11 譲渡と名付け
主人公のパワーアップ回パート2です
″影″のセリフが多くなってミカヅキのセリフが少なくなってしまった。今度はミカヅキが消えないようにしないと・・・
こいつ今、俺が食った魔物の能力スキルを持ってるとかとんでもないことをさらりと言わなかったか!?
「おい”影”!お前、俺が食った魔物のスキルを持ってるってどういうことだよ!?」
「だから、そのまんまの意味だよ。宿主はここに転移してきてから、いろんな魔物を食っただろ?」
「まあ、それくらいしか食うものがなかったからな」
「その食った魔物の能力をワタシが持っている。Are you ok?」
「ノーだよ!無駄に発音うまいなお前!そうじゃない!だから、なんで俺が食った魔物のスキルをお前が持ってんのって聞いてるんだよ!」
「なんだい。仕組みを教えろってことかい。生憎だがこれは企業秘密で―――――」
「あ゛あ゛あ゛?」
「はあやれやれ、宿主は怖いな。いいだろう。たいして隠すようなことでもないし、教えようじゃないか!」
コノヤロウ・・・
「ワタシの特性っていうのは【浸食】つまり"食べて乗っ取ること″だ。本来はワタシが直接取り込めばいいんだが、なんせ今まで宿主に支配されていて表に出ることができなかったからね。でも、宿主とは一体化に近い状態になっていた・・・いや、今もなってはいるんだが、そのおかげで宿主が食べた魔物=ワタシが食べた魔物みたいになっていたのさ。ワタシ自身が食べないから能力の取得はあまり簡単ではないのだが、宿主が何回も同じ魔物を食べてくれたりしたから、そこそこに魔物のスキルを得ることができたよ」
なるほど、まずいと思いながらも我慢して食べていた肉たちがこんなところで役に立つとはな・・・
「マスター、おいしくないご飯を食べ続けたかいがありましたね!」
そう、そのかいはあったのだが・・・あまりうれしくはないな
「それで、俺に【身体能力強化】のスキルと俺に使えそうなほかのスキルを渡すということだったが、どうやるんだ?」
「そんなのは簡単だぞ。少し待っていろ。・ ・ ・ よし、終わったぞ」
早っ!?ホントに簡単だったな
「相当早かったが、本当に俺にスキルが渡ったのか?」
どうにもそんなかんじはしないから心配なんだが・・・
「気になるのか?ならやってみればいいだろう」
「やってみる?どうやって?」
「スキルの【影】を使うときのような感覚でやればいい」
【影】を使うときの感覚で・・・
「【身体能力強化】!」
『【身体能力強化】が発動しました』
おっ、これでいいのか?【影】みたいに目の前に出現しないから。発動しているのかがわからない
「それで・・・そうだな。宿主、あのタンスでも持ってみるんだ」
あれを!?なかなか重そうなんだが・・・。というか持ち上げられるかな?
「というか俺立場的にケガ人・・・」
「気にするな」
ええ・・・、そこは気にしてほしいんだが・・・。まあ別に体は普通に動くし、取り敢えずやってみるか
「よいしょっと、おお、おおお!?」
タンスが持ちあがった。ホントに持ち上がったよ・・・。例えできてももっと苦戦するかと思ったが・・・思いのほか難しくなかった。身体全てを強化している為か、タンスを持ちながらもふらつくことはない
「身体能力強化・・・すげえ・・・」
「まあ、あの程度のタンスなら今の宿主でも余裕だろう。慣れればもっとうまく使えるだろうがな」
「ん?慣れれば・・ってスキルにもやっぱりレベルとか練度とかあるのか?」
「レベル・・・などはよくわからないが、それに近いものはあるはずだぞ?スキルも使えば使うだけ身体に身についてくる。筋力を鍛えるのと同じだ。現に宿主、スキル【影】は初めて使った時よりできることが増えているのではないか?」
なるほど、やはり何事にも練習が必要ということか
「というか宿主・・・・・そろそろタンス、下したらどうだ?スキルも永遠と発動するわけではない。そのうち効果が切れるぞ?」
切れるの!?それなら早く言ってくれないと!今の状態だと潰れて死ぬかもしれないんだぞ!?
「そういえば、【身体能力強化】のほかにスキルって無いのか?」
「そうだな、他には【耐性系】があるな。物理や魔法、毒などの異常状態などだな」
おお、そういうスキルもあるのか。【物理耐性】って練度があがったら"大気圏から落ちても無傷!!"とかできるようになるのかな?その前に【耐熱】みたいなスキルが無いと途中で燃えるか
「まあ宿主は【毒耐性】に関しては自力習得していたんだがな」
・・・え?何それ?俺別に【毒耐性】を習得するようなことをした覚えはないんだが・・・
「ほら、宿主。ずっと毒とか麻痺持ちのものを食べていたじゃないか。魔物とか、植物とか」
うそ!?俺ずっと毒食ってたの!?
