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『吸血鬼に襲われたら、馬…いやロボ引けぃぃぃ!』

 ☆ 第一章 深夜の高専ロボコン会場


 2035年、東京。全国高等専門学校ロボットコンテスト会場となった東京ビッグサイト。大会まであと3日というこの夜、徳川慶馬(15歳、高専2年)は会場に忍び込んでいた。


「よし、誰もいない。これで思う存分練習できる」


 慶馬は自分のロボット「トクガワ・ロボフォース1号」を起動させた。メタリックな外装に、伝統的な家紋をデザインしたこのロボットは、彼の3年間の集大成だった。


「明日の大会で絶対に優勝するんだ。徳川家の名前にかけて」


 そう意気込んでいた時、会場の奥から不気味な笑い声が聞こえてきた。


「ほほほ、こんな夜中に熱心なことですね」


 振り返ると、黒いマントを纏った青白い肌の男が立っていた。口元から覗く牙が、会場の照明に鈍く光っている。


「だ、誰ですか?関係者以外立ち入り禁止ですよ」


「私は関係者ではありませんが、夜の住人です。そして、あなたは──」男は鼻をくんくんと鳴らした。「徳川の血筋ですね。素晴らしい香りだ」


 慶馬の背筋に冷たいものが走った。まさか、こいつは──


「吸血鬼」


「ご明察。私はこの現代に生きる夜の貴族。さあ、ゲームをしませんか?」


 ☆ 第二章 ハイテク鬼ごっこ


 吸血鬼は優雅に一礼すると、ゲームのルールを説明した。


「ルールは簡単。私が鬼、あなたが逃げる。朝まで逃げ切れば、あなたの勝ち。捕まったら──まあ、お察しください」


「ちょっと待てよ!俺はただの高専生だ!プログラミングと電子工作は得意だけど、運動は全然──」


「言い訳は無用。では、10秒後にスタートです。一、二、三──」


 慶馬の頭脳が高速回転した。吸血鬼の弱点は日光、十字架、ニンニク、流水──でも今は深夜だし、ここはロボコン会場だ。使えるものは限られている。


(朝まで逃げ切る?普通に考えて無理だろ。でも、待てよ)


 慶馬の視線が、会場に並ぶロボットたちに向いた。


「八、九──」


「待った!」慶馬は大声で叫んだ。


「ハンデをくれ!」


「ほう?」


「俺は徳川家の末裔だ。先祖代々の伝統として、愛馬と共に戦う権利を要求する!」


 吸血鬼は困惑した表情を見せた。


「愛馬?ここにはロボットしかありませんが」


 慶馬はニヤリと笑った。


「ロボットの馬さ。ロボフォースだ!」


 ☆ 第三章 ロボット騎馬隊、起動!


