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『吸血鬼に襲われたらゲイバーワールド』~儚くも永久のヤバシ!~

 第一章 夜中の邂逅


 東京の夜は深い。アスファルトに反射する街灯の光が、まるで血のように赤く見えた。私、麻衣は終電を逃し、歌舞伎町の雑踏を抜けて家路を急いでいた。


 そのとき、風を肩で切るように歩く男が現れた。


 短髪で引き締まった体格。ラガーマンのような立派な肩幅に、彫りの深い顔立ち。一見すると魅力的な男性だが、その瞳には人間らしい温かみがない。月光の下で、牙がちらりと見えた。


「お嬢さん」


 低く響く声。


「鬼ごっこをしないか?」


 吸血鬼だ。間違いない。


 私の心臓は激しく鼓動を打った。だが、パニックに陥ってはいけない。冷静に、冷静に考えるのだ。


「鬼ごっこ?」


「そうだ。日の出まで逃げ切れたら、君の勝ちだ」


 吸血鬼は自信満々に微笑んだ。その笑顔は確かに美しかったが、死の香りがした。


 第二章 逃走と思考


 私は走り出した。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、相手は超人的な身体能力を持つ化け物だ。普通に逃げても勝ち目はない。


 靖国通りを駆け抜けながら、私は必死に考えた。吸血鬼の弱点は他にもある。十字架、にんにく、流水、聖水...しかし、今の私には何も持っていない。


 待て。


 私の脳裏に、ある場所が浮かんだ。


 新宿二丁目。


 そうだ、あそこしかない。ゲイバーがひしめくまさに、ゲイバーワールド。この世界に引きずり込めば、吸血鬼といえども...。


 私は方向転換し、二丁目へと向かった。


 第三章 ゲイバーワールドへの突入


 新宿二丁目の夜は、まだ始まったばかりだった。九龍城のようにひしめくゲイバーの看板が、虹色に街を染めている。


 私は「Dragon Queen」という店に飛び込んだ。


「助けて!吸血鬼が追いかけてくる!」


 店内は一瞬静まり返った。しかし、オカマさんたちの反応は予想以上だった。


「あら、吸血鬼?」


「どこどこ?」


「イケメンなの?」


 店の奥から、ママと呼ばれる人物が現れた。180センチを超える長身に、完璧なメイクアップ。


「お客さん、吸血鬼がイケメンなら、これは戦争よ」


 そのとき、店の扉が勢いよく開いた。


 第四章 吸血鬼、ゲイバーワールドに迷い込む


 吸血鬼は颯爽と店に入ってきた。その瞬間、店内の空気が変わった。


「きゃー!」


「なにあの体格!」


「短髪最高!」


「ちょっと、あなた!お名前は?」


 吸血鬼は明らかに困惑していた。数百年の時を生きてきたであろうこの化け物も、この状況は想定外だったのだろう。


「わ、私は...」


「私はダメよ。僕って言いなさい」


「し、しかし...」


「あら、恥ずかしがり屋さんね。でも大丈夫よ、みんな優しいから」


 吸血鬼は後ずさりしようとしたが、すでに遅かった。オカマさんたちに囲まれている。


「逃げちゃダメよ」


「せっかく来たんだから、お話しましょう」


「そうそう、お酒も飲みましょう」


 第五章 情報戦


 吸血鬼は店から逃げ出した。しかし、ここは新宿二丁目。情報の伝達速度は光よりも速い。


 私は店を出て、吸血鬼の後を追った。すると、街のあちこちから声が聞こえてくる。


「Dragon Queenにイケメンが来たって?」


「短髪でガタイがいいって?」


「どこ行ったの?」


「そこの角を曲がったわよ」


 まさに情報ネットワークの威力だった。イケてる男はすぐに噂になる。隠れようとも何をしようとも、オカマさんたちは追いかけてくる。


 吸血鬼は路地裏に隠れようとしたが、すぐに発見された。


「あら、こんなところに隠れちゃって」


「シャイなのね」


「でも、そういうのも素敵よ」


 第六章 儚くも永久のヤバシ


 吸血鬼は完全に包囲されていた。二丁目の住人たちが、まるで蟻のように集まってくる。


「お名前聞いてないわよ」


「どちらからいらしたの?」


「お仕事は?」


「彼女いや…彼氏はいるの?」


 質問攻めにあった吸血鬼は、ついに観念したようだった。


「私は...吸血鬼です」


「あら、職業?」


「いえ、種族です」


「面白い設定ね」


 誰も信じていない。


 そして、吸血鬼は気づいた。これは永遠に続くのだと。日が昇ろうとも、夜が来ればまた始まる。まさに儚くも永久のヤバシ状態。


 第七章 夜明け


 東の空が白み始めた。私は安堵のため息をついた。勝った。


 しかし、オカマさんたちの反応は意外だった。


「チッ、髭が伸び始める時間だ」


 低くダンディな声で、彼女たちは次々と退却していく。


「また今夜ね」


「絶対来なさいよ」


「待ってるから」


 吸血鬼は呆然と立ちつくしていた。朝日が昇り、彼の体は煙のように消え始めた。


「また...夜に...」


 彼の最後の言葉は、諦めと絶望に満ちていた。


 エピローグ


 私は家に帰り、ベッドに倒れ込んだ。夢のような一夜だった。


 しかし、夜が来るのが少し楽しみでもあった。


 あの吸血鬼は、今夜も二丁目に現れるのだろうか。そして、オカマさんたちとの永遠の追いかけっこが始まるのだろうか。


 新宿二丁目の夜は、今日も深い。


 そして、どこかで「あら、昨日のイケメンはどこかしら」という声が聞こえてくるのだった。


プロンプト

「『吸血鬼に襲われたらゲイバーワールド』~儚くも永久のヤバシ!~。場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私こと麻衣。自信満々で風を肩で切るように歩く吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。ラガーマンのようにいいガタイ。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもあるが、結局あそこしかない。そう新宿二丁目だ。ゲイバーがひしめくまさに、ゲイバーワールド。この世界に引きずり込めば吸血鬼といえども…。九龍城のようにひしめくゲイバー。吸血鬼は逃げるがここは新宿二丁目、情報は早い。イケてる男はすぐに噂になる。隠れようとも何をしようともオカマさんたちは追いかけてくる。吸血鬼は儚くも永久にヤバし!となる。陽が明けようとしたとき、オカマさんたちは「チッ髭が伸び始める時間だ」。低くダンディな声でオカマさんたちは退却する。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。吸血鬼はオカマさん受けの良い体格のいい短髪の男。」

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