35 原因がそれなら
35話目です。今日はどうやら海の日らしいです―――――――
予告ブレイカー『フハハハハ!!我、参上っ!!今回も予告通りに行かせぬぞ!!』
ぐあああ!?なんてことだ、話が予告通りにいかなくなってしまった!!というか誰だお前は!?
圧倒的な物量で(精神的な)ダメージを負わせて来る"G"たち。俺はずっと6階までを支配する奴らのゾーンをどうやって切り抜けようかと考えていたが・・・、なるほど、奴らの中を切り抜けるのではなく奴らそのものを切り抜いてしまえばいいということか!!
「マスター。"いける"とはどういうことですか?」
「お前の言った通りの意味だよ。奴らがいるゾーンの突破が難しい・・・というより嫌なら、奴らがいる階を物理的にダンジョンから抜き取ればいいという話さ」
そうすれば俺たちは"G"ゾーンをわざわざ通らなくてもダンジョンを進むことができる。もはや反則技とかそういうことを超えてしまっている気がするが、そんなもの俺たちには関係ない!!
「それは・・・ダンジョンを壊すということですか?」
「うーん、ちょっと違うけど大体そうかな?」
あれ?結構いい案を思いついたと思ったのに、ミカヅキがあまり乗り気じゃないような感じがする。何か問題があったのか・・・、それとも"貴重な古代の遺跡を破壊するなんて!!"とか思っていたりするのだろうか?
「どうした?やっぱり遺跡破壊は不味かったか?」
「あ、いいえ。別に遺跡が壊れるのとかは私にとってどうでもいいんですけど・・・」
遺跡はどうでもいいんだね・・・
「実はそこの【迷宮遺跡ガイドブック】に書いてあったんですけど、ダンジョンというのは何をやっても壊れないらしいんですよ・・・」
「何をやっても?」
「はい。殴る、叩く、斬る、蹴る、刺す、魔法を放つ、くすぐる、談笑する。どれをやっても壊れる気配どころかまともに傷つくことも無かったそうです」
おい!最後の2つ、絶対疲れて変なテンションで試したものだろ!!談笑ってなんだよ!?無機物に話しかけて返事があると思ったのかよ!?というかガイドブックに載せるなよ!?・・・まあとにかくダンジョンは壊れないと言われているのか・・・
「なあミカヅキ、何で壊れないか原因はわかっているのか?」
「いえ、不明ですね。元からそういう風に建てられていたのではないか・・・と考えられているようですよ」
うーん、そうなると本当に攻略の手だてが無くなるんだがなぁ・・。本当に元から壊れないようになっていたのか?魔法とかスキルとかで強化されているってことは・・・ん?ちょっと待てよ、もしかしたらその可能性があるかもしれないぞ!!
「ミカヅキ、ちょっと試してみたいことがある。もう一回ダンジョンに行くぞ」
再びダンジョンのにやってきた俺たちは、自動ドアが開かないように気を付けながら回り込んで、今はダンジョンの壁の目の前に立っている
「それでマスター、試してみたいこととは?」
「ああ、それはだな・・・ちょっとこの【半影喰】でダンジョンの壁を斬ってみようかと思ってな」
俺は"カゲアソビ"で刀・【半影喰】を作り出す。一方ミカヅキは、俺のことを"何言ってるのコイツ?私の話を聞いてなかったのか?バカなのか?"とでも言いたげに見ている
「何言っているんですかマスター?さっきの私の話を聞いてなかったんですか?三歩歩いたら忘れちゃうような体質なんですか?」
マジで言われたよ!!というか誰がニワトリだコラ!!ふふっ、ならばいいだろう。俺の試みを成功させてお前の驚いた顔を見てやろう!!
「よし、ちょっと下がってろ。・・・・・おらぁっ!!」
思い切り振りぬいた刀は、過去の実験でまともに傷つけることのできなかったダンジョンの壁に見事に刺さった
「なっ!?」
そしてミカヅキの驚いた顔をゲット!!俺の考えが当たったことも嬉しかったが、ミカヅキにちょっとした仕返しができた気がしてかなり満足だ。正直不安で仕方なかったんだよね。"予想が外れるかも"という思いもあったが、刀を振りぬいた後に"あれ?そもそもこの壁、コンクリートみたいだけど斬れるのかな?"って思ったんだよね。いや~、刃が通ってよかったよ!
