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ベルリク戦記 ー 戦争の生涯 ー  作者: さっと/sat_Buttoimars
第1部:第2章『アッジャールの大侵攻』

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02話「制度改革と」・ベルリク

 秋になる前に聖都からイスタメル州に戻って来れた。

 シルヴからは、ベルリクありがと大好きチュッ! という反応は無かったが、概ね大団円。

 ある用事が済むまでの一時、シェレヴィンツァのバシィール城主邸で過ごしている。

 正式に別宅が割り当てられた。都会派な奴なら本拠の城ではなくこういうところに住み着いて地方に代官を置いたままにする。中央集権的な統治に重きを置くなら、僻地に常駐しなくても良いと言えば良い。

 先に、奪還してきた魔族の種の引渡しを、港で威圧的に待ち構えていた魔導師達へ行った。そしてお供のセリンと、休む間もなくルサレヤ総督と見知らぬ別の魔導師達に報告をして、魔神代理宛ての手紙を儀式ばって渡した。

 慣れぬことをして、難しい言い回しを使うことで異常に疲れた。異教の儀式に参加して吐き気を催す程に疲れた。途中でゲロを吐きかけてやろうと思ったぐらい。

 それからは航海で狂わされた感覚を取り戻そうと、規則正しい生活を心がけている。

 朝は糞してから土の上を歩くことを心がけて散歩。挨拶は積極的に。

 昼は召使い頭がいないので静かに自炊。昼食会に招かれたら基本的に断らない。

 夕方までは本を読みながら魚釣り。自分で食べるよりも猫やカモメにくれてやる。

 夜は適度に酒を飲みつつ、今後何をしたらいいか考えながら寝る。

 今は昼過ぎ、港の岸壁で魚釣りの最中。目立たないよう、故郷から着てきた革の上衣を着ている。あと三角帽は三角頭の異名で有名になってしまったので、最近妖精達が帰還祝いにくれた五十七個の狐の毛皮帽子の一つを被っている。残りの五十六個はセリンの部下達にくれてやった。非イスタメル人同士、仲良くしていきたいところ。

 そのお返しで、読んでいる本は海軍の連中から貰った恋愛小説の”ような”物。”ような”とは、具体的な描写で性行為ばっかりしているから。こんな物が世に出回っているのかと感心してしまう。エデルトにはあったと思うが、セレードには無かったと記憶している。

 こんな頭に隙間がたくさん出来そうな物も読むが、それだけではない。

 アソリウス島事件時に、ルサレヤ総督がへろへろになって応援に駆けつけてきた時、持ち帰ってきたお土産があるのだ。

 事件終結後に状況が落ち着いてから、ルサレヤ総督が中身をまとめて発表したお土産とは、臨時御前会議で決議された制度改革案、その書類だ。先の大戦終結を期にその会議は開催されたもの。

 ちなみに、臨時御前会議は必要に応じて開かれるもので、大宰相の五年任期満了毎に開かれる定期御前会議というものが別にある。

 改革されたもので、自分に関係ありそうなものは四つ。

 一つ、州内軍管区制度の設置。

 州総督の監督指揮下の軍管区を、州の規模に応じて設置する。軍管区の長は師団長とし、管轄地域内の連隊等を師団に編制して管理する。これは中央軍に準ずる。

 中央軍は画一的な教育を行い、装備を持って属人性を排除しているので大規模に標準化されている。魔都の親衛軍、魔神代理領直轄州で採用。

 州軍はそのような教育、装備が担保出来ないので城主連隊制によって小分けのままにされていた。画一性の無い征服地の現地人に標準化を求めるのは酷なこと。

 教育と装備の標準化以前に、連隊編制が最大とされてきたのは反乱防止策とされている。基本的に現地人が登用されるのだが、大規模編制軍の指揮を与えてしまうと一軍の単独反乱どころか民族反乱にまで発展させ易いとされている。過去に例がある。

