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22 おいしさの秘密

22話目です。前回の話でカゲロウが全く出てこなかったことに気付き、今回は登場させてみたものの、無理やり感がすごいことになってしまった・・・

 武器屋、服屋で買い物をした俺たちは、今度は食べ物を求めて街中を散策し始めた


「どこで飯を食おうか?戻ってギルドの食堂で食べるというのもあるが・・・」


「うーん、でもギルドに戻るにはそこそこ時間がかかりますよ?」


ならやはり、この通りの店から探すとするか。繁華街だし、飲食店くらいはあるだろう。俺たちは繁華街の通りをさらに歩いていく。すると、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。香ばしい匂いに連れられてたどり着いた場所はとある屋台だった。匂いの元はここか


「マスター。せっかくなので、ここで買っていきませんか?買っていきましょう」


そうだな、ここで買ってしまおう。この香ばしい香りのせいで余計に腹がへってしまった。もう、他を探す気にはなれない。俺は、さっきから肉を焼いている威勢のよさそうなおっちゃんに声をかける


「すいませーん!これ4つください!」


「あいよ!それじゃあ合計大銅貨8枚だな」


俺は代金を払い、おっちゃんから先程の肉の串焼きをもらう。ではさっそくいただきます。パクッ。おお!噛んだ瞬間に肉汁があふれてくる!肉も硬すぎない噛みごたえのある食感だ。味付けはシンプルに塩だけだが、それでも十分おいしい。ミカヅキも満足そうな顔で串焼き肉をムシャムシャと食べている


「うまいな。ここで買って正解だったぜ。それにしても、これ何の肉なんだろうな?」


「ああ、それはオークの肉だよ。だからお前さんたちが今食っているのはオーク肉の串焼きさ」


店のおっちゃんが何でもないようにしれっと答える。が、そのしれっとした答えの中に確実に聞き逃せない単語が出てきている


「はぁ!?オークの肉!?オークってあの魔物の!?」


このおっちゃんが言うオークというのが一般的な豚などの食用家畜を指す言葉なのでなければ、オークというのは魔物のはずなんだが


「お、おう。お前さんのいう通り、あの魔物のオークだが、そんなに声をあげてどうしたんだ?いったん落ち着け」


おっちゃんが何でもないように魔物と言う。いやいやいや、落ち着いてられないって。だって魔物ってすっごくまずくて好んで食うものじゃないんだぞ!?ましてや、こんな風に売りに出すようなものじゃない。ミカヅキも、"え・・?魔物・・?"みたいな雰囲気で串に刺さった残りの肉をじっと見ている


「いや、おっちゃん。魔物の肉っていうのはものすごく不味いはずなんだが・・・」


ミカヅキも俺の横でうんうんと頷く


「もしかしてお前さんたち、食えない魔物ばっかり食っていたんじゃないのか?」


 食えない魔物?魔物っていうのは普通喰わないものじゃないのか?


「どういうことだ・・・?」


「えっとな、魔物にもさまざまな種類がいる。その中でも俺たちが食える魔物っていうのは、冒険者の討伐クラスがCからBくらいのやつだ。それ以外のクラスの魔物は食べれない。いや、食べれないことも無いが人体に害悪となる可能性があったりするから普通は食べない」


 うんうんなるほど。・・・討伐クラスとか確認せずにガッツリ食べちゃっていたよ俺。大丈夫かな、そろそろ死んじゃったりしないかな・・・?


「その食える魔物と食えない魔物って何が違うんだろ・・・?」


「うーん、おれもあまりくわしことは知らないが、何でもC・Bクラスに分類される強さの魔物の魔力の質が俺たち人間と合うんだとか何とか・・・。まあ、とは言っても身体の構造的な問題でC・Bクラスでも食えない魔物ってのはいるんだけどな」


魔物の肉にそんな秘密があったとは・・・。おっちゃんの言っていた食える魔物がクラスC・Bに分類される魔物。で、俺たちが今まで食べていた魔物が相当な不味さだったから・・・確実にクラスが低すぎるか高すぎるかだったのだろう


「・・うん?なんだ宿主。なにかいい香りがするんだが、なにを食べているんだ?ワタシにもくれ」


 ずっと反応の無かったカゲロウが飯をたかる。コイツ絶対さっきまで寝ていたな。というか、起きてすぐ飯かよ・・・


「ほれ、オークの串焼き肉だ」


「おお、ありがとう宿主!・・・ん?宿主、オークとは魔物ではなかったか?」


「ああ、そうなんだけど、なんでも討伐クラスC・B分類の魔物って人が食べても美味いらしい」


「ほお~、ムグムグ。なるほど、モグモグ。だからこれは魔物の肉なのに美味いのか、ゴクン」


 食べながら話すなよ・・・。というかコイツ、"天界出身の影"だけど、俺たちと同じ味覚しているんだな


「おっちゃん、おもしろい話聞かせてくれてありがとう」


「いや、いいってことよ」


「あと・・・」


「なんだ?」


「追加で注文いいかな?」


「はいよ!毎度あり!」




 追加で注文した肉も食べ終えた俺たちは再び街中を歩き始めた


「店にも行ったし、飯も食べたし、他に行きたいところはあるか?」


「いえ、特にないですね」


「なら、もう少し町を見て回ったら屋敷に戻るか」


 そんな会話をしながら歩いていると、前方からガラの悪そうないかにも"チンピラです"という風なやつらが歩いてきた。こういうのは自然に通り過ぎるのが一番だよな。・・あ、やべ。今あのチンピラと目が合ってしまった。なんか標的を見つけたような眼をしてこちらへ向かってくるんだが・・


