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「怪奇事件ファイル『ヴァンパイアエクスタシー』」

 

 ★第一章 血の渇望


 都内に奇妙な薬物が出回っていた。その名も『ヴァンパイアエクスタシー』。摂取した者は吸血欲に駆られ、全能感に浸り、肌は蒼白となり、瞳は血のように赤く充血する。まさに吸血鬼になったかのような高揚感を味わえるという。


 警視庁麻薬取締課の大川刑事は、その日も机を叩いて吠えていた。


「どういうことだ!」


 意味もなく吠える。こいつのほうがジャンキーより危険じゃないかと思えるほどだった。大川の目は血走り、まるで薬○中毒者のようにギラギラと光っている。


「これは一体どういうことなんだ!なぜ手がかりが掴めない!」


 部下の田中は恐る恐る報告書を差し出した。


「大川さん…目撃情報や情報屋の話をまとめますと、販売はいつも深夜で、売人は異常に日光や鏡を避けていたようです」


 大川は目を見開いた。


「でかした!これは…つまり…」


 彼は立ち上がり、まるで名探偵のような仕草で指を立てた。


「日光アレルギーの見た目にコンプレックスを持つヤツだ!しかも夜更かしすぎて昼夜逆転しているやつだ!」


 田中は困惑した。


「え、でも大川さん、それだけで犯人を特定するのは…」


「黙れ!俺の推理に間違いはない!」


 大川は机上の空論を展開し始めた。三現主義など、彼にとっては「なにそれおいしいの」状態だった。


 ★第二章 迷推理の連続


「犯人は間違いなく引きこもりのゲーマーだ!」大川は断言した。


「昼夜逆転、日光嫌い、鏡を避ける…これはオンラインゲームのやりすぎで現実逃避している証拠だ!」


 田中は頭を抱えた。


「でも大川さん、薬物製造には高度な化学知識が必要で…」


「そうだ!ケミカル系のゲームで知識を身につけたんだ!最近のゲームはリアルだからな!」


 同僚の佐藤が割って入った。


「大川さん、新しい情報が入りました。売人は古風な言葉遣いで、『血族』や『眷属』という言葉をよく使っていたそうです」


「ほら見ろ!」大川は勝ち誇った。


「中二病拗らせた引きこもりオタクの確定だ!きっと吸血鬼アニメの見すぎで妄想が現実になったんだ!」


 田中は呆れた。


「それで捜査方針は?」


「秋葉原とア○メイトを片っ端から回る!間違いない!」


 ★第三章 的外れな包囲網


 大川の指揮の下、警察は都内のアニメショップ、ゲーセン、ネットカフェを次々と捜索した。しかし、当然のことながら手がかりは見つからない。


「おかしい…計算が合わない…」


 大川は頭を抱えていた。その時、田中が慌てて飛び込んできた。


「大川さん!大変です!薬物使用者の一人が病院で奇妙な証言を!」


「なんだって?」


「『あの方は本物だった…本物の吸血鬼だった…』と言っているんです!」


 大川は鼻で笑った。


「やっぱりな!薬物の副作用で幻覚を見ているんだ!売人がコスプレで吸血鬼の格好をしていたに違いない!」


「でも大川さん、その患者さん、首に二つの穴が開いていて…」


「特殊な注射針だ!演出のためのギミックだろう!最近の若者は凝った演出が好きだからな!」


 ★第四章 真実の瞬間


 その夜、大川たちは情報屋からの連絡で、ついに取引現場を突き止めた。廃墟となった古いビルの地下室。


「よし、突入だ!」


 大川が扉を蹴破ると、そこには想像を絶する光景が広がっていた。


 黒いマントを羽織った男が、牙を剥き出しにして笑っている。その周りには、同じく牙を持った数人の男女が立っていた。彼らの瞳は血のように赤く光り、肌は大理石のように白い。