 先の大戦では、上位指揮官を失った城主連隊同士が内紛を起こし、最悪の同士討ちから離反まで起こしたという案件がある。

 その内紛の理由がまた”俺の方が爵位が上で血統が古くて尊い”。”この中で俺が年長で歴戦である”。”あいつ嫌い”。”親の仇だから殺す”。だとか言う理由が多かったそうだ。あの聖女ヴァルキリカがこの弱点を突いたとか。

 州総督と城主の中間にあたる役職があっても、正式に存在しなかったのが今まで。総督代理や将軍、将軍級高級奴隷が中間職を務めてきたのだが、先の大戦のような激戦が長期間続くとその者が死傷し、病気になって不在化する。そうすると階級差が曖昧な城主間で実力主義の主導権争いが発生してしまう。

 師団編制にすると単純に、階級と年功の序列に従って役職が決まるので特定人物が失われても法則的に繰り上げ充足が行われるようになる。原則的には士官が払底するまで繰り上げが行われる。

 それから州を跨ぐ大軍管区制の話もあったそうだが、州総督権限を侵すので却下されたそうだ。州毎に異なる事情、外交関係に影響が出るとか何とか。流石は帝国三つ分ぐらいの大国様、規模の違う話である。

 二つ、内務省から首都警察局の独立と、首都警察局の警察省への昇格。

 今まで州内の治安を維持してきた城主連隊による警察活動を段階的に廃止し、警察省指揮下の警察隊が警察活動を行う。高級警察官僚とその補佐達が現地に派遣され、職員を現地採用して教育しながら数と担当区域を増やし、城主の仕事を段階的に譲っていく。

 連隊が本来の軍務に専念できるようになる。これは歓迎する。全隊を一斉に行動させることがほぼ出来なかった。一斉訓練、外征する時はどうするんだ? と悩まされてきた案件である。

 それと妖精達に警察活動をさせるのは少々、もう抜けつつある混乱期が過ぎたら流石に世間様に見せられないボロが出てくる。お得意の不条理革命裁判ごっこで人間殺しをさせるのはもう終いの時期だ。あれこそ逆に取り締まられる。責任者は人間であるこのベルリク=カラバザルだぞ。

 三つ、知事裁判制度の廃止。

 県知事の代わりに俗法省が各地に裁判所を設置し裁判官を派遣することにより、知事は政務に専念できるようになった。州総督が知事の仕事を監督する負担も軽くなる。

 魔神代理領の法に関して不勉強な県知事がいて色々面倒事が起きているとは噂に聞いているから良いことだ。専門は専門店へ、分業は素晴らしい。

 マトラ県に来た裁判官は一体どんな苦労をするのやら? 妖精達ならそんな裁判所なんて利用しないんだろうが、人間との諍いが持ち込まれたとき、きっとたぶん変なことになるだろう。

 四つ、内務省保安局設置。

 魔神代理領内の治安維持能力向上のための専門機関、保安局が増設された。保安局から派遣された職員が独自権限で動き、担当地域を調査し、必要とされる措置を取る。

 措置とは権限範囲内で可能なこと全てである。不気味なほど自由ということだ。その中でも最も強力なのが、内務省軍から派遣された憲兵旅団の出動。彼らの仮想敵は外国人と、一般人と、勿論我々州軍である。この制度自体、軍管区制度への対抗措置だろう。

 尚、有事には憲兵旅団が州軍指揮下に入るので、嫌がらせはちょっとだけにしよう。

 さて専門店の一人としては州内軍管区制度に注目する。


  イスタメル第一師団:師団長イシュタム=ギーレイ

  イスタメル州直轄各連隊(下位隊略)

  獣人奴隷騎兵隊

  竜跨隊

  内務省軍属憲兵旅団(平時は指揮系統外)


  イスタメル第二師団:師団長ルリーシュ・ヤギェンラド

  東部方面各連隊(下位隊略)

  マトラ旅団:旅団長ベルリク=カラバザル・グルツァラザツク・レスリャジン


  イスタメル第三師団:師団長ラハーリ・ワスラブ

  西部方面各連隊(下位隊略)


