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『吸血鬼に清き一票を』

 

 真夜中の東京。私は息を切らせながら、薄暗い路地を駆け抜けていた。後ろから聞こえてくる軽やかな足音に、背筋が凍る。


「おいおい、逃げ足が速いじゃないか」


 甘ったるい声が闇に響く。吸血鬼だ。つい1時間前、彼は私に鬼ごっこを提案してきたのだ。断る間もなく、私は獲物となっていた。


「日の出まであと4時間...」


 腕時計をチラリと見る。太陽が昇れば勝てる。しかし、それまで逃げ切れる自信はない。


 そのとき、


「清き一票を!」


 突如響き渡る選挙カーの音声に、私は我に返った。そうだ、今日は東京都知事選だ。


「えー、(わたくし)に清き一票を!」


 振り返ると、なんと例の吸血鬼が街頭演説を始めていた。スーツ姿で、マイクを片手に熱弁を振るっている。


「吸血鬼なのに清き一票?」思わず呟いてしまう。


 吸血鬼は私に気づくと、にやりと笑った。


「おや、有権者かな?ぜひ話を聞いてくれたまえ」


 逃げるべきか、それとも...。好奇心に負け、私は立ち止まった。


「我が東京をより良い街に!」吸血鬼候補の演説は続く。


「夜間経済の活性化!24時間営業の推進!そして何より、血液銀行の拡充を!」


 思わず吹き出しそうになる。しかし、周りの聴衆は真剣に聞いている。


「あなた!」突然、吸血鬼が私を指差した。


「市民の声を聞かせてください」


 マイクを向けられ、私は言葉に詰まる。


「え、えっと...血液銀行の件ですが、献血者の安全は...」


「素晴らしい指摘です!」吸血鬼は満面の笑みで答える。


「献血者の皆様の安全と健康が第一。それこそが我々の使命です」


 まるで本物の政治家のような受け答え。私は呆気に取られた。


 そうこうしているうちに、東の空が白み始めた。吸血鬼候補はそわそわし始める。


「皆様、ご清聴ありがとうございました。私は...急用を思い出しました」


 そう言うや否や、彼は地下鉄の駅へと駆け込んでいった。


 私はぼんやりと朝日を見つめる。何とも奇妙な一夜だった。


 ふと、ポケットに何かが入っているのに気づく。選挙ビラだ。そこには大きく書かれていた。


『夜の都知事・血液小太郎に清き一票を!公金チューチューでなく血液チューチューを!』


 思わず苦笑する。どうやら私の一票の行方は、すでに決まってしまったようだ。


プロンプト

「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。そのとき「この丸々新一に清き一票を」。そうだ今日は東京都知事選だ。「えー私に清き一票を」。なんと例の吸血鬼が選挙演説を始めた。「吸血鬼なのに清き一票?」。とりあえず、吸血鬼の選挙演説を清聴する私。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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