 チンピラとの距離が近くなっていく。チンピラとの距離が残り数メートル。おっと、チンピラは通り過ぎざまに俺にぶつかろうとしてきた!だが、俺はこれを回避!ついでにミカヅキもしっかりと回避!そのままチンピラから離れていく。ふう、これで大丈夫かな


「おい!」


後ろの方から声を掛けられた気がしたがそのままスルー


「おいちょっと待てやてめぇ!」


スルー。呼ばれているのは俺じゃない。きっと別の人だ。それに"おいてめぇ"だけじゃ誰のことを指しているのかなんて特定できるわけが無いじゃないか


「無視してんじゃねぇよ。てめぇだよ、そこの女連れの黒髪野郎!」


あー、俺ですね。特定されてしまいました。女連れなんてのはそこら中にいるけど、周りに黒髪は俺しかいないからな


「えーっと、何か用ですか?」


 仕方が無いので取り合えず話しかけてみる


「"何か用ですか"じゃねぇだろ!てめぇさっきおれにぶつかったよな!?それに対して謝罪もなしとはどういうことだ!?」


 いやいや、ぶつかってないし。避けたし。というか、こんなことで絡んでくるなよ。暇人なのかな


「気のせいじゃないですか?俺はそんな憶えはないですし」


「ああ!?こっちがぶつかったって言ってんだからぶつかったに決まってんだろうが!お前とはちょと話し合い・・・・をする必要がありそうだな。ちょっとこっちへ来い」


 わー、なんて理不尽な。それに絶対話し合いじゃすまないよね。てか、話し合わないよね。そんなこんなしているうちに、取り巻き達に囲まれてしまった。そのまま、人気の無い路地裏へと連れて行かれる


「なあ、今回のことは見逃してやるからてめぇらの持ってる金よこせや」


 まあ、こんなことだろうと思ったよ。というか、それ以外に何があるんだよって話しなんだけどね


「いや、生憎ながらあんたたちに渡す金は持って無くてさ」


「ウソつくんじゃねえよ!!てめぇ、さっきギルドで金貨受け取ってただろ?そんな大金あんなら、当然俺たちに渡す金も持ってんだろ!?」


 コイツら、あの時ギルドにいたのか。なるほど、それで俺から金を取ろうとこんなところに連れ込んだってわけか


「だからさっさとその金よこせよっ!!」


 そう言いながら、俺に殴りかかってくる。やばい、殴られる!・・・あれ?余裕で避けられるや。チンピラその1の攻撃をあっさりとかわす。なんかアイツ驚いているんだけど・・?


「な、かわしただと!?こんな弱そうなヤツが!?」


 弱そうな見た目で悪かったな。なんだろう、コイツに負けたくないな。というか、【身体能力強化】使うまでも無いな、うん


「今避けれたのはたまたまか偶然に違いねえ!次はぶん殴ってやるから、歯くいしばれやぁ!!」


そう叫びながらこちらへ向かってくるアイツに一つ言おう。たまたまと偶然は同じような意味ですよー


 再び殴りかかってくるチンピラ1だが、やっぱり余裕で見切れる。島の魔物と比べたら全然だ。さて、どうやら苦戦するような相手じゃなさそうなので、少しばかり反撃をするとしますか。逃げれないことは全然無いが、すき放題されっぱなしというのもなんか嫌だしな


「死ねぇ!!」


 ・・・相手はどうやら俺を殺したいようです。が、俺は死ぬつもりはありません。チンピラ1の攻撃を右へ避けてかわし、腹に一撃を叩き込む。相当なダメージが入ったようで、チンピラ1は動けなくなったようだ。そこへ後ろから来たチンピラ2に向かって振り向きながら、裏拳を繰り出す。顔面に当たったようでこちらも一発だ。そして、少しタイミングを遅らせてやってきたチンピラ3に前足蹴りを入れる。これで3人は片付けることができた。


 いや~、手加減って難しいね。今まで、敵は確実に殺すのが目的だったから全力でやってたけど、今回はへたしてポッキリとやっちゃわないようにしないといけなかったからね。どのくらいの力でやればいいかよくわからなかったけど、うまくいったみたいだ。下手して相手の首がポーンってなったりしたら洒落にならない。おっと、チンピラ共はたしか6人だったはずだから、まだいるはずだ。そういえば、ミカヅキは無事かな?そう思いミカヅキのほうを見てみると、そこには残りのチンピラ共が倒れていた


「・・・何があった!?」


「見ての通り、私が倒しました」


「うん、それはわかるよ。ここにはお前しかいないし。そもそも、あいつらがお前に勝てるわけがないしな。そうじゃなくて、何でお前も喧嘩に参加しちゃったのってことなんだけと」


「えっとですね。マスターがそっちでどんちゃんやっていた時に、ここで寝ている人たちに絡まれたんですよ。"へいへい、君かわいいね。あんなのほっといておれらと遊びに行かない?"とか言われました」


 どこのナンパ野郎だよそれ


「その言動や行動にイラッときたので、この人たちには地面に寝てもらうことになりました」


「そ、そうか。お疲れ」


「それでこの人たちどうします?燃やします?」


「怖いよ!もっといい方法とかあるはずだよね!?」


「それなら宿主、コイツらを食ってしまうというのはどうだ?」


「それ燃やすのと大して変わらないじゃん!」


「それならどうすればいいんですか!」


「いや、そのまま放置でよくないか?」


「・・なるほど。その手がありましたね」


「確かに、それが一番いいな」


 こうして、俺たちはチンピラ共をそのまま放置して屋敷へと戻っていった



はい、というわけで魔物の肉は美味しい物もあるという話でした。前回の予告でアクションが少しあるといって、本当に少ししかなかったという・・・。なんか、すいません

次回、主人公たちが仕事をします

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