 第一師団の師団長が高級奴隷のイシュタムとはやや驚いた。他師団長から各隊高級将校人事も城主連隊制の延長線上。

 まず指揮官戦死時の繰り上げ充足の仕組みはどうする? と考えた。だが制度発足時には旧制度の影が残るのは当然のことなので、まあ、こんなものだろう。まだまだ標準化教育などされていないのだから。

 しかしイシュタムの負担が増えすぎではないだろうか? ルサレヤ総督の補佐の片手間に出来る仕事か? 過労死しないか心配になる。

 それから竜跨隊って何だろ? 竜と言えばルサレヤ総督の友人にタルマーヒラとかいうシルヴと一緒にぶっ殺した竜がいたが、さて?

 それにしても第二師団の師団長に指名されなくて良かったと思っている。クセの強い妖精達に加え、血の呪いを掛け合っているイスタメル人共の相手なんかしたくないのだ。面倒臭い。

 師団長があの泣き虫ルリーシュ――アソリウス島のイルバシウスの門突撃時に泣いてたアホ――なのが少々引っかかるが、熟練下士官にしごかれる新米士官のように扱えば良いか? 泣くのはいいから仕事をこなす奴だと願いたい。今となっては一々こいつが泣くたびにラハーリを呼ぶわけにはいかないので、後でルサレヤ総督には指揮不能時に解任する権限を貰わなければいけない。少なくとも、それに近い何かだ。

 第三師団の師団長ラハーリはイスタメル筆頭の土着貴族で実績もあるので順当だ。本人は責任感からやる気になっているとは思うが、あの歳不相応な老け面にハゲ頭じゃ先は長くないだろう。後継者育成はしているか?

 そんな風に考え事をしながら変態小説を読み――背面の谷間をなぞるように降りて、さらに深い――という文章のところでラシージがやってきた。

 ラシージは頭に布を巻いて、略章付きの上が黒、下が白い軍装姿で手には書類鞄。子供のような背丈で、耳先が尖っているのが特徴的な妖精だ。大ボケ揃いの妖精達の中では真っ当、どころか人間と比べても優秀な頭脳を持っている貴重な人物。顔を合わせるのは聖都へ向けて出港して以来だ。連絡を取る手紙はその前に一度してあるが。

「お帰りなさいませ旅団長閣下。こちらも完了しました」

 相変わらずの無表情で無感動な口調だ。ここで感情的になられても困るが。

「おうただいま、ご苦労。じゃあ支度するか」

 返事をしながら桶に入った魚と海水を海に戻す。釣り道具を持って別宅に戻り、本にしおりつけてその辺に投げて、沸かさないでとっと水風呂に入って、軍装に着替えて、三角帽を被り、身形を確認してから総督府へ行く。

 前々からの成果、そして次への階段を上るのだ。

 総督府に入り――衛兵に敬礼を受けながら――総督の執務室の手前にある秘書室で、黒毛の犬頭の横っ面――目が横についているので――で書類を睨んでいる第一師団長イシュタム=ギーレイ殿に一言。

「いらっしゃるかな?」

 この男、軍の役職を正式に頂いても軍服ではなくて、前と同じ黒い質素な奴隷官僚の服だ。

「いらっしゃる。今は問題ない」

「な、補佐と師団長兼任するのかい?」

「一日中編制表と訓練日程を睨んでいる必要は無い。正式に総督代理も到着される予定で、私の仕事も変わる」

「正式な代理?」

「魔族の方で、官僚や軍人を三百年程勤めた方だ。総督閣下の子孫でもある」

「そりゃ心強いな。あ、そう、竜跨隊って何だ?」

「総督閣下一族の私兵のようなものだ。総督代理とともに到着する予定だ」

「あのタルマーヒラみたいな?」

「タルマーヒラ様とは違う。老齢であの方程の巨体になると滑空か、跳躍の補助が限度だ。隊の竜は素早く飛行が出来る若者達だ。遊牧民でも体の小さい子の方が馬の競争で有利だろ? そんな雰囲気だ。若くて身軽な彼らは人間を乗せて飛べる。装備次第では空飛ぶ砲兵か騎兵か騎乗歩兵か、だな」

