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ベルリク戦記 ー 戦争の生涯 ー  作者: さっと/sat_Buttoimars
第2部:第14章『ぼくらの宇宙大元帥』
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05話「出戻り」 ベルリク

「やっほー! ブットイマルスー(前衛的流行挨拶)!」

 青空から手を振るブットイマルス男、ジールト。名前を覚えてしまった。

 オング高原北部チュリ=アリダス共和国シボルバート市近郊アリダス川流域。そこの夫婦山、おっぱい山、まんこ谷、などなどと呼ばれる地点にある中洲。手繋ぎ島、ほくろ島、陰核島などと呼ばれる地点。

 差異はあるがマハクーナでの仮面相撲を思い出す。あれも中洲。

 空に影、凧のようでもある。それのぶら下がり取手を掴んだジールトは、足を後ろに伸ばして足かけに置き、腹這いの姿勢で操縦。発進元はおっぱい岩の片乳首から。

 遠くからではゆっくり、段々と旋回しながら高度が下がるにつれ実際の速さが見えて来る。そして地面すれすれ、真後ろに伸ばしていた足を下ろして走るように接地、減速、停止、中洲に到着。

 「よいしょ」と言いながら操縦手ジールトは凧ならぬ、滑空機を片付け始めた。

 ボルダ前大統領がジールトに近寄って、「ちょっと待ってね」と言う顔に張り手一発。失神。

 赤子を背負ったジールトの嫁さんが身体を回収。

「お父さん馬鹿ねー」

「あうー」

 競技を終えたボルダが挨拶に来る。

「名付けて航空相撲」

 杖を脇に挟んで緩く拍手。ちなみにボルダはジールトよりかなり早くに、もう片乳首から着地して待っていた。

「登山、滑空、相撲。どんな気分でしたか」

「発汗疲労、風速冷却、ぶん殴る。相手が良ければ絶頂」

「ほう」

 ボルダも己の滑空機の後片付けを始めた。

「片付けも?」

「これは、引退ジジイに小間使いはおらん、ということです」

「なるほど」

 東方遠征ではジールトがこの、賊の頭とも教主ともつかぬ名士を帝国連邦に引き込んだ。後レン朝が保護する天道教青衣派と繋がる切っ掛けになった。

 現代的な表現でいえば化学反応の触媒。奇妙な引力を発する奴だ。流石、流石? 軍務労働英雄の息子。とりあえず只者ではない。

 只今、真っすぐ後レン朝に向かわず寄り道中。身重のソルヒンの体調確認という名目だが、実際は自分の体調管理のためである。

 座席に座っていると腰が痛い。寝ると腹具合がどうも、胃液が逆流気味。揺れる車内で立つことで体幹を鍛えたが疲れる。

 中洲の外、川沿いでは天力傭兵団が革球を追いかけ回して球技を楽しんでいる。面子は極東人種と石の呪術猫人形。一番目立つのは金仮面を被った隻腕男。

 彼等をジールトが魔王軍に引き合わせ、フラル戦以降は帝国連邦に引っ張って来た。かつて我々が新大陸へ追い払ったのに、世界を一周して。

 彼等は極東を目前にして不安がっていた。出戻りというのは気分が悪い。厄介者として出た後なら尚更。列車内でも腐ってたし、この川原に連れて来ても立ち小便くらいしかしていなかった。

 そこで一説。

 ”稼いだ黄金を数えろ。お前等は凱旋だ。恥じ入ることがあったか?”。

 で、今はこの通り。

 彼等の凱旋先は極東だったり新大陸西岸だったりだが、俺は凄い事をやってきたと他人に自慢出来るくらいの顔になった。

 荷物で応急に作られた寝台で横になっているジールトのところへ行く。石原を義足の杖突き歩きは辛いが、何とか転ばないように行く。

 ジールトの様子を見ながら、手の上で薬を作っている彼の奥さんの隣へ。

「あううん」

「よっ、坊主」

 赤ん坊の顔と声、今は機嫌が良いらしい。

「どうも閣下。夫が見苦しい姿を、この馬鹿面」

 ジールトの嫁さん、何か、綺麗にしている馬みたいなにおいがする。馬丁でもこのにおいは出さない、出せない。それからズボン越しでも足腰が発達しているのが分かる。何者?

