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この淡いファインダー越しの世界で、僕はいつも君だけを見ていた  作者: 深水えいな


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27.やりたいことリスト

 結局その日、私はネットで検索魔になった。


 すがる思いで白夜くんの病気を検索し、二十歳以降も生き延びている人をSNSで見つけてはスクショしたりもした。


 でも――胸のザワザワは抑えられない。


 はあ……。


 一睡もできずに朝を迎えてしまった。


 でも本当に辛いのは白夜くんのほうだよね。


 自分が死ぬかもしれないだなんて、考えただけで怖いもん。


「よし」


 私はお昼休みに一緒にご飯を食べようと白夜くんに提案することにした。


 そしてお昼休み、私は白夜くんと一緒に生徒会室にやってきた。


「あのさ、昨日白夜くんの病気のこと検索してさ、そしたら二十歳以降も生き延びたって人たくさん見つけたよ。この人とか……この人かさ!」


 私は必死にスマホの画面を見せたんだけど、白夜くんは黙って首を横に振った。


「花、俺だって親から病気のことを聞かされた後、同じ病気の人のこといっぱい調べたんだ。この人達みたいになれたらいいけど、そうじゃない人もたくさんいる。大半は早死にする運命なんだ。そこから目をそらしちゃいけない」


「ご……ごめんなさい」


 私は頭を下げた。


 そっか、私が調べるようなことなんて、白夜くんはもうとっくに調べてるんだ。


 病気に焦って困惑して――そんな段階はもうとっくの昔に通り過ぎて、白夜くんは病気を受け入れているんだ。


 なんて馬鹿なんだ、私は。


「花、辛いんだったら別れても……」


 白夜くんの言葉に、私は食いい気味に返事をした。


「それは嫌」


「……花」


「だって私、白夜くんのこと好きだもん」


 目から涙がボロボロ零れ落ちる。


 だって、あの文化祭の日、私は気付いてしまった。


 どんなに辛くても、好きになることはやめられないって。


 理屈じゃない。私は白夜くんのそばにいたいんだって。


 だから――。


「私は最後まで白夜くんのそばにいたい」


 私は声を振り絞って言った。


「……ありがとう」


 白夜くんは、少しほっとしたような笑顔を見せた。


「それでね、実は僕、自分がいつ死んでもいいようにこんなものを作ってるんだ」


 そう言うと、白夜くんは一冊の小さなノートを見せてくれた。


 表紙には


 『やりたいことノート』


 と、綺麗で几帳面な文字が書かれていた。


「やりたいことノート?」


「そ、死ぬ前にやっておきたいことリスト。例え寿命が短くても、少しでも充実した毎日を過ごせるようにね」


 白夜くんが少し照れたように説明してくれる。


「見てもいい?」


「いいよ」


 見ると、『学年一位になる』『生徒会長になる』『一人暮らしをする』などの項目が小さなノートにびっしりと書かれている。


「この赤丸は?」


「これはすでに達成した項目」


「へえ、すごい、いっぱい達成してる……」


 私がパラパラとノートをめくっていくと、不意に『好きな人に告白する』『彼女を作る』『彼女にお弁当を作ってもらう』『彼女と映画を見に行く』という項目が目に入ってきた。


「これもやりたいことリストだったんだ」


「はは、バレた?」


 無邪気に笑う白夜くん。全くもう。


 さらにノートをめくっていくと、段々と実行できていない項目が増えてきた。


 『彼女と一緒に服を選ぶ』

 『彼女とデートで観覧車に乗る』

 『彼女と一緒にクレープを食べる』

 『彼女とキスをする』


 キ……キス!


 私が動揺していると、白夜くんはしれっとした顔で言った。


「その辺は最近書いたからまだ達成してないんだ。だからもしよかったら付き合ってくれないかな?」


「う、うん……あ、そうだ。次の休みに、港のショッピングモールに行くのはどうかな。あそこの観覧車、有名でしょ。それに服屋さんもあるし、クレープ屋さんもあるし」


 私の提案に、白夜くんはぱあっと顔を輝かせた。


「いいね、じゃあ、土曜日に行ってみよう」


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