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16 この展開を待っていました

16話目です。あの人たちって異世界物語といったら大抵最初の敵として出てきますよね

  島から脱出してから今日で3日目。現在俺たちはいまだに草原を歩いている。この草原、本当に何も無い。あ、いや、草原だから草はある。だが、それ以外に何も無いのだ。動物も、魔物さえもいない。風景もずっと変わらないので飽きてくる


「・・・じゃあ、スイカの"か"で。はいカゲロウさん」


「ふむ。・・・カスタネット。宿主、"と"だ」


「トランポリン」


「"ん"がついたからマスターの負けですね。では、もう一度やりましょうか。しりとりの"り"で。はいカゲロウさん」


「なら、リスだ。"す"だぞ宿主」


「水銀」


「・・・・。マスター、また"ん"ですよ?これでマスターの34連敗です。まったく、こんなに負けて何が楽しいんですか?」


「楽しくねぇから、負けてんだよ!!ていうかいつまでしりとりやる気だよ!?昨日からずっとだぞ!?もう飽きたよ!しりとりにも、この草原にも!!あとよく俺の負け記録を覚えていたな!俺なんか全然憶えてなかったぞ!?」


 俺はいつまでも変わらない風景としりとりについにイライラを抑えきれなくなった。だが、それはミカヅキも同じなようで


「私だって飽きましたよ!だってこの草原何も無いんですもん!そろそろ"この永遠に続きそうな草原は夢なんじゃないかな?"って思い始めてきましたよ!せめてもの暇つぶしとしてしりとりしているんじゃないですか!だったら、なんです?しりとりやめて五目並べでもしますか!?あと、マスターの連敗記録を憶えておいちゃうくらい他にすることが無いんですよ!」


「ああいいだろう!今すぐ碁盤作ってやるよ!いっそ、しりとりしながら五目並べでもするか!?」


「いいですねそれ!」


「お二人さんよ、話がどんどんおかしなところに向かっているぞ。ふむ、このままでは宿主たちがおかしくなってしまう。何かないものか・・・。ん?おい、宿主。あっちの方になにか動いているものが見えるんだが」


「じゃあ、先攻と後攻きめるぞ。じゃーんけーん・・。え?カゲロウ、今何か見えたって・・・うおお!!遠くの方になんかいる!!人かな!?人だったらいいな!よし、行くぞミカヅキ!」


「はいマスター!・・冷静になってみたら、私たちものすごくばからしいことをしようとしてましたね・・・」


 べ 俺たちは正体不明の動くもに向かって駆け出す。そこにいるのが人だと期待して。さて、その動くものの正体は・・・



『ゴブリンと遭遇しました』



 ――――――――はぐれのゴブリンでした


「なああああ!!お前じゃねぇんだよおおお!!!」


「紛らわしいんですよ!!とりあえず死になさい!」


 せっかく期待してダッシュまでしたのにいたのはゴブリンぼっちとか・・・。それはないでしょ・・・・ 


「まあ宿主。落ち込む気持ちもわかるが、ほら見てみろ。すぐそこに道がある。ここを辿って行けば、どこか人のいるところに出られると思うぞ?」


 おお、本当だ!道だ!道がある!あれ・・?しかもこの道に車輪のあとがついているぞ?しかも最近のっぽい!近くに人がいるかもしれない!


「ミカヅキ、最近ここを乗り物か何かが通ったぽいぞ!今度こそ人に会えるかもしれない!だが、これはどっちへ向かえばいいんだ?」


「ふふふ、任せてくださいマスター。【情報収集クラッキング】・・・。マスター、どうやらこの乗り物は右へ行ったようです」


「さすがだミカヅキ!よし、さっそく右へ行こう!」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 道に沿って歩くこと数時間。いままで何も無かった草原にちらほらと木が立ち始めた。さらに歩いていくと森が見えはじめ、俺たちはその中を進んでいった。しかし、この森はいいな。どこかの島の森みたいに魔物は出てこないし平和だ。ほら、鳥のさえずりなんかが聞こえ―――――


 ―――――――ガキンッ!ガキンッ!ガシャアン!!


 聞こえねえ!なんだこの音!?全然平和そうな音じゃない!!


「マスター、もしかしてこの音が出ているところに人がいるんじゃないですか!?」


「よし、じゃあ行ってみますか!」


「ははは、またゴブリンだったりしてな!」


 やめろカゲロウ!それはフラグだ!