「奥さん、子供ってどう育てましょうかね? ウチは長女が文、長男が武、次女が聖、次男が俗って感じなんですが」

 結婚の無効を切っ掛けに彗星ちゃんの教育方針が明確に定まった。

 ダーリクの親権がセリンに渡ったように、彗星の親権はジルマリアへ渡る。そして聖王親衛隊が責任をもって育てるそうだ。大体、ミクちゃんが侍った時点でそういう方針。親父として横から口を出す権利が無くなったとも言えるが、元々そんなことはしてなかったな。

「うーん、私はこの男の真似だけは心配ですね」

 ジールトの鼻の下に臭い軟膏が塗られ「はきゅん!?」と起き上がった。気付け薬。

 ダーリクとソルヒンの孫、どうする?


■■■


 チュリ=アリダス、トンフォ峠、ウラマトイを通ってライリャン川河口フンツォ湾沿いのジューヤン市へ入る。

 ソルヒン帝の玉体お披露目は首都イェンベンが相応しいが、何分遠いし、あちらでは儀礼式典などなどと身を縛るものが立場上強制される。このような中核都市の一つだが地方都市にて、訪問というより一時休憩で立ち寄ったということにすれば諸々省略して会談に集中出来る。

 列車がジューヤン駅に入って停車。民間人による歓迎は駅構内では省略。代わりに先に送っておいた天軍禁衛兵による、降車口から外まで着剣銃兵、抜刀士官の徒列壁。

 何をどうするかは事前連絡済み。外で出迎えに来たのはリュ・ドルホン光復大臣、つまり首相。軍服準拠で作りが少し簡単な人民服姿である。極東流の革命衣装である。

 ソルヒンの妊娠は伝えてあったが、実際見てみると迫力が違う。腹を締め付けない帯の巻き方で、その色は青衣派を意識しての青染め。天子の黄染衣装との組み合わせが映える。

 侍女達がやや大げさに介添えしながら女帝と降車する姿は文章から想像するものとは違ったかもしれない。

「ば、万歳!」

 リュ・ドルホンの一唱。おそらく想像を越えた君主の姿、動揺から衝動的に口から出たもよう。

 その態度に何事か? と出迎えの閣僚一行の顔色が変わり、合点がいった者から慶事の溜息、『おお』との声。

「おめでとうございます」

 ドルホンが音頭を取った。

『おめでとうございます!』

 唱和。

「ご苦労様です」

 ソルヒンが一言かけ、それから迎賓館へ移動。

 ソルヒンは屋根と御簾付きの輿に乗り、天軍禁衛兵の護衛と行進で大通りを通る。

 自分は騎馬で、黒軍と共に堂々と。凱旋の気分で肩で風を切らせる。

 民衆は平伏。嫌なら屋外、裏路地にいる。

 迎賓館の会議室を使った。関係者以外は人払い。

 女帝ソルヒン。今までなら席を外させるかただのお飾りにしていた。今日から喋らせる。

 遊牧皇帝ベルリク=カラバザル。蒼天王という名乗りでもいいが、これは龍朝向けの称号。必要だと思ってここまで来たが、自分は一体何をしているんだろうな。

 光復大臣リュ・ドルホン。政治的な行動をするのなら事前に相談しろ、とは中々言えない状況が苦しいか、表情筋には出てないが瞳孔と呼吸に出ている。

 国を半ば追放する形で天軍として西に煩わしい女帝を送り出したと思ったら、宗主国の親玉の子供を妊娠して戻って来ました、となれば前例の探しようも無い。頭の整理も難しい。ただの数多いる不良皇族娘なら軟禁とか適当な家臣に下げるとか、やりようも無くはなかった。

 後レン朝が保護する天道教青衣派の代表ボルダ。儀礼式典にはとりあえず一言添えて貰う。蒼天と天政、この二つを繋げる結節点になる。その昔は違ったが、ユロン高原から下ったレン朝が勃興した時にそうした。