「え!?こ、これはいったいどういうことですか!?何で壁に刺さって!?」
「ふふふふふ。説明しよう!!まず、今までダンジョンに傷がつかなかった理由だが、その原因はダンジョンに備わっているスキル・"迷宮"なんだよ」
「"迷宮"ですか?」
「ああ、たぶんこのスキルによってダンジョンはダンジョンとして成り立ち、そしてダンジョンそのものが壊されないような効果でも与えていたんだろう」
もともとこのダンジョンはただのデパートとして建てられたものだ。そんなものをわざわざ壊れないように造るなんてことはしないだろう。取り壊しとかどうするんだよって話だ。なら、壊れないようになったのはダンジョン化とともについであろうスキル・"迷宮"が原因かもしれないと考えたわけだ
「そこでこの【半影喰】、それとお前の【月見酒】の持つ効果・・・わかるか?」
「・・・!!魔法、スキルの効果を無効化する!!」
「そういうことだ」
これでダンジョンを作戦が実行できるという確証を得ることができたわけだが・・・
「でも、マスター。まさか勝手にダンジョン壊したりしないですよね?」
「大丈夫だ。勝手に壊したりはしない。ということで今から許可を取りに行こう!」
「えっ!?許可を取るってどこに!?」
若干困惑気味なミカヅキを連れて俺はまたまた来た道を引き返す
さてさて、本日3度目のダンジョン受付所。ここはダンジョンの管理をしているところだ。ならここで許可をもらえばダンジョンを壊してもOKということになるよな!!では誰に許可を貰うかといえば・・・
「あら、またダンジョンに行っていたの?」
この受付のお姉さんである。というか、この人しか受付所にいないのだから他の人に許可を求めようにも求められない
「はい、少し確かめてみたいことがあったので」
「そう、熱心ね」
さて、ではここから許可を求めにいこうか
「いや~、それにしても本当に"G"が多いですよね。このダンジョン」
許可を求めると言っても率直に言うわけではない。"ダンジョン壊したいんですけどいいですか?"と言って誰が"どーぞどーぞ遠慮なく"なんて言うだろうか。曖昧に、少し回り道しながら許可を貰うのだ
「本当よ。おかげで誰も来ないから楽ではあるんだけれど・・・ねえ」
「何かあるんですか?」
「回復薬とかが売れ残って売れ残って・・・」
回復薬?ああ、ここでダンジョンに入る前に回復薬とかそういうのを買って補充しておくんだな。で、それが挑戦者が来ないから全く売れないと
「あ、そうだ。あなたたち、回復薬どう?ちょっと安くするわよ?」
回復薬・・・か。ミカヅキは再生能力あるし、俺はカゲロウが何とかするから別に要らないんだけど・・・。念のために持っておくか!
「じゃあ、2つ程」
「やった!毎度あり!」
・・・って違う!!何で俺は買い物をしているんだ!!しかも特に必要のない物を!!え?だからお前は貧乏性?うるせえ、わかってるよ!!・・・コホン。話を戻そう
「確かに、人が来ないと売れませんよね」
「そうねぇ。たまに丸一日人が来ない時もあるから、物が売れるどころか喋る相手すらいなくて寂しくなるわよ」
「やっぱり、"G"のせいですかねえ」
「そうね、あれのせいね」
よし、そろそろ話を切り出すか・・・
「じゃあ、"G"たちがいなくなったらかなりいいですね」
「そうね、そうしたら客も増えて、売り上げも増えて、同僚も増えるかもね」
「なら、俺が奴らがいるダンジョンの階層ごと駆除しましょうか?」
「そうね、そんなことができるのならやってみてほしいわね」
・・・・よっしゃあ!!許可を取れた!!なんか余計な出費があったけど何とかなった!!
「ミカヅキ!許可とれたぞ!!」
「本当ですか!!」
「え?え?許可?ちょっとまって何の話!?」
何やらお姉さんが戸惑っているようだが・・・もう遅い!!許可はとれたのだ!!
「何って、ダンジョンの奴らがいる階層ごと駆除するって話ですよ。さっき"やってほしい"って言っていたじゃないですか」
「そ、それはポロッと口から出たもので・・・というかダンジョンなんて壊せるわけないでしょう!?」
「それは・・・どうですかね?さて、それじゃあ行くぞミカヅキ!!」
「はい、さっさと壊しましょう!」
そう言って俺とミカヅキはダンジョンに向かう
「え?本当にダンジョン壊すの!?ちょっと~!?」
待っていろよ"G"ども!!お前らを残さず駆除してやるぜ!!
はい、ということでまずは、予告通りに進めなくてすみませんっ!!どうしようもなくなった結果が前書きのあれです。予告ブレイカー君は今後も頻繁に登場するかと思いますので、どうぞよろしくお願いします
次回、主人公ダンジョンを壊す!!




