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32 定期報告と新人君

僕2「あれからずいぶんと(およそ2週間ぶりくらい)経っちまった」

  「だいぶ(執筆に)時間がかかっちまったが、なんとか仕上がった」

  「さて、そろそろ僕も(投稿しに)行くか」

  「僕の物語は(この小説の物語も)まだまだだぜ!!」


32話目です。今回やっとあの方が出ます。まあ、サブタイトルを見れば誰かはわかってしまうと思いますが・・・。

・・・え?何かが王道バトルマンガみたいな終わり方をした?いったい何のことを言っているんですか?

 現在俺たちはエイルムに向かって歩いている。あの後もちょくちょくと魔物には遭遇している。ゴブリン、スライム、ゴブリン、スライム、スライム、スライム、ゴブリン・・・。お前ら以外にいねえのかよ!?もっとバリエーション増やしてよ!!どこのRPGゲームの最初期のエリアだよ!?


 まあ、そんなこんな思いながらも律儀に全部倒していきましたよ。だって魔石が欲しいから!!魔石というのはギルドに持っていけば換金してくれる。つまりお金が手に入る!!俺たちが持っているお金ももう、だいぶ減ってきている。それにもう、かの屋敷のときのように生活することはできなくなるから、より出費は増えるのは目に見えている。だから今は、少しでもお金になる魔石は俺たちにとって重要なものなのだ


 え?島の魔物の魔石がまだあるじゃないか?いやぁ、あれはね、ほら。最後の切り札・・みたいな?資金獲得の方法が見つからず、本当にどうしようもなくなった時のように、ですよ。なに?お前、貧乏性だろ?うっさい!!



「あ、そろそろ暗くなってきたね」


 空を見てみると、太陽がだいぶ傾いて地平線の彼方に沈み始め、空の色が青からオレンジへと変わろうとしていた


「本当ですね。じゃあ、今日はこの辺で野宿にしましょうか」


 このまま進んで行けば夜になって周りが見え辛くなって、旅の危険度は増すだろう。まあ、俺は暗視能力があるし、ミカヅキは・・・アイツは普通についてくるな。ただ、ストールさんは一般人だから夜目がものすごく効くとかそういうのは無いだろう。それにここまでの疲れだってあるだろうしな


 俺たちは道から少し逸れたところに適当な場所を見つけ、そこで一晩を明かすことにした


「よし、場所も決まったことだから、・・・ほいっ"カゲアソビ・テント"っと」


 俺は野宿用具、テントを作り出す。が、それを見たストールさんは目茶苦茶ビックリした様子で俺を見ていた


「ア、アライ君。それは・・いったい・・」


「何って・・・テントですけど?」


「いや、そうじゃなくて。どうしていきなりテントが・・」


 あ、"テント"ってこっちの世界でも伝わるんだね。いや、もしかしたらスキル"異世界言語理解"の効果でどちらに対しても自動翻訳がされていたりするのかも


「これは俺のスキルの力ですね。詳しいことは、まあ、企業秘密で」


「あ、ああわかったよ」


「心配しなくても大丈夫ですよ。これ、すっごく頑丈なので。そこらの魔物じゃ壊せないと思いますよ」


 何せ俺が原初の島でサバイバルした時に、寝るときに使っていた"繭"と同じ材質だからね。ここら辺の魔物が壊せるとは到底思えない。それに


「あと、警備もつけるのでほぼ安心して眠れますよ」


 警備とはいったい何のことか・・。答えは"ニンギョウゲキ"で作った小人さんたちである。この小人さんたちに夜中俺たちの周囲の警備をしてもらう。そして、敵を見つけた場合には俺に報告。もしくは、小人さんたちで倒せそうなら勝手に敵の排除に当たる・・という仕組みになっている


 え?護衛なら護衛らしくお前が働け?いやいやいや、小人さんたちは俺のスキルから生み出されたんだから、俺が働いているのと同じでしょ?あ、違う?だが俺は夜はしっかり睡眠をとりたいんだよ


「ほお、やっぱり君はすごいね。それじゃあつぎは焚き火の用意かな。薪はそこらへんのよさそうなものを探して・・・」


「ああ、それも大丈夫ですよ」


 俺はブラックボックスから使えそうな木をいくつか取り出す


「君はそんなものまでもっているのかい・・」


「何となくですかね?こんなこともあろうかと・・・みたいな」


 ふははは、どうだ俺の貧乏性も少しは役に立っただろう!!


