第16話 茶会③
「――遠征です。此処よりずっと遠くの大陸へと」
妙案を示すのかと思えば、気を衒ってるのか?
「もういい、興が冷めた……帰らせてもらう」
この大陸から離れた事は妾は無いが、王宮内の中で大陸外出身の者が何名かいたな。
だが問答はこれで最後にするつもりじゃ。
これ以上、長くいては可笑しくなる。
「楽しい茶会じゃった」
振り返らす
捨て台詞を吐いて扉を開け、部屋を後にした。
秘密は自ら見つけるに限る。
国家として辛うじて機能しているのかも怪しい、この国でベレッタは産まれ育った……
確かオルキスが主権を握ったのは二十年前ほどと言うな心中を察する。
以前までのモ•ムエニラと一気に色が変わり、独裁国家、独裁者オルキスなどと恐れらている。
国民としては溜まった物じゃない。
だが、まだ国として成り立っているのは……
あぁもういい今日は疲れた。
妾は風を切るように城から抜け出した。
出入り口の前には二人の護衛兵が待機していた。
ティーポットはまだ帰っていないらしいな。
兵を馬車の外に待機させて
取り敢えず馬車に乗車し、暫し待つとしよう。
馬車内に乗車しゆっくりと目を閉じた。
閉じた瞼の中でオルキスが話していた事を整理した。奴は元々、モ•ムエニラ国の兵士として励んでいて仲間に牛の癖者がいた。
その癖者は周りから白い目で見られていたが、奴は外見じゃなく内面を見て彼を評価し仲良くする。
だが、ある日その癖者が首を括って死亡。
(あのツノは?)
火葬だとしてもツノは燃えなかったのか、骨の代わりにツノを貰ったのか。或いは引きちぎったのか
死んだ彼の為に癖者であるからと偏見差別をされない真の平等の世界を作る為に、オルキスは手を尽くして主権を握った。
そう考えればサクセスストーリに感じるが、何か裏はあるはずじゃ。信じるも信じないも妾の勝手。
その裏を追求するにはまだ情報が足りんな
ただでさえ、虚偽の可能性があると言うのにな。
まあ、あの涙は演技ではない本物に思えた――
純粋に仲間を憂う気持ちと野望を叶えたい切なる思いを間近で感じた
奴の言葉を信じるなら今、この大陸内で癖者の正体に近いのはオルキス。
奴に加担するのは流石に妾も嫌じゃが……
――大陸外に行ってみるのは手かもしれん。
ピートや顧問は大陸外の生まれと育ちじゃ、何か噂なりともあるかも知れないな。
いや、その前に一仕事あったな。
ユパロンとの件じゃ。
再来週にはゴルド王子との交際契約書を結ぶ為にユパロンに出向かないといけない。
あの号外騒動から一ヶ月、妾へのヘイトはダンスをしていた癖者に集まっている。
シュルツ外交官が見つから誤報だと宣言するには恐らく、契約書を書いてからじゃな。
一ヶ月と言う鎮火寸前の中で火消し作業を行なっても何も変わらないと言うのに。
交際に関しては、どうでもいい。
どうせ子がいなければ国の繁栄には貢献出来ぬ。
それにユパロンとの結びつきもコチラとしても美味しい話だからな。
後はゴルド王子の本音じゃ。
それを引き出すのは妾の役目じゃない。
――そうじゃろベレッタ。




