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『新加入メンバーが北欧の吸血鬼だと分かったら!メタゾネを踏み込め!!!!』

 ● 第一章 脱退の余韻


「おっすー」


 スタジオの重いドアを開けながら、俺は力なく挨拶を投げかけた。東京の雑居ビルの地下にあるこのスタジオは、俺たちメタルバンド「鋼鉄の咆哮」の聖域だった。いや、*だった*という過去形で語らなければならないのが、今の俺の心境を物語っている。


 先月、ベーシストの田中が脱退した。理由は「音楽性の違い」という、バンドマンが使う最もありふれた別れの言葉だった。しかし、その真意は俺たちにとって衝撃的だった。


「俺は女にチヤホヤされたくて始めたのに、メタルじゃ野郎どもしか寄り付かないじゃねぇか!もうこんなバンドいられねぇ!オシャレで簡単なコード進行のJ-POPバンドに移籍する!そして、俺は星野源みたいな曲書いてモテて、ガッキーみたいな清純派女優と結婚する!」


 田中のその言葉は、俺たちの心に深い傷を残した。メタルへの愛を共有していると思っていた仲間が、実は全く違うことを考えていたのだ。


 今日の俺の気分は、お気に入りのバンドがコレジャナイ感満載のアルバムを発売したときのように陰々鬱々としていた。アンプに向かいながら、俺は深いため息をついた。


 ● 第二章 謎の新メンバー


「おっすー」


 俺の挨拶に応える声が聞こえた。振り返ると、そこには見たことのない人物が立っていた。


 黒いマントを羽織り、顔色は青白く、鋭い牙が口元から覗いている。髪は漆黒で、目は深紅に輝いていた。どう見ても、ドラキュラにしか見えない。


「え、あの...どちら様で?」俺は困惑しながら尋ねた。


「新しいベーシストとして加入することになった、ヴラド・ツェペシュだ」彼は厳粛な声で答えた。


 ドラマーの佐藤が慌てて説明する。「あ、田中の代わりに入ってもらうことになったんだ。音楽歴は長いし、テクニックも確かだから」


 確かに、ヴラドが手にしたベースは年季が入った逸品で、彼の指さばきを見る限り、相当な実力者であることは間違いなかった。しかし、その見た目は...


「まあ、見た目は個性ってことで」俺は自分に言い聞かせるように呟いた。


 ● 第三章 真実の発覚


 練習が始まると、ヴラドの実力は本物だった。重厚で迫力のあるベースラインは、俺たちの楽曲に新たな深みを与えていた。しかし、練習が進むにつれて、違和感は確信に変わっていった。


「あの、ヴラドさん」俺は恐る恐る尋ねた。「もしかして、本当に...」


「ああ、その通りだ」ヴラドは淡々と答えた。「私は吸血鬼だ。北欧のトランシルヴァニア地方から来た」


 スタジオに沈黙が流れた。


「おいおい...マジで北欧から来た...」佐藤が震え声で呟いた。


 しかし、次の瞬間、佐藤の表情が一変した。


「マジモンの北欧系メタラーかよ!!本場だぞ!!」


 彼の歓喜の叫びに、俺は改めて気づかされた。そうだ、こいつらは本物のメタルバカ(褒め言葉)だった。ブラックメタルの聖地から来た本物の存在に、彼らは純粋に興奮しているのだ。


 ● 第四章 メタゾネの咆哮


「おいおい、クールぶってるけど一番火がついているのはお前だろ」


 佐藤が俺を指差してからかった。確かに、俺の心は燃え上がっていた。本場の血統を持つメタラーとのセッション。これほど刺激的なことがあるだろうか。


 佐藤がドラムスティックを構えた瞬間、俺は迷わず足下のBOSS MT-2 Metal Zone(通称メタゾネ)を踏み込んだ。歪んだギターの咆哮がスタジオに響き渡り、俺は本能的にヘドバンを始めた。


 説明しよう!!!