「実行されるのは私とソルヒンの結婚式。そこからの目的は立場によって変わります。まずはそれぞれ、忌憚無く目指すところを語りましょうか。

 帝国連邦としては目下、龍朝による東西挟撃の可能性を低下させたいところです。戦火を敢えて交えるような牽制はしません。したくありませんね。

 次、ソルヒンからの提案を受け入れてのことと前置きしますよ。目的は、最終的に正統天政の生産能力を利用することです。利用先は今世代の最終解決。最終解決とは? はっきりした答えを出せれば良いのですが世界情勢の行方は定まりませんので、あしからず。

 非常に大雑把に、宇宙征服ぐらいな夢想が最終到達点。これは流石に遠大過ぎますが、このぐらいの目標があればこそ解決出来る問題もあるでしょう。少々、分かり辛いですかな」

 ソルヒンはすまし顔。約束の履行発言に満足か、腹に手を当てた。

 ボルダは良く言ってくれたという顔。指導者としての格好が付いた。

 ドルホンは表情を隠している。これは敵になることもありそうだが。

「ソルヒン」

 自分の言葉を補足して貰おう。

「はいあなた。結婚式の前に悪蛇共へ招待状を出します。また賓客を、敵味方問わず広く呼びます。これで帝国連邦への挟撃を防ぎます。慶事に荒事を仕掛けるのは不道徳です。また蒼天王は賊軍共が認めた称号、名目上の家臣。その家臣の慶事を穢すのは更なる不道徳。あの蛇蟲共に己が正統であるという認識、品格が最低でも備わっているのであればそのようにするでしょう。

 出来ればですがシャンルを呼びたいのです。式典中の人質と言いたいところですが、個人的に呼びたいです。正統たる我々の下に戻ってくれれば幸いですが、亡き老兄の穢らわしい偽者が心を掴んだままでしょうから期待はしません。同じく、慶事に荒事を仕掛けるのは不道徳。声掛けの程度は弁える心算です」

 纏軍を天軍にする時に仕掛けた彼女が、あの時のようにはしないと口にする。

 ドルホンがわずかに喉の奥で唸ってから、失言を避けるような抑揚で発言。

「イェンベンには東王家の祭具がございますが、天子に相応しい物は手が付けられていなければ全てヤンルーにございます。賊軍がどのような処置をしたか不明です。こちらで新調するとなればお時間が、その間にお子様も、時期を調整しなければ」

 祭具はさておき、結婚式に大きな腹で新婦を披露などと庶民でも外聞が悪い。伝統的ではない。ただ異例なのは女帝が君臨している治政下で、宗主国の君主が相手であること。前例が無い。固い頭には入り辛い出来事。

「大臣。私がヤンルーで確認した時には一揃いありました」

「は……」

「招待状を出す時に返還を要求しましょう。貸すから後で返せと厚かましく言って来るかもしれませんが、まずは式をやり遂げます。ボルダ殿」

 ソルヒン、ドルホンに口を閉じていろという風に話を回す。

「あまり儀式に口を出す教えではありませんが……清貧とせよ、です。しかし宮廷祭礼的ではありませんな。格の違い、正統性の証明には先祖に加えて前王朝代々の祭具と、それに相応しい添え物となれば華美にならざるを得ません。それから屋外、青空の下で行うのが蒼天の教えと合致します。青衣派としてもそれが最高の飾りです。天候を見てやるのは少々面倒でしょうか。吉兆と呼べるほどの晴朗、曇天雨天はあり得ません……」