 その後、焚き火を起こした俺たちは夕食を食べることにした。はい、ストールさんからまたまた食料をいただきましたよ。ただまあ、申し訳ないし


「一応俺たちも食料を持ってないことは無いんですよ、すっごく不味いですけど」


 とは言ったのだが、それでもストールさんは"このままだと余ってしまうから"と言って俺たちにも分けてくれたのだ。うーん、本当にいい人だ。というか、いったいストールさんはなぜそんなに食料を持っているのかが不思議である。大食いだったりするのかな?大食漢には全く見えない。普通かそれ以下くらいの見た目なんだよな。人は見かけによらずってことかな?


 それよりも、俺たちの持っている魔物の肉のことを聞いたストールさんが、"ぼくもそれを食べてみたい"なんて言ったのには驚いた。"やめた方がいいですよ"とは言ったのだが、"一かけらだけでも!"と言われたので、一かけら渡し、それを口に入れたところ・・・


「!?ぺっっ!!」


 とすぐに吐き出した。そりゃそうなるよな。俺もそうだったもの。そんなこんなを過ごした俺たちは、明日に備えて寝ることにした





 用意したテントに入って横になり、そろそろ寝ようかと思っていたそんな時


 『ピロンポロンパロン。ピロンポロンパロン』


 というなんか抜けたような音楽が聞こえてきた。この音は・・・やはりそばに置いていた手袋から聞こえてきている。えっと、これどうするんだっけ?ここだったかな?


 ――――――――ピッ


「あ、もしもしシン君?久しぶりね」


 やはり女神様だった


「どうも、こんばんは。お久しぶりです」


「ん?"こんばんは"?・・・あ、もしかしてそっちって今は夜?寝るところだったりした?」


 おお、何て察しのいい女神様なんだ。というか、"そっちって"ってことは天界とこの世界とでは時間の経過に差があったりするということかな


「いえ、まだ大丈夫ですよ」


「そう?まあとりあえず手早く終わらせてしまいましょう。それじゃあ、前回報告してくれたことから後のことを報告してちょうだい」


「はい。えーっと前回ってどこまで話しましたっけ?」


「前回は・・・あ、これね。転移した島で、"アシュラ"っていうのと戦ったところまでね」


「ああ、そこでしたか。ありがとうございます。アシュラとの戦いの後だから―――――――


 ―――――――ということで、今はエイルムという町に護衛の仕事を兼ねながら向かっています」


「ふむふむなるほど。それにしても、島を脱出できたと思ったら今度は奴隷にされかけるなんて・・・。またとんでもない目にあったわね」


 ええもう全くですよ。幸い奴隷になんてされなくて済んだけど、なぜ俺はどうしてこうも微妙にツイていないのだろうか・・・


「あ、そうだシン君。ミカヅキちゃんは元気?」


「はい、私は元気ですよ」


 横からミカヅキが話し込んできた。"これからテントで寝るところのはずなのに、なぜミカヅキがいるんだ"・・・ということについては、もう"いつもの流れでこうなりました"としか言いようがない。一応は


「別々のテントを用意するぞ?」


 と言ったものの、即答で


「いえ、大丈夫です」


 という返事とこのやり取りには俺も慣れてしまった。いやあ、慣れというのは恐ろしいものだね


「久しぶりミカヅキちゃん。元気そうでなによりね」


「はい、お久しぶりです女神様。女神様もお変わりありませんか?」


 というかこの二人、こんなに仲良かったっけ?前の報告のときに初めてお互いに言葉を交わしていた気がするんだが・・・。もしかして、知らない間にメールとかSNSとかで通じ合っていたりしていたのか・・!?いや、世界が違うからそれは無いか。なら気づかない間にこの手袋で・・・!?ないことも・・・ないかもしれないな