「ロボフォース、起動せよ!」


 慶馬の声に応えて、トクガワ・ロボフォース1号が立ち上がった。4本足の馬型ロボットに、騎手用のコックピットが搭載された独特な形状。


「まさか、そのロボットに乗るつもりですか?」


「そうだ!これが俺の愛馬だ!」


 慶馬は慣れた手つきでロボットのコックピットに乗り込んだ。手元のコントローラーを握り、システムを起動させる。


「トクガワ・ロボフォース1号、騎馬モード起動。パイロット、徳川慶馬、搭乗完了」


 機械音声が会場に響く。ロボットの目が青く光り、4本の足が力強く地面を踏みしめた。


「馬引けぃぃぃ!じゃなくて、ロボ引けぃぃぃ!」


 ☆ 第四章 ハイテク追跡劇


「面白い!現代の騎馬戦ですね」


 吸血鬼も楽しそうに笑いながら、超人的な跳躍力で慶馬を追いかけ始めた。しかし、ロボフォースの機動力は侮れない。


「最高速度40km/h、バッテリー駆動時間8時間。朝まで持つかは微妙だが、やってやる!」


 慶馬は会場内を縦横無尽に駆け回った。ロボットの4本足は、階段も障害物も軽々と乗り越えていく。


「逃げ足は速いですが、所詮は機械。いずれバッテリーが切れるでしょう」


「甘いな!」


 慶馬はコントローラーを操作し、ロボフォースに特殊なアクションを実行させた。


「ソーラーパネル、展開!」


 ロボットの背中から太陽電池パネルが広がった。会場の照明から電力を吸収し始める。


「な、なんと!」


 ☆ 第五章 ロボコン会場の反乱


「でも、これだけじゃ足りない」


 慶馬は会場に展示されている他のロボットたちに目を向けた。そして、マイクを手に取った。


「全国の高専生諸君!緊急事態だ!吸血鬼が現れた!みんなのロボットの力を貸してくれ!」


 すると、どこからともなく他校の学生たちが現れ始めた。皆、大会前の最終調整で夜通し作業をしていたのだ。


「吸血鬼だって?」

「まじで?」

「でも面白そう!」


 理系男子たちの好奇心が刺激される。


「みんな、ロボットを起動させろ!光攻撃だ!」


「LED全開!」

「レーザーポインター装備!」

「プロジェクター、最大出力!」


 会場が一斉に光で満たされた。


 ☆ 第六章 テクノロジーの力


「くそ、まぶしい!」


 吸血鬼は光の洪水に苦しんでいた。しかし、まだ朝ではない。


「でも、まだ夜明けじゃない!君たちの電池がもつかな?」


 その時、慶馬は最後の切り札を思い出した。


「みんな、各ロボットをネットワーク接続しろ!分散コンピューティングで太陽光発電システムを最適化するんだ!」


「なるほど!」

「スマート・グリッド・ロボティクス!」

「AI制御で電力効率を最大化!」


 高専生たちの技術力が結集された。ロボットたちがネットワークで繋がり、効率的な電力管理システムが構築された。


 ☆ 第七章 夜明けのプログラム


「トクガワ・ロボフォース、最終プログラムを実行します」


 慶馬の声と共に、ロボフォースが変形を始めた。4本足から2本足の人型に変形し、背中の太陽光パネルが翼のように広がった。


「これが俺の最終兵器、サムライ・ロボフォース・モード!」


 ロボットは日本刀型のレーザーソードを抜き、構えた。


 そして、東の空が明るくなり始めた。午前6時。


「朝だ!」


 会場の大型スクリーンに朝日が映し出される。同時に、全てのロボットが一斉に光を放った。


「うわあああああ!」


 吸血鬼は朝日と人工光の二重攻撃に耐えきれず、煙となって消え去った。


「やったあああ!」


 高専生たちの歓声が会場に響く。


 ☆ 終章 ロボコン本番


 3日後、ロボコン本番。慶馬のトクガワ・ロボフォースは見事に優勝を果たした。


「優勝おめでとう!でも、あの夜の話、本当だったの?」


 同級生が疑わしそうに尋ねる。


「もちろんだよ。証拠もある」


 慶馬はスマホの動画を見せた。そこには、光に包まれて消えていく吸血鬼の姿がしっかりと記録されていた。


「うわ、マジだった」


「でも、一番すごいのはみんなの技術力だ。高専生のエンジニア魂には、吸血鬼だって勝てないってことさ」


 慶馬はトロフィーを掲げながら、ロボフォースの頭を撫でた。


「先祖様、見てましたか?令和の時代も、徳川の魂は健在ですよ。ただし、今度は馬じゃなくてロボットですけどね」


 ロボフォースは、まるで理解したかのように目を青く光らせた。


 **あとがき**


 少し未来の日本を舞台に、高専生とロボット技術の融合を描いた作品です。「馬引けぃぃぃ!」が「ロボ引けぃぃぃ!」に進化し、現代の技術力と高専生の創造性が吸血鬼を退治するという、テクノロジーと伝統の融合を表現しました。理系男子たちの熱い魂と、彼らが作り上げたロボットたちの活躍をお楽しみください。

プロンプト

「『吸血鬼に襲われたら、馬…いやロボ引けぃぃぃ!』。場所は少し未来の日本。ロボコンの会場。夜中に会場でこっそり練習をしようとしたが、吸血鬼と遭遇した徳川の末裔である高専生の私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもあるが、結局あそこしかない。そうロボットの馬だ。ロボフォースだ!このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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