 音のするほうへ近づいてみると、たしかに人がいた。こんなときは大喜びして踊り狂うのが普通なんだろうが、なんか馬車の周りで争っているように見えるんだよね


「ケヒヒヒ。おいおい、いい加減にしろよぉ~。その馬車と荷台の中身丸ごとおれらに渡してくれればこれ以上傷つけることはねぇんだからよぉ」


 あ、なんか身包みはがされようとしているようですね。コイツらは所謂盗賊ってやつかな?というか、すっごいテンプレな場面に出くわしたな


「マスター。これって俗に言う盗賊に襲われているところを発見するというテンプレですよね?」


「ああ、そうだな」


「それで、こういう場合に襲われている人というのは大抵身分が高い人でだったりしますよね?」


「そうだな」


「そんな人を助けたりしたら、街とか行ったときに便宜を図ってくれたり、おいしい食事を食べさせてくれたりしませんかね?」


「そう・・だな」


盗賊アレ、やっちゃいません?」


「・・よし、やるか。あ、ちょっと待て。とりあえず鑑定しておこう」


 やると決まったのはいいが、あいつらの戦闘能力なんかが高かったらどうしよう。馬車のそばで争っているのは5人いる。コイツらの戦闘能力が高かった場合、誰かを相手にしている隙に他の敵に攻撃される可能性がある。あと一応、本当に盗賊か見ておかなければ。もしこれが舞台の稽古なんかだった場合、"ごっめ~ん!間違えちゃった!"ではすまないからな。よし、鑑定!


--------------------------------------------------


【種族】 人間



【犯罪歴】 強盗・殺人・強姦・誘拐


-----------------------------------------------


 鑑定で見たところ、こんな結果が出てきた。あーもうこれ、完全にアウトな人たちだね。殺っちゃってオッケーな方の人たちだね。戦闘の方は・・・手を抜いているだけかもしれないが、そこまで強そうな雰囲気ではない。まあ、油断せずに行くとしよう


「ミカヅキ、殺っちゃってオッケーだ」


「了解です。では、さっさと終わらせましょう」


 馬車に向かって俺たちは駆け出す。ある程度の距離まで近づくと盗賊たちもこちらに気づいたようで、俺たちに声をかけてきた


「ああ!?んだてめーら!?」


 が、そんなことは気にしない


「はっはー!死にさらせぇぇ!!」


「私たちがおいしいご飯を食べるための糧となりなさい!」


 抵抗させる間もなく、素早く盗賊たちを斬っていく。その場にいた盗賊は、全員地面へと倒れた。その直後、すぐそばの草むらから、新に二人の盗賊が躍り出る


「よくもてめぇらぁ!!」


「死にさらすのはおまえらだああ!!」


 油断しきったところを襲ったつもりだろうが、そんなことでやられるような俺ではない!そもそも俺は"眼"の力で最初から隠れていたのは見えているのだから無駄なことである


「「うるさい」」


 盗賊の残党をサクッと片付ける。これで敵はいなくなった。さて、今度は馬車の人たちに話しかけてみるか。せめてどこかの村にまで連れて行ってくれればいいのだが・・。もし、断られそうになったら・・・助けた恩を使って無理やりにでも連れて行ってもらおう。うん、そうしよう


「もしもーし、そこの人たち。大丈夫ですか?」


 馬車には、貴族とその護衛たちみたいな人たちがいた。俺たちが駆けつけたとき、かなり押されていたとはいえ怪我をしている風には見えなかったから大丈夫だと思うのだが


「あ、ああ。大丈夫だ。君たちが助けに入ってくれなかったら危ないところだった。感謝する。私の名はヘイルド。ヘイルド・アセトアという。この辺の領主をやっていてね。領地の見回りから帰る途中に襲われていたんだ。ところで君たちは?」


「えーっと。俺はアライっていいます。隣にいるのがミカヅキです。俺たちは・・・そう!旅をしている者なんですが、旅の途中で迷ってしまって。適当に歩いていたらここから音が聞こえて、来てみたら盗賊が襲っているように見えたので助けに入ったのです」


 嘘はついていないですよ?


「そうか。旅の人たちだったんだね。あ、そうだアライ君。君たちにお礼がしたいんだが、一緒に私の家に来てもらうことはできるかな?それとも、急がなくてはいけない用があったりするかな?」


 もしかして、町に連れて行ってくれるのか?やった!この人優しそうだし、恩を使わずにすんだぜ


「いえ、特に目的は無く旅をしていたので全然平気です。それに俺たちは迷っていたので、町にまで案内してくれるだけでもうれしいですよ」


「そうかい!じゃあ、早速向かおう。君たちも馬車に乗りたまえ」


 そうして俺たちは馬車に乗せてもらい、町へと向かっていく


「ところで君たちはどういう仲なんだい?」


「ええとですね・・」


「私はマスターの嫁です」


「おいちょっと待て!」


「ほう、それはそれは。かわいらしい奥さんじゃないか!」


「だからちょっと!!」


「そうですかぁ。ありがとうございます」


「そこ!褒められてニヤニヤしないっ!」


またこれかよ!!



はい、主人公が久しぶりに人と接触しました。


次回、主人公が町へ行きます

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