「変わったことはあったわよ。実はわたしのところに新しく配属された子が来たのね」


 天界のお仕事事情が始まったぞ。というよりこれは、たぶん女神様の愚痴トークになるだろうな。いや、もう雰囲気からして愚痴トークになることは確定だな。他人の愚痴は聞いていておもしろかったりするから別にいいんだけど


「それで、その子は全くの新人だからわたしが仕事を教えることになったのね。なったんだけど・・・はぁ・・」


「その方のやる気がない・・・とかですか?」


「いえ、やる気はあるのよ。むしろものすごくやる気はあって頑張ってくれているんだけど・・・ね。どうも失敗が多いのよねぇ」


 失敗が多いねえ。まあ新しく入ってきたみたいだし、そりゃあ失敗くらいするだろう。しかし何故こうも女神様は疲れた声を出しているのだろうか?そんなにも失敗が多いのだろうか?


「失敗が多い・・ですか」


「そう。集合場所を間違えたり、書類ミスをしたり、手順を間違えて転移者に碌な説明なしで行かせちゃったり・・・。そういうのを8回に1回くらいのペースでやらかしてくれたりするのよね。これでも良くなったのよ?最初は3回に1回くらいのペースだったもの・・・」


 そ、それは確かに多いな。こんなペースでミスされたら疲れが溜まるのも仕方がないことだね。というか、絶対に一人でやるより仕事量が増えているよね


「そういえば、あの子1回全く関係ない人をピチュンさせたこともあったわね。お詫びに転生してもらったけど、あの時は本当に心臓止まるかと思ったわ。その後上の人たちにものすごく怒られたし・・・。そのうちあの子、世界丸ごと1つをピチュンさせちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしてるのよ」


 ひいいぃ!!??その新人さんとんでもないミスしてんじゃん!!自分が死んだ理由が"間違っちゃった!"なんて洒落になんねえぞ!?


「それは、是非今後ともその方の教育をよろしくお願いします。間違って俺が殺されたりしないように・・・」


「うん・・。善処するわ。あ、シン君。カゲロウはいる?」


「ああ、いるぞ」


「あなた、シン君に迷惑はかけてない?無暗に誰かの記憶を消したりしちゃダメよ。何かあったら私がすぐに行って消滅させるからね?」


「わかっている、わかっている。そもそもワタシの活動の自由は宿主に制限されているからそんなことはできないぞ」


 なんかあれだな。親子みたいな会話してるな。消滅させるとか物騒な単語が出てきたりもしているけど。しかも実際に消滅させる力は持っているであろうから怖いよね


「そう?ならいいんだけれど。・・・っと、だいぶ長く話しちゃったわね。それじゃあまたね、シン君、ミカヅキちゃん、カゲロウ」


「はい、それではまた」


  ―――――――――ピッ


 おっと、本当にだいぶ話してしまったな。最初に寝ようと思ってから1時間以上は余裕に経っているぞ。恐るべし、女神様との通話


「さて、じゃあそろそろいい加減に寝ますか。お休みミカヅキ、カゲロウ」


「はい、おやすみなさい。マスター」


「ああ、お休み宿主」





 翌日も俺たちはエイルムを目指して歩いていった。ちょくちょく休憩を挟みながらも進むが結局この日でもエイルムにはたどり着かず、昨日と同じように野宿することにした。昨日と違う点は女神様との長通話が無かったことくらいか



 そして旅をはじめて3日目


「あ、見えてきたよ。あれが目的地、エイルムの町だ」


 指を指すストールさんの先を見てみれば、そこにはアセトアの町のように丈夫そうな門を入り口に構えていて、町の中央付近に何やら大きな建造物も立っていた。


あれが、迷宮遺跡ダンジョンかな。どんなところなのか楽しみだぜ


 

はい、ということで女神様回でしたー。今回も話の切り方がよくわからない方向に不時着してしまった。というかむしろ着陸すらしていない。どうしよう・・・


 → 最後を改稿しました。何とかぎりぎり着地成功したかな・・・?


次回、主人公たちが町の中に入ります

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