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『ヴァンパイア・オブ・ザ・剛田リサイタル』

 

 東京の喧噪が静まりかけた深夜、俺は吸血鬼と目が合った。


「鬼ごっこをしようじゃないか」奴は不気味な笑みを浮かべ、そう言った。


 俺の頭の中では、すでに生存戦略が走馬灯のように駆け巡っていた。日光、ニンニク、銀、杭。どれも今の俺には手に入らない。朝まで逃げ切れるか?無理だ。奴は霧になって追いかけてくる。


 そのとき、路上で眠そうにギターを抱えた男が目に入った。


「すみません、ちょっと貸してください!」


 俺は男からギターを奪うと、その場に立ち、深呼吸をした。


「さあ、東京の夜よ!俺の歌を聴け!」


 そして俺は歌い始めた。いや、歌うというより絶叫だ。ジャイアンも度肝を抜かれるだろう、このど迫力。


「オーーー!愛しのヴァンパイアーーー!」


 吸血鬼は呆気にとられていた。周りの人々も驚いて立ち止まり始めた。


「君は俺の血を求めーーる!でも俺はーーー歌うだけーーー!」


 歌い続ける俺。群衆が集まってきた。スマホを向ける者もいる。


 吸血鬼は困惑した表情で、少しずつ後退し始めた。


「なんて奴だ...」奴はつぶやいた。


「こんな目立つやつの血なんか吸えるか」


 そうして吸血鬼は、群衆の陰に紛れて姿を消した。


 朝日が昇るまで、俺は歌い続けた。声はかれ、指は血まみれ、でも生きていた。


 翌日、俺の「路上ライブ」の動画は炎上していた。


「最悪の歌声」「迷惑行為」「深夜の騒音」


 批判の嵐の中、一つのコメントが俺の目に留まった。


「でも、なんか笑えたわwww」


 俺は苦笑した。吸血鬼から命は救えたが、これからネットの魔物たちと戦わなければならない。

 しかし、それはそれで人生というコメディの一幕なのかもしれない。

プロンプト


「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はニンニクと銀と杭。しかし逃げているだけでは吸血鬼には勝てない。吸血鬼はどうやっても霧になり姿を変えて追ってくる。しかし、目立つことは避けるハズだ。ここは...路上ライブを敢行するしかねえ。俺は売れないストリートミュージシャンからギターを奪いジャイアンも真っ青のリサイタルをする。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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