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13 最期の迎え方

13話目です。この話でアシュラ回がやっと終わります。

最初はシリアス多めにする予定だったのに・・・どうしてこうなった・・

 いやー、まさかあれを食らって生きているとは・・・どんな生命力だよ。"G"か?"G"なのか!?おっと悪口はこれくらいにしないと、俺の印象が悪くなる。誰からの印象かはわからないが・・・。しかし、生きているといっても瀕死の状態。こういうときはなんて言うんだっけ。ああ、あれだ


「フッ・・。チェックメイトだ・・・」


「・・何をカッコつけてい言っているんですかマスター。さっさと止めをさしてくださいよ」


「まあ、待つんだミカヅキ。コイツには聞きたいこととかあるからな」


 コイツにはよくわからない点がいくつかある。だから殺す前に聞いてみたいのだ


「グウッ。ウオオオッ」


「おっと、ここまできて逃げられても困るな。【カゲアソビ・留め針】」


 ―――――――ドスドスドスドスッ


「ガアアッ!!!」


俺はアシュラが動けないように地面から大きな針を出現させ、奴の両手足を貫く。瀕死のコイツなら今のでも十分だろう。


「さて、今からいくつか質問するけどいいかな?いいよね?よしオッケーででたので始めるぜ。"緊急!アシュラに質問"のコーナー!!わー、わー、ぱちぱちぱちー」


 ・・・やめてミカヅキ!そんな目で見ないでっ!・・・・おふざけはここまでだっ!ここからはしっかり話をきいていこうじゃないか


「なあアシュラ。お前はもう死ぬことが決まっているようなものだ。だからその前に俺たちに情報をよこせ」


「・・・クソッ!ああわかったよ。殺してやろうかと思ったが・・・もうどうでもよくなってきた。俺のことを話してやる。それでなにからだ?」


「話してくれる気になってくれて感謝するぜ。まずは、お前はなんで魔物なのに喋れるのか、意思の疎通ができるのかってことだな」


「そのことか。まあそれを話すのはほぼ全部を話すことと同じになるんだがな・・・」


 この質問がほぼ全てにつながるとはどういうことだ?


「おれは今現在は魔物となっているが、元は人間だった」


「!!!それはどういうことだ・・・」


「おれは昔騎士をやっていた。まあ力はあったし、そこそこ名も知られるくらいだった。俺が持っている剣はそのときからのものでな。そんなある時だった。国から極秘研究の護衛がをすることになった。他言無用の重要任務だ。極秘の研究っていうくらいだからな。そうやってここにおれを含めた騎士たちが派遣された」


 なるほど、この島に来たのは研究者だけじゃなかったのか。まあそりゃそうだよな。ここは危険な動物がいたらしいし、襲われたら守る手段がないもんな


「研究の内容はよくわからなかったが、戦争のためというのとまったく新しい兵器を開発しているというのはうわさに聞いていた。だがおれたちの仕事は護衛だ。施設に近づく動物を倒したり、研究者たちからの要望で生け捕りなんかにするという生活をしていた。そんなある日のことだった。突然施設の中が騒がしくなった。研究動物が暴れだしたらしい」


 研究者の一人の裏切りによる事件だったか。魔人や獣人、ドラゴンなんかが暴れたんだよな


「そのとき俺たちは施設の外にいたから中の様子はわからなかった。だが施設からガスが漏れ出してきた。そのガスを吸ったおれを含めた奴らは体の中が壊れるような感覚に陥った。痛く、痒く、苦しい。このまま死ぬかと思ったがなんとか耐えた。その後だ。体の形、肌の色なんかがどんどん変わっていった」


 たしか魔物化の強化薬だったか。まさか人間すらも魔物に変えるとは・・・


「おれはこんな姿になっても理性は保っていられたが、中には獣みたいになったやつもいた。研究施設を見れば異形の動物たちがあふれ出してきていた。ここにいては危険だと感じたおれたちは森の中に逃げ出した。途中、何度も変化した動物たちに襲われ、俺のように変化した仲間たちは襲われたり変化に耐えられずに死んでいった。騒ぎが収まった後には、周りは俺だけしかいなかった。ここにはいられないと思った俺は一度国へ帰った。だがこの姿をみたやつらは何て言ったと思うか?"化け物"だとよ。国民だけじゃない!王族や研究者共もだ!!アイツらのせいでこうなったっていうのに!!」


 そりゃそんな姿だもの。怯えられるに決まっている。ん?今何か引っかかることがあったような・・?