「なんだこれは…」大川は呆然とした。


 男は優雅に振り返った。


「ようこそ、人間たちよ。私はヴラド。この街の新たな支配者だ」


「コスプレ乙!」大川は叫んだ。


「特殊メイクもなかなかのものだな!だが逮捕だ!」


 大川が手錠を取り出した瞬間、ヴラドは瞬時に彼の前に現れた。


「人間よ、我々の力を甘く見るな」


 ヴラドが手を振ると、大川は宙に浮いた。


「え?ワイヤー?トリック?」


 田中も佐藤も、目を見開いて立ち尽くしていた。


 ★第五章 血族の野望


「我々は何世紀もの間、この瞬間を待っていた」ヴラドは語り始めた。


「『ヴァンパイアエクスタシー』は我々の血を薄めて作った薬物だ」


「血?薬物?」大川は混乱していた。


「そうだ。我々吸血鬼の血を与えて眷属とする計画だったが…」


 ヴラドは肩をすくめた。


「上手くいかないものだ。人間の体は我々の血を完全に受け入れることができない。中途半端な渇望と高揚感しか与えられなかった」


 別の吸血鬼が付け加えた。


「計画では、薬物に依存した人間たちを徐々に眷属にしていく予定だったのだが…」


「結果は見ての通りだ」ヴラドは苦笑した。


「一時的な効果しか得られない。まさに『エクスタシー』だな」


 大川は必死に状況を理解しようとしていた。


「つまり…君たちは…」


「本物の吸血鬼だ」


 ★第六章 計画の破綻


「我々の血族を増やすという壮大な計画は失敗に終わった」ヴラドは嘆いた。


「人間の体は我々が思っているより脆弱で、完全な変化を受け入れられない」


「しかし、副産物として面白いものができた」別の吸血鬼が笑った。


「人間たちは一時的にでも我々の気分を味わえる。なかなか良い研究結果だった。これを使ってスポンサーを増やせる」


 大川は震え声で言った。


「き、君たちを逮捕する…」


「できるかな?」ヴラドは高笑いした。


「我々は不死身だ。銃弾も刃物も効かない」


 その時、田中が叫んだ。


「大川さん!窓を!」


 東の窓から朝日が差し込み始めていた。


 吸血鬼たちは慌てふためいた。


「しまった!もう朝か!」


「退散だ!」


「また会おう、人間たちよ!」


 彼らは蝙蝠に姿を変えて、窓から飛び立っていった。


 ★第七章 後日談


「信じられない…」大川は呟いた。


「本物の吸血鬼だった…」


 田中は慰めるように言った。


「でも大川さん、夜行性で日光を避けるという推理は当たっていましたよ」


「鏡を避けるのも」佐藤が付け加えた。


 大川は苦笑いした。


「まさか本当に吸血鬼だったとはな…」


 その後、『ヴァンパイアエクスタシー』の流通は自然と止まった。吸血鬼たちは別の街に移っていったのだろう。


 大川は報告書を書きながら呟いた。


「『犯人は吸血鬼でした』なんて報告書、誰が信じるんだ…」


 結局、公式記録では「組織的な薬物密売グループが逃亡」ということになった。


 真実を知るのは現場にいた三人だけ。


 そして今夜も、どこかで新たな『ヴァンパイアエクスタシー』を求める人々がいるのかもしれない。


 遠くから聞こえてくる高笑い声と共に…


「我々吸血鬼の血を与えて眷属とする計画だったが、上手くいかないものだ。ハハハハ…」


 ---


 *真実はいつも奇妙で、推理は時として的外れでも、偶然当たることもある。*

 *大川刑事の次なる「迷推理」を乞うご期待。*

プロンプト

「「怪奇事件ファイル『ヴァンパイアエクスタシー』」。都内ではある薬物が密かに流通しつつあった。それは『ヴァンパイアエクスタシー』。それを摂取すると、吸血欲が増し、全能的な気分になり、色は白くなり、眼は赤く充血する。まさに吸血鬼になったような気分と高揚が味わえる。いまだこの薬物の売人の手がかりもつかめずにいた。「どういうことだ!」。刑事の大川は吠える。意味もなく吠える。こいつのほうがジャンキーより危険じゃないかと思えるくらいに吠える。目もバキバキでぶりぶりだ。「これは…」。部下は様子を伺いながら報告する。「大川さん…目撃情報や情報屋の話から、販売はいつも深夜で売人は異常に日光や鏡を避けていたようです」。「でかした!これは…つまり…日光アレルギーの見た目にコンプレックスを持つヤツだ!しかも夜更かしすぎて昼夜逆転しているやつだ!」。大川は大げさに言う。。机上の空論を展開する。三現主義なにそれおいしいのだ。このプロットを元にシリアスサスペンスコメディ短編小説を書きましょう。的外れな推理をする刑事の掛け合いがポイントです。最後は吸血鬼たちが「我々吸血鬼の血を与えて眷属とする計画だったが、上手くいかないものだ」と高笑いする。」

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