『俺とお前が!』
東京の夜は静寂に包まれていた。私、田中太郎は残業帰りに、ふと立ち寄った公園のベンチで一息ついていた。そのとき、月明かりに照らされた影が近づいてきた。
「こんばんは、人間さん」
声の主は、まるで漫画から飛び出してきたかのような吸血鬼だった。青白い顔に尖った犬歯、そして真っ赤な瞳。
「ち、違います!私は人間じゃありません!」思わず口走る私。
吸血鬼は不敵な笑みを浮かべた。
「ゲームをしましょう。鬼ごっこです」
私の頭の中で警報が鳴り響く。吸血鬼の弱点は日光だ。朝まで逃げ切れば勝てる。でも、本当に逃げ切れるだろうか?
「逃げろ!」心の中の声が叫ぶ。
私は全力で走り出した。背後から吸血鬼の冷たい笑い声が聞こえる。
「待ちなさい、美味しそうな人間さん!」
街灯の下を駆け抜け、暗い路地に飛び込む。息が上がり、足が痛む。でも、止まるわけにはいかない。
「ここだ!」
細い路地を抜けると、目の前に大きな交差点が現れた。信号が赤に変わろうとしている。
「今だ!」
私は最後の力を振り絞って交差点に飛び出した。
「待ちなさい!」
そのとき、背後から追いついた吸血鬼と激しくぶつかった。
「いててて」
「あれ?俺の顔が目の前」
私たちは目を見開いた。まるで鏡を見ているかのように、自分の姿が目の前にある。
「え?」
「えええ!?」
私たちは同時に叫んだ。
「入れ替わってる!!!!」
そう、私は吸血鬼の体に、吸血鬼は私の体に入れ替わっていたのだ。
「どうしよう!?」私(吸血鬼の体)は慌てふためいた。
「落ち着け、人間」吸血鬼(私の体)が冷静に言う。
そのとき、東の空が薄っすらと明るくなり始めた。
「あ、やばい」今度は吸血鬼(私の体)が焦り始めた。
「どうして?」私(吸血鬼の体)は首をかしげる。
「お前、吸血鬼の弱点知らないのか?日光だ!」
その瞬間、私たちは顔を見合わせた。そして、思わず吹き出してしまった。
「ふふ...あはは...」
「くくく...ぷぷぷ...」
笑いが止まらない。こんな状況で笑うなんて、どこか狂っているに違いない。でも、それが可笑しくてたまらなかった。
「ねえ」私(吸血鬼の体)が言った。
「朝まで一緒に逃げない?」
「ああ、面白そうだ。...聞きたいことがある」吸血鬼(私の体)がにやりと笑う。
「...私も」私(吸血鬼の体)が言った。
吸血鬼(私の体)と私(吸血鬼の体)は同時に。
「君の名は?」
そうして私たち、人間と吸血鬼は、互いの体に閉じ込められたまま、夜明けを前に新たな冒険へと走り出したのだった。
プロンプト
「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。必死で逃げる私。追いかける吸血鬼。そのとき二人は思いっきりぶつかる。「いててて」。「あれ?俺の顔が目の前」。俺たち入れ替わってる!!!!!このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」