「結局、誰も救ってはくれなかった。もう人しては生きていけなかった。おれは何度も死のうとした。だができなかった。自分で死ぬのも、異形の奴らに食い殺されるのも怖かった。結局おれは弱かったんだよ。なら寿命で死んでいこうと思った。だが何年経っても老衰していく気配はなかった。いつしかおれは怨むようになった。研究者たちを、王族を、国を、おれを拒絶した人間たちを・・・!!」


 なるほど、それで俺たちを見つけて襲ってきたというわけか。完全に逆恨みで俺たちまったく関係のない被害者じゃん!え、そのせいで俺は腹刺されて眼をつぶされたの?通り魔かよてめぇ!


「そうしておれはここを住みかにしてずっとこの森で生きていた」


「復讐しに行かなかったのか?その力なら王たちもも殺せただろうに」


「言っただろ?おれは弱い。怖かったんだよ、またあんな目を向けられるのが・・・」


「複雑だな。そういえばお前、この森で生きていくならあの研究施設の方がよかったんじゃないのか?」


「おれをこんな姿に変えた元凶を開発したところになんて住めるか!あの研究施設も壊そうとしたが、特殊な魔法でもかけられているのかこわすことはできなかった」


 あっぶね~。コイツにあの施設を壊されていたら、俺絶対生きていけなかったわ~。というか、こいつ瀕死のはずなのに長々と喋ってよく死なないな・・あ、【自己回復】で少しずつ治ってるのか。忘れてた。さっさととどめ刺さないと


「そうやって生きているときに貴様らに遭遇した。そして今こうして殺されようとしている。俺は、やっとこの人生を終わらすことができるのだ。さあ、さっさと殺せ!」


「・・・・・」


「どうした?殺さぬのか?おれが元人間だと知って殺すのが怖くなったのか?それならば貴様らはもうとっくに元人間を殺しているはずだぞ?伝承にある【ゴブリン】にそっくりなやつらだ。まぁあいつらはすでに子孫が大量にいるからどうかはわからんが・・それでも何体かは元人間だろう」


「いや、別にそんなことはどうでもいい。第一ここじゃあ躊躇したらこっちが殺されるだろ」


「そうか・・正しい判断だ。ならなぜ止まる?」


「いやずっと考えていたんだがな?お前が死んでもその刀は残るだろ?だから、それくれよ」


「そんなことのために悩んでいたのか・・・」


「いや、許可を得なくても結局はもらっていくから正直にいえば必要は無いんだが・・その刀はお前の

相棒みたいなものだろ?なら許可をもらってからの方が気持ちよく使うことができるってもんだ」


「・・・・。 貴様はよくわからない性格をしているな。いいだろう。ここで錆びさせるよりはましだ。くれてやる」


「やったね。武器ゲットだぜ!ということで・・・はい、ミカヅキこれあげる」


 突然の俺のプレゼントにミカヅキが驚く。まあ、いきなりそんなこと言われたら驚くよな


「え?ええ!?私ですか!?」


「うん。だって俺【半影喰】あるし。効果も似たようなもんだし。それにお前、武器もってないだろ?」


「あ、ありがとうございます。マ、マスターからのプレゼントです。大切にします!」


 なんか、すごく嬉しそうでよかった。これで"いや、ちょっと要らないですね"とか言われたらどうしようかと思ったよ


「・・・もう済んだか?ならさっさと殺せ」


「ああ、わかった。今殺してやるよ」


【半影喰】を振り下ろす。アシュラの首の中程に刀が入り込み、頭部と胴体を分ける。斬られた首の切断面からは血液が噴出し、飛び跳ねた血が俺の着ていた衣服にかかる。これで終わったか・・・。【半影喰】を消すと、俺の意思とは関係なく影が動きアシュラを覆う。カゲロウが動かしているんだろう