『ヘッドバンギング (英: head-banging) とは主に ロック 、 ヘヴィメタル 、 パンク・ロック 、 ハードコア・パンク などの ギグ 、ライヴコンサートで見られる共鳴的動作の一つ。 リズムに合わせて、頭を激しく上下に振る動作である。しばしば、略してヘドバンとも呼ばれる。Wikipediaより』


 ヴラドのベースが重厚なリズムを刻み、佐藤のドラムが雷鳴のように響く。俺のギターソロが夜空を切り裂くように響き渡った。


「これだ...これがメタルだ!」


 俺たちの演奏は、まさに鋼鉄の咆哮だった。田中が求めていたポップな音楽とは正反対の、純度100%のメタルがそこにあった。


 ● 第五章 新たな始まり


 練習後、俺たちは満足感で満たされていた。


「ヴラド、素晴らしい演奏だった」俺は心から賞賛した。


「私もこのバンドで演奏できて光栄だ。数百年ぶりに心が躍った」ヴラドは珍しく笑顔を見せた。


「ところで」佐藤が興味深そうに尋ねた。「吸血鬼って、ニンニクは本当にダメなの?」


「ああ、苦手だ。だから打ち上げでは気をつけてもらいたい」


「了解!じゃあ今度からピザはマルゲリータで統一だな!」


 俺たちは大笑いした。田中の脱退で一度は暗雲が立ち込めた「鋼鉄の咆哮」だったが、予想もしない形で新たな風が吹き込まれた。


 確かに、ヴラドは普通のメンバーではない。しかし、彼の音楽への情熱は本物だった。そして何より、俺たちが愛するメタルという音楽を、心から理解し、愛していた。


「よし、次のライブまでに新曲を完成させよう」俺は宣言した。


「題名は『トランシルヴァニアの嵐』なんてどうだ?」佐藤が提案した。


「悪くない」ヴラドが頷いた。「私の故郷への賛美歌として演奏しよう」


 俺たちの新しい物語が始まった。メタルへの純粋な愛を胸に、人間と吸血鬼が織りなす音楽の冒険が。


 時に人生は、予想もしない形で素晴らしいギフトを運んでくる。田中の脱退は確かに痛手だったが、それがなければヴラドとの出会いもなかった。


 俺は改めてメタゾネを見下ろした。この小さなエフェクターが、今日もまた俺たちの情熱を増幅させてくれるだろう。


「鋼鉄の咆哮」の新章が、今、始まった。

プロンプト

『『新加入メンバー』。「おいっすー」。場所は東京、俺はメタルをこよなく愛するギタリスト私。しかし、先月メンバーが音楽性の違いで脱退してしまった。「俺は女にチヤホヤされたくて始めたのにメタルじゃ野郎どもしか寄り付かないじゃねぇか!!!もうこんなバンドいられねぇ!!!オシャレで簡単なコード進行のJ-POPバンド移籍する!!!そして、俺は星野源みたいな曲書いてモテてガッキーみたいな清純派女優と結婚する!!!」。陰々鬱々とした気分。お気に入りのバンドがコレジャナイ感満載のアルバムを発売したくらい気持ちでスタジオ入りした私。「おいっすー」。返事の方向を見ると、新しいメンバーがいた。しかし、どう見てもドラキュラっぽい。多少の違和感は覚えつつ、確かなプレイに好感を覚える俺たち。そして、ついに新メンバーがドラキュラだろバレる。「おいおい...マジで北欧からきた...」。メンバーは震える。「マジモンの北欧系メタラーかよ!!!!!本場だぞ!!!」。歓喜するメンバー。(そうだ...こいつら本物のメタルバカ(誉め言葉)だった)。そう思っている俺だった。「おいおい、クールぶってるけど一番火がついているのはお前だろ」。ドラマーが叩き始めた瞬間。俺はBOSS MT-2 Metal Zone (通称メタゾネ)を踏んでヘドバンを始めた。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。』

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