 ボルダが式典をどうすれば良いかと長く語り出す。お任せする立場で宗教知識が浅いので言葉が耳に入っては素通りしていく。

 さて後レン朝の内情であるが、功臣の粛清に失敗したまま。群雄としては優秀だった者達が、論功考証で土地や役職を数多く獲得して国内権益を牛耳っている。

 そんな者達が中央集権国家の軍人、官僚、政治家、商人として優れているかは全く別の話。

 有能だが不忠で汚職塗れ。無能だからただ単純に効率が悪い。無能で不忠だから最悪、などなど。税金の回収効率が悪いとも言う。

 不忠の話については、本人が中央に忠誠を誓っていても一族郎党の権益が絡まれば何ともし難いもの。根本”治療”は根切り以外困難。

 そんな彼等には自分以外にも守るべき者がいる。であれば権益を取り上げた時の反発は連鎖的に拡大。場合によっては国家転覆規模の反乱。龍朝からの支援が入れば尚更。

「時にリュ大臣」

「は?」

 ボルダの話を切って、心が半分どこかに行っていたドルホンに声をかける。

「よっと」

 立ち上がって部屋の扉を開けて、手を叩いて呼ぶ。

「この部屋くらい仮面は脱ぎなさい」


■■■


 杖を突いて散歩、隣でアクファルが介添え。息子のダーリクは、息子が親父の肩を支えるわけがない。

 最近は転ぶことも無くなったが、咄嗟の動きで踏ん張るとあちこち痛む。

 ヨボヨボの爺さん、びっこ引くぐらいの腰痛持ちみたいな歩き方はもうしないと理想を描きながら、老紳士がお洒落か護身に持っている程度の杖捌きで行く。流石にもう、あの寝起きの弱った身体ではない。

 しばらく内陸にいたので海の匂いと波間が見たくなった。港へ行く。缶詰工場が痛んだ魚を一塊にしてある悪臭もまあ、まあ、まあまあ。

 時間的にまだ掛かり、入港先も違うが、極東艦隊とセリン艦隊はまだ洋上にいる。海は世界に繋がっている。海が見たい。

 ジューヤン港にある軍艦は鋼鉄船体と蒸気機関が主流。沿岸防衛用の装甲艦が多く、遠洋に出るなら機帆船がほとんど。大分現代的。

 実際に見たわけではないが、これでもベーアとロシエの帆要らずの大型外洋艦と比べたら玩具。そういうランマルカからの資料、情報があった。

「見ろダーリク、世界水準から見るとこの海軍でもカスだ。竜大陸から黒軍を世界に送り込むってことは、この馬鹿みたいに金を掛けた安い艦隊なんか沖から礼砲聞かせただけで桟橋の防舷物になるぐらいの海軍力が必要になる。ギーリスの爺様の時代とは違う。当時は当時で正面戦力は必要だったわけだが……セリンから一族の話は大体聞いてるだろ」

「はい」

 この息子、孫の生産元。何とも、ソルヒンに後ろ髪引かれている印象が無い。こいつ実は結構遊んでやがるのか? 十六歳がこの野郎。

「艦隊を作れるだけの出資が必要ですね」

「金を貰うということは首輪と鎖がつくということだ。自由なんて遠いも遠い」

「拿捕」

「機械船の維持と専門家の雇用維持、相応の海からの収入。その辺の港から酔っ払い攫ってどうにかなる規模じゃないぞ。ほら、あれでお前、海軍とやり合うか?」

 指差す先の木造商船が並ぶ姿は分厚い木の要塞線が如き。しかし現代では頼りない。被弾一発で轟沈、そういう前時代構造。

「出資させまくって、手が引けなくします」

「それだけの名声をどうやって稼ぐ?」

「父様の名前も使います」

「お、良い根性してんな。具体的に?」

「ナレザギーおじさんにねだる、権益を惜しみなく振る舞う。フルースくんを仲間に引き込んで人質にする。シレンサル宰相におねだりする。イブラシェール閣下に”お母様”って言ってみる。ザラに何とかしてって言う。ほら」

「ほら? おう、この野郎」

「一光りも出来ない親が多い中、息子として幸せです」

 セリンはどうやって育てたんだろうな? 自分が横から口出した覚えはほとんど無いぞ。

 商船に混じって見覚えがある船影が……。

「呼ばれて!」

「飛び出て!」

『ポポコチーン!』

 この声、言葉、勢い、まさか!?

