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『東京肝っ玉おばちゃんヴァンパイアⅢ~巡る運命~』


 東京の夜は冷たく、私の心と同じくらい暗かった。


 家を飛び出して何時間経ったのだろう。育児放棄の母と、酒浸りの父から逃げ出してきた私は、行き場もなく歩き続けていた。


 そんな時、背後から声がした。


「おや、こんな夜更けに一人で何をしている?」


 振り返ると、月明かりに照らされた異様に白い肌と、鋭い牙。吸血鬼だった。


「ねぇ、面白い提案があるんだけど」吸血鬼は不気味な笑みを浮かべる。


「鬼ごっこをしない?朝日が昇るまでに捕まえられなかったら、君の勝ちだよ」


 私の頭は回転した。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げ切れば...。


「わかった」私は覚悟を決めて答えた。


 そうして始まった、夜の東京を舞台にした奇妙な鬼ごっこ。


 私は必死に逃げた。暗い路地を駆け抜け、人気のない公園を横切り、時には地下鉄の駅に潜り込む。しかし、どこに行っても吸血鬼の気配が消えることはなかった。


「もう逃げられないよ」吸血鬼の声が耳元で囁く。


 その時だった。


「待ちなさい」


 闇の中から現れたのは、威厳のある姿の別の吸血鬼。


「あ!あなた様は」追いかけてきた吸血鬼は思わず声を上げた。何故か知らないが、目の前の存在が尋常ではないことは分かった。


「ほう、下っ端吸血鬼よ。わたしが誰だか分かるのか?」


「...なんとなく」


「私は吸血鬼の始祖だ」


 その瞬間、私を追っていた吸血鬼は震え上がった。


「失礼しました!」下っ端吸血鬼は深々と頭を下げた。


 しかし、その安堵も束の間。


「アンタ!また人間の女の尻追っかけまわして!」


 突如現れたのは、怒り心頭のおばちゃん吸血鬼。その後ろには子供の吸血鬼たちが。


「あ...これは違うんだ...」始祖吸血鬼は慌てふためいた。


「言い訳は聞かんわ!さっさと帰るよ!」


「はい...」始祖吸血鬼はしょんぼりと肩を落とす。


「失礼!」


 そう言うと、始祖吸血鬼と下っ端吸血鬼はお辞儀をして、おばちゃん吸血鬼たちと共に闇に消えていった。


 残された私は呆然と立ち尽くした。


「なんだったんだろう...」


 夜明けの光が街を包み始める。吸血鬼たちはもういない。


 私は深いため息をつきながら、公園のベンチに腰を下ろした。家に帰るつもりはない。でも、少なくとも今夜は無事に過ごせた。


 そう思った瞬間、ベンチの隣に誰かが座る気配がした。


「大変そうだったね」


 優しい声に振り返ると、そこには普通の中年女性が座っていた。


「うちで休んでいかない?うちの子もね、昔家出したことがあってさ」


 その言葉に、私の目から涙があふれ出た。


 この奇妙な夜を経て、思いがけない場所に温かさを見つけた気がした。

プロンプト

「場所は東京。私は高校生の家出少女。学校にも家にも馴染めない。一人あてもなく家を飛び出した。母は育児放棄、父は飲んだくれ。夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。「待ちな」。その時、別な吸血鬼が現れた。「あ!あなた様は」。それは吸血鬼の始祖だった。「ありがとうございました!」。始祖吸血鬼に助けられた私は感謝を伝える。「アンタ!また人間の女の尻追っかけまわして!」。おばちゃん吸血鬼とその子供がいた。「失礼!」。始祖吸血鬼さんはお辞儀をしてそそくさとおばちゃん吸血鬼たちと闇に消えた。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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