『檸檬インスパイア』
夜の東京。人気のない街路に、私の足音だけが響く。
「おいおい、逃げるのか?」背後から聞こえる低く渇いた声に、私は振り返らずに走り続けた。
吸血鬼だ。なぜか鬼ごっこを始めたがる奴と遭遇してしまった。
「日の出まであと10時間…」腕時計をチラリと見る。朝日さえ見られれば勝てる。だが、そこまで逃げ切れる自信はない。
吸血鬼の弱点。ニンニク?十字架?銀の弾丸?頭の中で必死に検索をかけるが、どれも今の状況では役に立たない。
ふと思い立ち、関西出身の友人に電話をかける。
「お前、吸血鬼を倒す方法知らんか?」
「木の杭や!」
「は?紀伊国屋?」
「あほか!木の杭や言うてんねん!」
電話を切る。そうか、書店!何か解決策が見つかるかもしれない。
近くの丸善書店に駆け込む私。店内は静かで、夜にもかかわらず営業中だ。ありがたや。
本棚をめぐりながら、背後の気配に震える。そのとき、目に飛び込んできたのは…レモン?
なぜか書棚の隅に置かれた黄色い果実。とっさにそれを手に取り、背後の気配めがけて投げつけた。
「うわああああ!」
轟音と共に、吸血鬼の悲鳴が響く。レモンが爆発したのだ。
煙が晴れると、そこには灰になった吸血鬼の姿。隣には『サルでもわかる吸血鬼退治』という本が落ちていた。
「レモン爆弾…」と呟きながらページをめくる。
「強酸性のレモン汁は吸血鬼の肌に有効…爆発効果はオプション…」
夜明け前、私は疲れ果てて帰路につく。東京の街を歩きながら、ふと考える。
果たして次はパイナップル爆弾か、それともスイカ地雷か。
この世界には、まだまだ知らないことがたくさんあるようだ。
プロンプト
「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもある。だがどうすればいいのかわからない。私は関西出身の友人に電話する。「木の杭や!」。「は?紀伊国屋?」。そうか!書店に行けば何か解決策があるはずだ!とりあえず、近くの丸善に向かう私。書店に謎にレモンが置いてあったので、吸血鬼にぶつけたら爆弾だった。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」