「おちんぽー!」

 黒いおリンちゃんみたいな、ファスラの孫イスカがダーリクの股間を股ぐらを滑って潜って背面取り、ちんぽを掴んで引っ繰り返して前に転ばせ、逃げた。

「お前、おリンの息子だな。あいつやっちまっていいぞ」

 前受け身で転倒を防いだダーリク、腕立ての姿勢から跳ね起きる。

「とりあえず、追っかけて捕まえてみます」

 ダーリクは走って追いかけだした。保護者の許可済み。

「ダーリク=バリドだったっけ、元気な奴だな」

「ああ。イスカちゃんもデカくなったな。でもあのおっぱい、子供産んだ感じじゃないな」

「出来ねぇまま別れたよ。エスナルの情熱も国難を前にしちゃしょうがねぇ」

 ここで再会するとは思わなかった。

「ファスラお兄ちゃん」

「よお旦那、酷ぇ老けたな。二本ももげやがって。ちんぽどうした、三本もか?」

「朝は勃つぞ」

「夜は?」

「今相手がいねぇな」

「あん、右手と嫁さんどうした。太り過ぎたか?」

「結婚無効。神聖教会絡みだ」

「へえ」

 相変わらずのファスラ。髪も髭も長くて黒艶、元から年齢不詳な顔に体付き。

「何してた?」

「エスナル海軍と協同で冒険航海だ。竜大陸周りの沿岸調査もしたし、水深も測って海図も描いた。季節毎の航路の確定もして入植民に食わせてたが、大体やり終わってもう暇だな。後はハゲんとこの商社の仕事だ」

「海賊どうした」

「龍朝の商船団相手にあの木箱じゃもうどうもならねぇ。お陰でケチな商品捌いてる最中だよ」

 南洋の悪夢、ファルマンの魔王号が木箱扱い。時代が変わったと感じるのは何度目か分からない。

「ファスラ頭領が泣き言か」

「へっ。ベルベルは何する気だよ」

「結婚、二回目。五人目がいる。実は孫なんだが」

「相手は誰」

「ソルヒン帝」

「はっ! やることが違うな兄弟。藩王に棒っこ突っ込んだだけはある。おリンのお馬鹿怒ってたろ」

「可愛かった」

「兄弟、面白いこと以外出来ないのか?」

「そうだな、ダーリクが竜大陸に黒軍の拠点置きたがってた。これも面白いか?」

「黒軍? 噂は聞いたが、どういう連中だよ。街ん中におっかねぇ兵隊共いるが、あれか」

「俺の私兵。ダーリクに、連中に認められたらくれてやることにしてる。今は一隊だけ任せて様子見。セリンは乗っかるだろうな、海軍辞めたし」

「おお、すげぇな」

「暇ならやってみるか? 竜大陸に詳しいファスラ伯父ちゃん」

「この時代遅れに、渡りに船って言うが、ほお……おおん。むう、うんうん」

「”器”があるか、見てみても面白いぞ。それからでもいい」

「試し時が来るってことは、またここでやんのか?」

 東西挟撃の抑止。戦火が上がると失敗、なんだがなぁ。

「まだ政治で掣肘出来るかどうか」

「時間がかかるな。さてベルリク、お前、足萎えジジイで終わるわけにいかねぇな?」

「ああ」

「カザイ亜流、ファスラ流でそのポンコツを修正してやろう」

「お、マジで? お兄ちゃん師匠」

「まずは俺の動きを見て覚えるんだ。手本が分からなきゃ真似も難しい」

 達人の手捌き、ファスラがアクファルの尻を撫でる動きから股に差し込んで抜く。なんと!?

「おまんこー!」

 そして叫んで逃げ出す。アクファルが拳銃片手に追う。瞬時に刀や弓矢など手に持つと追いつけないと判断したか。

「デカ過ぎぃ! アクファルおケツがデカすぎる! 筋肉筋肉ぅ、反応が乙女、安産未使用だってはっきり分かんだな!」

 アクファルは発砲、口笛、兵隊を呼ぶ。黒軍の力もファスラに見せてやれるようだ。

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ファスラお兄ちゃん流石!元気でよかった
革命天政!?革命天政!!
1年くらいかけてやっと最新話まで到達!ここまで引き込まれる作品は中々ないです。更新が待ち遠しい。
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