「怪奇事件ファイル『歌舞伎町連続ホスト失踪事件』 」
☆ 第一章 消えたナンバーワン
歌舞伎町の朝は遅い。前夜の喧騒が嘘のように静まり返った午前十時、警視庁捜査一課の大川警部補は、部下の若手刑事・田中と共に現場検証に立ち会っていた。
「被害者は『THE LUXE』のナンバーワンホスト、翔真こと本名・山田翔太、二十六歳。三日前から行方不明です」
田中が淡々と報告する中、大川は鼻息荒く店内を見回した。
「ふん、どうせ借金でも作って夜逃げだろう。こんな小事に俺の貴重な時間を使わせるな!」
「いえ、それが…これで十二件目なんです。全員、歌舞伎町のホスト。しかも全員が失踪直前に『とても美しい女性客』を接客していたという共通点が」
大川の目がギラリと光った。
「美しい女性客だと?これは…組織的な犯行の匂いがするぞ!」
☆ 第二章 迷推理の天才
捜査本部が設置された会議室で、大川は自信満々にホワイトボードの前に立った。
「諸君!私は真相を掴んだ!」
居並ぶ刑事たちが呆れ顔で見守る中、大川は勢いよくマーカーを走らせる。
「犯人は海外の人身売買組織だ!日本のイケメンホストを誘拐し、ドバイの富豪に売り飛ばしているんだ!いわゆる…ドバイ案件だ!!!!」
「いや、大川さん、それはちょっと…」田中が口を挟もうとするが、大川は聞く耳を持たない。
「考えてみろ!歌舞伎町のホストは話術に長け、女性の扱いに慣れている。まさに富豪の愛人にうってつけじゃないか!」
「でも、男性ですよ?」
「最近のドバイは多様性に富んでいるんだ!」
根拠のない断言に、会議室に微妙な空気が流れる。
☆ 第三章 太陽の客
その夜、大川と田中は張り込みを行っていた。歌舞伎町の高級ホストクラブ『THE EMPEROR』。ここのエース、蓮も「美しい客」の予約が入っているという情報を掴んだのだ。
「来ました!」
田中が小声で告げる。タクシーから降りてきたのは、この世のものとは思えない美貌の女性だった。漆黒の髪、透き通るような白い肌、真紅のドレス。
「あれは…まさか北○鮮の美女軍団か!」大川が興奮する。
「いや、どう見ても普通の美人客では…」
店内に入った女性を、二人は慎重に尾行する。VIPルームで蓮と向かい合う女性。その瞬間、大川は見た。女性の瞳が一瞬、真紅に光ったのを。
「催眠術だ!CIAが開発した洗脳技術に違いない!」
「大川さん、声が大きいです!」
☆ 第四章 真実の牙
深夜二時、蓮と女性がアフターで店を出た。二人は夜の街を歩き、人気のない路地裏へと消えていく。
「今だ!突入するぞ!」
大川が飛び出そうとした瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた。
女性の口元から、鋭い牙が覗いている。そして蓮の首筋に、その牙がゆっくりと近づいていく。
「きゃああああ!」
大川の絶叫が夜の歌舞伎町に響き渡った。
女性がゆっくりと振り返る。その瞳は血のように赤く輝いていた。
「あら、見られてしまいましたわね」
優雅な物腰で微笑む女性。いや、吸血鬼。
「ヴァ、ヴァンパイア!?」田中が腰を抜かす。
☆ 第五章 歌舞伎町の新たな夜
「お初にお目にかかります。私、ドラキュラ伯爵家の末裔、カーミラと申します」
路地裏の奥、隠されていた地下への階段を下りると、そこには驚くべき光景が広がっていた。失踪したはずのホストたちが、全員そこにいたのだ。しかも、全員が鋭い牙を持ち、血のように赤い瞳をしていた。
「どういうことだ!」大川が叫ぶ。
奥から、燕尾服を着た紳士が現れた。明らかに人間ではない、圧倒的な存在感。
「私がドラキュラ伯爵だ。驚かせてしまって申し訳ない」
伯爵は優雅に一礼すると、事の次第を説明し始めた。
「実は、2025年の風営法改正により、ホストクラブでの色恋営業が全面禁止になることが決まってしまってね。多くのホストたちが路頭に迷うことになる」
「それと吸血鬼と何の関係が!」
「考えてみたまえ。美しい容貌、人を魅了する話術、夜の世界で生きる者たち…まさに吸血鬼として生きるのにぴったりではないか!」
伯爵は高らかに笑った。
「我々は彼らに第二の人生を提供しているのだ。永遠の若さと美貌、そして新たな生き方を!」
☆ エピローグ 報告書にどう書く?
警視庁の会議室。大川と田中は頭を抱えていた。
「報告書にどう書けばいいんだ…『犯人は吸血鬼でした』なんて書けるか!」
「でも、ホストたちは全員、自分の意志で吸血鬼になることを選んだみたいですし…被害届も出ていません」
「くそっ!俺の昇進が!」
結局、事件は「集団失踪事件・捜査打ち切り」として処理された。
そして今夜も歌舞伎町では、美しい吸血鬼ホストたちが、血液バンクから仕入れた輸血用パックを優雅にワイングラスで嗜みながら、客を魅了し続けている。
「乾杯!新しい夜の始まりに!」
かつてナンバーワンホストだった翔真が、真紅の瞳を輝かせながらグラスを掲げた。
歌舞伎町に、新たな伝説が生まれた瞬間だった。
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プロンプト
「「怪奇事件ファイル『歌舞伎町連続ホスト失踪事件』 」。都内某所にてある事件が立て続けに起きていた。歌舞伎町のホストが突然失踪する事件が多発していた。SNSの更新は途絶え、忽然としてすべての痕跡が消える。あるホストの本担やサブ担の客はみな口々に「そんなことありえない…アタシのこと『一生守る』って言ってたの」と言っていた。「どういうことだ!ただの失踪届くらいでなんだ!」。刑事の大川は吠える。意味もなく吠える。大きい事件以外は眼中にないのだ。「上からの命令で歌舞伎町絡みの献金額あって、なんでも『これを解決したら昇進だ』とのことです」。「それを早く言えええ」。大川は権力に弱かった。強きに媚び、弱きに圧を加える男だった。「これは…」。部下があることに気が付く。「大川さん…失踪者は失踪する直前、とても美しい客の接客をしていてアフターに嬉々と出行ったみたいです」。「でかした!これは…つまり…大規模な引き抜きつまりスカウトだ!」。大川は大げさに言う。「経緯はこうだ!犯人は歌舞伎町の王になろうとしている奴!しかし、ホスト数が足りない!下手な引き抜きをすればバレて闇の組織に消される!失踪と見せかけて、引き抜いたホストを大型貨物船で韓国に運んで整形して歌舞伎町の自分のホストとして再デビューさせて、歌舞伎の王になろうとしているんだ!」。大川の想像力が爆発する。三現主義なにそれおいしいのだ。このプロットを元にシリアスサスペンスコメディ短編小説を書きましょう。的外れな推理をする刑事の掛け合いがポイントです。最後はドラキュラたちが...2025年の風営法改正に伴い行き場を失いかけていた色恋営業のホストを吸血鬼にする活動だと分かる。「綺麗な容貌と人間を篭絡する話術…吸血鬼にピッタリではないか」と高笑いするドラキュラ。」」