「そんなのいたら無敵じゃねぇか。上空から一方的にドカンドカンか」

「空中からの砲撃は無理だぞ。組み立て式の小型の砲を複数に分けて何とか運べる程度だ。弾薬も運ぶとなると時間がかかるから運用は変則的だ。爆弾は落とせるが、はっきり効果が出せる大きさでは運用が難しい。銃は馬上の比でないほど当たらない」

「ほら無敵だ」

「地上からの射撃を許容出来て、尚且つ離脱も出来る高度を取りつつ爆弾を落とすとなれば難しいことなのだ。鳥が何故ああも軽やかに飛ぶのか分かるだろう? 毎回都合良く滑空出来る高台、隠れる場所があるとは限らない。故地の山岳地帯ならば良い具合だが」

「なるほどな。でも、何頭、いや何人かで一斉に一つの大きい爆弾を上げればいけるだろ」

「総督閣下の長距離飛行を想像して貰っては困るが、滑空ではない羽ばたいての飛行は竜にとって、我々にとっての全力疾走並の疲労がある。疲れて高度が下がれば良い的になり、高空から落ちれば普通に死ぬ。それに人間のように消耗品扱いできるような人数はいない。擲弾兵が敵陣に突っ込んで手榴弾を投げに行くような行為をする余裕は無い」

「用途は?」

「偵察、伝令、かく乱狙撃の軽攻撃、火矢や手榴弾や火炎瓶での焼き討ち、爆弾投下での威嚇、小規模な歩兵隊の輸送といったところか。竜はその昔は矢も剣も槍も効かない最強の生き物なんて謳われていたが、銃弾や強い弓は効く。馬以上に的が大きいから、今じゃ正面切っての戦闘には使えないな。馬を脅かして騎兵隊を混乱させることは出来るが、そこまで接近すると銃で撃たれやすい。寄せ集めの徴集農民相手でも同様だな」

「タルマーヒラみたいな銃弾も効かなさそうな凄い竜も来るのか?」

「あの方は特別身体能力に優れておられたから巨体でも従軍できた。大抵の竜はあそこまで成長する前に死ぬか、巨体の自重を支えるのが辛くなって引き篭もりがちになってしまう。それから竜は高齢で巨体の方が出産が安定するんだ。そうなると当然戦争には誰も出たがらない」

「ババアになるとモテるのか」

「生物として違うから何とも言えん」

「つまりウチのババアもモテる?」

 イシュタムは一瞬耳をピクンとさせ、さっさと行けと扉の方へ顎をしゃくられる。

 両開きの扉を軽く叩き、「マトラ旅団、旅団長、バシィール城城主ベルリク=カラバ……」「長い、いい、入れ」と中断されたので執務室に入室する。

「失礼します」

「ようベルリク、見ての通りの美貌だからババアでもモテモテだぞ」

 扉越しに聞かれていたことは想定済みだ。

「でも口説かれますか? 私はルサレヤ総督のこと大好きですよ。チューしたいです。結婚したい相手はいるのでそこまでは言えませんが」

 ルサレヤ総督は人間を辞めた魔族。赤い羽毛の髪からは角が二本突き出ており、目は爬虫類のように瞳孔が縦に割れた緑色。背中の赤い鱗の翼は普通の腕のように器用で、椅子の肘掛に肘をかけ、三本の指でカツカツ叩いて鳴らし、人間の腕で腕組しつつ顎を撫でている。総督も服装は上が黒、下が白の魔神代理領の軍装。略章は面倒なのか一つもないが、それ以上の物が頭とか背中についている。

「あー、そう言えば口説かれないなぁ。口説かれるような歳になる前に結婚したしな。それからはモテはモテでも先輩後輩のアレだしな。まあいい、用件は?」

「ラシージ」

 ラシージが書類鞄から書類の束を取り出し、「お願いします」ルサレヤ総督に手渡す。

 これは兼ねてより作成に手間取っていた、マトラ県の戸籍調査書類とそれの抱き合わせの関係書類だ。

 何故手間取っていたかと言えば、まず妖精達には個人名がほとんど無い。ラシージのような指導的立場にある者ならば持っている可能性はあるが全員ではない。そして全員が住所と職業が不定で、好き勝手に家や職場を渡り歩いている。家族関係もあるようだが、母乳が必要ではなくなると産みの親からは離れ、集団で保育される。

