬかと思った!!」
「そうですねえ、飛行やマスターからのハグは良かったですけど、飛び続けたのでだいぶ疲れました」
「でも助かった!ありがとうミカヅキ!!」
「いえいえ~。あ、でもそんなに感謝してくれているんだったらもう一回ハグしてくれてもいいんですよ?」
「いや、それは大丈夫」
「えー、何でですか!!」
さっきは必死だったとはいえ、さすがに恥ずかしいです。・・・はい
さて、思わぬハプニングはあったけど、駆除作業も仕上げに入っていこうかな!!
はい、ということで、主人公空を飛ぶ(物理)という回でした。僕も空を自由に飛んでみたいですね。もちろん魔法とかで!!死にたくないですから・・・
次回、気絶したお姉さんが起きる!!




