最終話:連続殺人犯
夜八時、職務が一通り終わると誰にも見られないように
人通りの少ない別館の図書室の教壇近くに隠れ
日直の教員が帰るのを待つ。
深夜十二時半、明日から登下校や深夜時は、警察や近所の人々が見回りに来る
今夜が本当に最後のチャンスだ。
誰もいなくなった学校内を歩き指定された教室に向かう
私立K高等学校は、県有数の進学校だ
基本的に真面目な生徒が多く、そこが売りだったのに・・・。
そんなうちの生徒が殺害されるなんて、K校も終わりだな。
深夜一時十分前、教壇に寄り掛かり腕を組む
時間は刻一刻と過ぎて行き、深夜一時を回っても誰も現れない
もしかしてイタズラだったのか?いや、そんなまさか・・・。
だんだん私は、イラついてきて背後に隠しておいたサバイバルナイフを手に持ち
念入りに磨かれた刃に映る自分の顔を見る
やけに冷静だ落ち着いている。
コッ・・・ハァ・・・コッ・・・ハァハァ・・・
誰かの足音と、歯切れの悪い息使いが聞こえる
向こうは、私と違って興奮してい、るまるで獲物を狙う猛獣のようだ。
いや、私も同じかもしれない。
冷たい汗が背中を流れる、汗は冷たいのに体は、だんだん熱くなり息も荒れてきた。
教室のドアに身を潜め『あれ』が来るのを待つ
その時私は、あることに気が付いた
今、この教室に向かって来てるのは本当に『あれ』なのか?
『あれ』は、人の心を持たない悪魔みたいなヤツだ私を殺すくらいで興奮したりするのだろうか?
もしかして連続殺人犯なんじゃ・・・。
私は、急に恐ろしくなった。
コッ・・ハァ・・・コッ・・コッ・コッコッコッ
いきなり歩く速度が上がった
今ならまだ間に合うんじゃないか・・・?
窓に向かって全力で走れば・・・・・
こっ殺されたくない!まだ死にたくない!
『あれ』を殺すまではーーー・・・・
私は走った
これ以上に無い速さで
斜めに大きくずれた眼鏡も直さず
毎日、念入りに整えている七三分けも乱れたままで
ただ『生きたい』と思いながら窓に向かって走ったのだ
でも、その想いが強すぎて重大な見落としをしてしまっていた
ここは、四階だったんだ・・・。
毎日来ている場所なのになぜ気が付かなかったのか・・・。
地面に叩き付けられて、私の右手左足は通常では曲がるはずの無い方向に曲がっていた。
右手に握られていたナイフは無残にも
左手項の上から地面に貼り付けられるようにザックリと突き刺さっていた。
遠のいていく意識の中、冷たい地面に張り付いた顔を上げ、自分の落ちたとこを見る
かすかに誰かの影がある、ずいぶんと小柄で女みたいだ
いや、あれは女だ・・・。
私をバカにしたように鋭い目つきで睨むあの少女は、まるで『あれ』のようだった。
私の義娘・・・・・・・・・・・・・
私は、死んだ・・・。
深夜一時十二分 僕は、今義妹と共にK校の二年B組み居る
僕がここに来たのは、ついさっきのことだが
どうやら僕のたのんだ仕事を無事終わらせたみたいだ。
「本当にバカだね、自分でかってに死んじゃった」
父の死体を見下ろしながらあきれたように言う
「・・・そろそろ帰ろう」
帰りにカタカナの手紙を処分するため『元父だった物』に立ち寄った。
「そういえば、何で父さんを殺す前に篠原温子や前田紗由を殺したんだ?」
父の服をあさりながら背後に立つ義妹に訊く
「だって目障りだったんだもん!お兄ちゃんの後付回して」
少し不機嫌そうに言う
「・・・ふーん・・・・」
僕は、手紙にライターで火をつけて、灰になっていく手紙を微笑した。
義母は、多額の保険料と父の財産を手にして大喜びだ。
しかし、自分の実の娘が僕みたいに歪んでしまったのにまだ気づいてないようだ。
義妹の性格が若干変わったように見えますが(歪んだところ意外)もともとこういう性格です。
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