 こんな条件下であるので、名前のある妖精、マトラ県知事のミザレジが一工夫した。全員に一回だけ市庁舎に来るようお触れを出し、広場で整列させて数えて帰すという力技で、職員が混乱するほど忙しかったり、市庁舎周辺の備蓄食糧が枯渇したり、辺境にある部落にはお触れが伝わっていなかったり、締め切り期間後に集団で現れたので期間を延長したりと苦労の連続だったそうだ。集団保育されている子供や、動けない病人老人障害者は特定の場所に留まっているので計上は早かったらしいが、期間中に生まれたり動けなくなったりで人数に誤差があるそうだ。

 書類内容は、戸籍調査で判明したマトラ県の人口は現在約五十万人。その中でも民兵適格者は全て軍事教練の基礎を学習済みである――ただし共和革命派流――そしてマトラ県にて民兵組織を設立することを提案する。

 ここにマトラ県知事ミザレジが提出する提案書を、マトラ旅団長ベルリクが連名で提出する。尚、弓矢、刀剣、槍程度ならば自前で人数分が調達可能。しかし銃器、大砲、火薬の調達は資金不足であるので予算を請う。

 つけ加えて、マトラ県の地図に不備を発見した。地図上では北部の森林地帯が、調査したら遊牧民が入り込んでいる草原になっていた。小規模ながら耕作地帯、簡易な灌漑設備もあり、定住してからは短くないと予測出来る。

 この辺り、特に内陸部の勢力的な空白地帯の地図は何百年も前の調査情報を基に作られていることも珍しくなく、当該地域は千五百年前の古代戦記に用いられていた地図を引用して描かれていると判明した。

 地元の妖精が気付かなかったのは、地図を見たことが無いことと何百年も前からその姿で、北から商人が時々物々交換をしにくる程度の交流しかなかったからである。当該地域の調査と平行して、貿易商人を装って活動をしたいので貿易の許可を求めるものである。

 ルサレヤ総督は八百年以上書類仕事をしてきたような人物なので、かなりの早さで書類をペラペラめくって読み終わる。いい加減に流し読みをしている顔ではない。

「民兵組織は州総督の認可を持って県知事権限で結成か……認可は保留だが、準備をするなとは言わん。人間はともかく、妖精となると厄介な前例もあるから総督代理が到着してから審議に入る。それと運河建設で金が無いから支援は不可能、武器の製造をしたいのなら自前でやれ。マトラ県北部及びそれより先の調査と貿易は許可する。その利益で装備でも整えてやれ。知っての通りにこれから役人が増えて仕事のやり取りがあるからラシージはこっちに全権委任をさせて残せ。妖精案件は厄介だから必要だ。質問は?」

「一つ、泣き虫ルリーシュが役立たずになった時に解任していいんですか?」

「あの人事だな。第二師団次席はベルリクだからその権限がある。副師団長は――第三師団もだが――私の獣人奴隷だからお前を積極否定はしない。それによくアレには旅団長の助言は聞くようにと言ってある。あいつなら肩凝りには悩まされないはずだぞ。ラハーリは真面目だから、第三師団の下じゃ無駄に疲れるだろう」

「ご配慮感謝します」

「お前に制限をつけると腐りそうだからな。新制度には明記されていないが、実質の独立旅団状態だ。荷が軽い分は走れよ。他にないなら下がっていい」

「失礼しました」

 自分とラシージ、踵を揃えて気をつけの姿勢を取り、退室する。

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[良い点] 主人公が戦記向きの性格で鬼畜な行為が平然と出来て心も痛めずに長生きしそうな所 まあイメージですが [気になる点] 主人公はビビってないですけど普通は竜とか怖いよなぁ普通のデカイ犬ですら怖い…
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