「カゲロウ、何しているんだ?」


「食事だ」


「食ってるのかよ・・・」


「当たり前だ。新たなスキルを得られる機会。逃すわけがないだろう?」


 なるほどね。確かにコイツのスキルは使えそうなものが多かったな。あの炎とかよかった・・・あれ魔法かな?俺使えないね?何だよちくしょう!!


よし、こんなものだろう」


「お、何かいいものは得られたか?」


「ああ、【身体能力強化】とか魔法とか既に持っているものも多かったが・・・なかなか使えるものを手に入れた」


「おお!それはいったい・・・?」


「【自己回復】だ!!これで、多少深い傷を負っても半日くらいで治るだろう」


 それは便利だ!!これがあれば【回復薬】みたいなものもよっぽどのことが無ければいらないな。経費の節減にもなる!!あれ?そういえばミカヅキを見ていないが・・・


「マスター!マスターマスターマスター!!すごいもの発見しましたよ!すごきもの発見しましたよ!!」


なんかすっごい勢いで来るんだけど。あと"すごきもの"って何だよ


「落ち着けミカヅキ。大事なことを二回言うのは大切だが、口調が若干おかしくなっているからな?」


「はっ!お恥ずかしいところを・・・。それでですねマスター、さっきアシュラのいた洞穴を調べていたのですが、奥の方に魔法陣みたいなものがあったのです。それを調べてみたところ、この島とは違うところに繫がっているみたいなんです!」


「・ ・ ・ 。うそっ!!??まじで!?この島から出られるのか!?出られれるのか!?」


「お、落ち着いてくださいマスター。二回言うほど大事なことなのはわかりますが、セリフ噛んでますよ?」


 おっと、興奮しすぎてミカヅキに同じことを注意されてしまったぜ。あ、アシュラの長話の途中で引っかったのはこの転移のことか!


「それでどうします?今からでも転移しますか?」


うーん、今から転移か・・・


「いや、今はいい。少しやりたいこととかあるし、スキルの練習もしなくちゃならない。それに、今は戦闘の直後だろう?無暗に転移して危険な場所に出たら対処しきれない可能性がある。だから今はよしておう」


「わかりました。しかしマスター。やりたいことと、戦闘直後というのはわかりますが、スキルの練習というのはどういうことでしょう?私たちはここでもかなり戦えるようになっていますが・・・」


「ああ、それはだな。もし転移したところがアシュラ並みのやつがごろごろといる場所だったらどうする?そうなったら俺たちは一瞬で殺されてしまう。だからそうならないようにスキルの練度や、戦う力を上げておこうと思うんだ」


「なるほど、そういうことでしたか。それならば何の問題もありませんね。私のこの【月見酒】も活躍できるチャンスですね」


「お?さっそくその刀に名前をつけたのか?」


「ええ。私の名前の三日月の月の文字と、敵の血おさけをこの刀がたくさん飲んでくれるという意味を持って名をつけました」


 名づけ方が想像以上にバイオレンスだったよ!怖いよ!この娘はどこへ向かっていくつもりなんだろう・・・。戦闘ヒャッハー人間にならないように、俺がしっかり見ておこう・・・



はい、ということでアシュラは元は人間でした。そして、ついに島を出る方法を発見しました。でも、あと一話島での話しになります。


この小説を読んでいただいている皆様にお知らせします。

明日から、自分の都合により、毎日更新ができなくなってしまいます。3~4日ごとの更新となってしまいますが、ご了承ください。更新頻度は少なくなりますが、これからもこの小説をよろしくお願いします。


次回、久しぶりにあの方が登場

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