「え、俺なんで毒食って死ななかったの?」
「宿主たち異世界人は、この世界に来た時点で身体に強化がされているのさ。そこにワタシを取り込む形になっている宿主はちょっとやそっとの毒じゃ体内にさほど影響は出ない。まあ来たばかりの時はそうではなかったようだがな。宿主、よく腹を壊していただろう?毒があれくらいで済んだのはそういうことだな」
もしかして、俺かなり危険なことしてたの?下手したら死ぬところだったの?
「私はてっきりマスターがそのことを知ってやっていたのだと思っていました・・・。だから毎回マスターの食べていたものより強めの毒を持っているものを薦めていたのですが」
ちょっとミカヅキさんやめてくださいます?俺死んじゃうよ?耐性つく前に死んじゃうよ?
「なるほど、俺はなかなか危険なことをしていたんだな・・・。そういえばカゲロウ、渡されたスキルの中に【魔法】ってあるか?せっかくの異世界だし使ってみたいんだが」
「残念だが宿主がまともに戦闘に使えそうな魔法は無いぞ?」
え・・・?ということは・・・
「ウソ!?俺魔法使えないの!?ショックなんだけど!!」
「使えないわけではないが、せいぜいが料理に使う火くらいだな。まあ、ワタシは使えるから、影を通して宿主が魔法を使ってるっぽく見せることはできるぞ。あくまで″っぽく″でしかないがな」
な、なんてことだ。せっかくマンガやアニメみたいに魔法で闘えると思ったのに・・・
「うう・・、グスッ・・。まあ火種が起こせるだけいいか。いや、全然よくないや・・・」
「・・・泣くなよ宿主。そうだ、ワタシの支配率が弱まったことでスキル【影】の性能があがったぞ」
性能があがった?どういうことだ?
「スキル【影】でできることが増えたのさ。【カゲアソビ】では作れる範囲と性能の強化。そして生物を象らせることのできる【ニンギョウゲキ】、収納そのた諸々使える【ブラックボックス】などだな」
なんかいろいろ増えたな。聞いただけでも面白そうだ
「実際にやった方がわかりやすいか。宿主、【カゲアソビ】と同じように【ニンギョウゲキ】を試してみろ」
「なるほど。やってみるか・・・【ニンギョウゲキ・小人】!」
俺がそうつぶやくと、掌に小さな人型の影のようなものが出現した。そして小人は俺の掌の上でピョコピョコと動き出した。おお、何だこれすごいな!!
「この小人かわいいですね」
ミカヅキも影の小人を覗く。少しの間、掌で動く小人を見ていたが"そろそろ話しに戻るか"と思い、俺は影の小人を握って消した
「マスター・・消し方ちょっとひどいですね・・・」
そうかな?
「それで次は【ブラックボックス】だな。これは通称【影の食卓部屋】というものだ。これの能力は【収納】と【結界】、【捕食】ができるのだ。【収納】は生物、無機物、生きている死んでいる関係なく入れることができる。【結界】は食卓部屋ブラックボックスの中にいれたものを内側に閉じ込める能力だ。ただ、今のレベルだと、あまりにも強い力だと破られる可能性もあるから注意するんだぞ。最後【捕食】は食卓部屋の名のとおり、ワタシが中に入ったものを食べるのだ」
「ほうほう、つまりお前・・・すっごいチートじゃないかよ!!!]
「まあな。なんせ″バグのくせに無駄に強い″と天界だは有名だからな」
「さすが″影″だな」
「なあ、宿主よ。ワタシにも名をくれないか。″影″というのは天界で発生するバグの総称だからな。ワタシにも名前というのが欲しくなったのだ」
「名前かあ・・・」
名づけはミカヅキのとき以来だな。何にしようか・・・影だから・・カゲ・・かげ・・
「よし、お前の名前は陽炎だ!」
「宿主・・なんか違くないか?」
「これ以上は考え付かない!あ、なんだ?蜻蛉のほうがよかったか?」
「どちらにせよカゲロウではないか!もう、陽炎のほうでいいわ」
「そっか、じゃあ改めて、宜しくカゲロウ!」
「ああ、宜しくだ宿主」
「あの~、マスター?アシュラと戦うといいましたが、どうやって見つけるつもりですか?」
あ、ミカヅキ。いたの忘れていた
・・・しかし、考えてなかった。どうしよ。適当に森の中歩いていたら見つかるかな?どうしようか。あ・・こんなときにぴったりの能力を持ってる人がすぐ隣にいるじゃないか!
「なんですかマスターこっちをじっと見て。もしかして私に【情報収集】でアシュラの居場所を見つけさせようとしているんですか?なんか便利もの扱いされている気がするんですが・・・ああもうわかりましたよ。わかりましたからじっと見ないでください」
「さっすがミカヅキ!頼りになるなぁ~!!」
「おだてても何もでませんからね?情報収集クラッキング・・・アシュラの痕跡を見つけました。これをさらにたどれば居場所が分かると思います」
さっすがミカヅキ!扱いやすいなぁ~!
「やはり宿主たちは見ていて楽しいな」
こうして俺たちは、対アシュラ戦に向けて準備を進めていった
はい、というわけで″影″に名前が付きました。
ステータスは今後、自分の都合で改変していくことがあるかもしれないので、了承してください。
次回、リベンジ戦です




