『キューブな鬼ごっこ』
俺は目を覚ました。周りを見回すと、見覚えのない部屋にいた。四方八方に扉がある。「ここはどこだ?」と呟きながら、とりあえず上の扉を開けてみる。
するとそこにも、また四方八方に扉がある部屋が広がっていた。「なんだこれ」と首をかしげながら、次の扉を開ける。
そこで俺は彼と遭遇した。
「やあ」
真っ白な肌に、鋭い牙。間違いなく吸血鬼だ。
「ようこそ、迷宮へ」吸血鬼は優雅に一礼した。
「あんたの迷宮?」
「いいえ、気がついたらここにいました」
俺は呆れた顔で吸血鬼を見つめる。
「あんたも連れてこられたのか?」
「ふふ、果たして連れてこられただけなのでしょうか?」
「はぁ?」
「さて」吸血鬼は笑みを浮かべる。
「せっかくですから、ゲームをしませんか?鬼ごっこです」
「断る」
「おや、つまらない」
俺は頭を抱えた。
「いやいや、そもそもなんでこんなところにいるんだ?」
吸血鬼は首を傾げる。
「さあ、わかりません」
「お前もわからないのかよ!」
二人で顔を見合わせ、しばし沈黙。
「じゃあ、出口を探そう」俺が提案する。
「いいですね。でも…」
「でも?」
「鬼ごっこしながら探しませんか?」吸血鬼の目が輝いていた。
俺はため息をつく。
「わかった。でも、捕まえても血は吸うなよ」
「約束します」吸血鬼は右手を胸に当てる。
「吸血鬼の名にかけて」
こうして、奇妙な二人の脱出劇が始まった。俺たちは無限に続く扉を開け続ける。
「ところで」走りながら俺は聞く。
「お前、昼間は大丈夫なのか?」
「ああ、それは映画の嘘です」吸血鬼は軽やかに答える。
「日焼けはしますけどね」
「へえ」
「おっと、捕まえましたよ」
気づけば吸血鬼の手が俺の肩に。
「くそ、今度は俺の番か」
「ええ。でも、まだ出口は見つかりませんね」
俺たちは顔を見合わせ、苦笑い。
「まあいいか」俺は肩をすくめる。
「暇つぶしにはなるな」
「そうですね」吸血鬼も笑う。
「夜はまだ長いですから」
こうして、不条理な鬼ごっこは続く。出口が見つかるまで、いや、たとえ見つからなくても。だって人生なんて、どうせ不条理なものだろう?
◇
鬼ごっこを続けながら扉を開け続ける俺たち。ふと、いつもと違う雰囲気の部屋に足を踏み入れた。
「ん?」
床に足をつけた瞬間、カチッという音。
「危ない!」
吸血鬼が俺を引っ張る。次の瞬間、床から無数の矢が飛び出した。俺は間一髪で助かった。
「やはりか」吸血鬼がつぶやく。
「何だよ」
吸血鬼の表情が曇る。
「これはまずいことになりましたね」
「どういうことだ?」
吸血鬼は深いため息をついた。
「実はこの迷宮、私たちが作ったんですよ」
「え?」
「この迷宮は…私たちの心が作り出しているのです」
俺は困惑した顔で吸血鬼を見つめる。
「説明しましょう」吸血鬼は続ける。
「私たちは、自分の中にある迷いや不安、恐れを具現化してしまったのです。この無限に続く部屋は、私たちの心の中の迷宮なのです」
「じゃあ、このトラップは…」
「ええ、あなたの中にある自己破壊的な思考かもしれません」
俺は黙り込んだ。確かに最近、人生に行き詰まりを感じていた。
「でも」吸血鬼が優しく微笑む。
「あなたは助かりました。それは、あなたの中に希望があるという証です」
俺は吸血鬼を見つめ返す。
「お前は?お前の中にある迷いは?」
吸血鬼は少し寂しそうに笑った。
「永遠に生きることへの不安かもしれません」
二人は黙って見つめ合う。そして、ふと気づいた。部屋の隅に、今まで見たことのない扉がある。
「あれは…」
「出口かもしれませんね」
俺たちは扉に近づく。
「開けますか?」吸血鬼が聞く。
俺はうなずいた。
「ああ、一緒に」
扉を開けると、まぶしい光が差し込んでくる。
「これで、私たちは自分の心と向き合えるようになったのかもしれません」吸血鬼が言う。
「ああ」俺も同意する。
「人生って、結局自分との戦いなのかもな」
「そうですね。でも、一人じゃないことを忘れないでください」
吸血鬼が手を差し伸べる。俺はその手を取った。
「じゃあ、行こうか」
「ええ、新しい冒険へ」
二人で光の中へ踏み出す。この奇妙な出会いが、俺たちの人生にどんな変化をもたらすのか。それはまだわからない。でも、もう迷うことは怖くない。だって、心の中の迷宮さえ、二人で乗り越えられたのだから。
プロンプト
「場所はなぞの部屋。四方に八方に扉がある。とりあえず、上の扉を開けると同じく四方に八方に扉がある部屋だった。次の部屋を開けると、吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。「いやいや、そもそもなんでこんなところにいるの?」。「さあ、わからん」。俺とヴァンパイアはなぞの部屋から脱出できるのか。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」
「続き、トラップがある部屋が現れる。私は間一髪助かる。「やはりか」。吸血鬼は謎が解けたみたいだ。「これはまずいことになりましたね」。吸血鬼からこの迷宮の正体を知らされる。物語を感動的に締めくくってください。」