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狐の皇子  作者: 葉月秋子


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 アルフの言葉など、母は全く聞いていないことが、次の日に思い知らされた。


 乗馬の授業に出たアルフの前に、きれいな金色の小馬(ポニー)が引き出されてきたのだ。


「私の小馬はどうした」


 馬番がむっつりと言った。


「これが殿下の小馬でございます。

 母君様の御申しつけで、取り替えまして」


「私の小馬をどうしたのだ!」


 嫌な予感がして、アルフは言った。


「あれはもう、おりませんです」


「どうして!私にことわりもなく、どこへやったのだ!」


「あれはもう、ここにはおりませんです」


「だから!」


 叫んだアルフは、柱の陰で口に指をあてているネネに気づいた。

 荒々しく近づくと、少女は手招きして空の馬房にアルフを誘う。


「ごめんなさい、王子様。叔父は、あの小馬をとても気に入っていたんです」


(僕だって、気に入っていたんだ!)


「だから、どうしたんだ!まさか、母上が、殺し・・・」


 ネネは首を振った。


「いいえ、あのあと、叔父たちが話していたんです。

 王子様を振り落としてしまったから、あの子はただでは済まないだろうって。

 そうしたら、隣の馬房で小馬の手入れをなさっていた、セイレン王子様がそれを聞かれて」


「兄上が、小馬の手入れを?」


「はい、あの方はいつも、ご自分で使われた小馬の汗を拭いて、ブラシをかけて下さるんです。

 それで話をきかれると、すぐに連れ出して牧へ放せって命じてくださったんです」


「兄上が・・・」


「叔父はすぐ、ご命令通りにいたしました。数時間後に南宮から人が来て、小馬を渡せと言われました。

 でも、その時にはもう、あの子は牧場で他の小馬の群れと一緒になってて、見分けがつかなくなっていたんです」

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