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『吸血鬼!トレーニー!体脂肪を燃やせ!!!』~バーニングスピリット!~

 

 東京の夜は、私の舞台だ。


 ブラッド・マウンテン。三百年生きる吸血鬼にして、血液型でいえばB型、吸血族でいえば保守派。高貴なる夜の帝王である。


 人間の生き血を啜る日々。だが最近、この「吸って終わり」の単調さに辟易としていた。そこで思いついたのが「鬼ごっこ」だ。逃げ惑う人間を追いかけ、恐怖に歪む表情を愉しむ。なんとも洗練された嗜みではないか。


 そんな夜、代々木公園で一人の肥満気味の女性を見つけた。走ろうとしては息を切らし、挫折の表情を浮かべている。


「おや、こんな時間に一人で何をしている?」と私が声をかけると、彼女は振り向き——


「キャー!吸血鬼!」


 予想通りの反応。だが次の言葉は想定外だった。


「アタシは結婚を控えた花嫁よ!玲子っていうの!あと数か月後に結婚式があるのに、イケメンでスパダリな恋人が発展途上国へ国境なき医師団として出国して、気が緩んでファストフードとラーメン三昧の自堕落な生活を送ったせいで、40kgも太ってしまったわ。採寸は済んでいて、このままじゃドレスが着れないどころか、太った姿に幻滅されて結婚は白紙よ。そう思って2分前に走り込みをしようとしたけど続けられる自信がないわ!いっそのこと…血を吸ってよ!」


 命の危機かもしれないのに、驚くほど要点が整理された説明だ。むしろ肝が据わっているのか?


 私は口元に笑みを浮かべた。


「なるほど。私が心を鬼にして協力しよう」


「え?血を吸わないの?」


「君の血を今吸ったところで、私の空腹は満たされない」


 私は彼女のボディを一瞥して言った。


「脂肪分が多すぎる」


「なによそれ!吸血鬼もダイエット志向なの?」


「違う。単に味が落ちるのだ。高級和牛を食べ慣れた者がファストフードを口にするようなものだ」


 彼女は膨れっ面をした。


「じゃあアタシをどうするつもり?」


「三百年生きていれば、人間の体に関する知識も豊富になる。私が君のトレーナーになろう」


 こうして奇妙なダイエット指導が始まった。


「基礎代謝を上げるために筋トレを取り入れる。筋肉は脂肪より多くのカロリーを消費する」


 夜の公園で腕立て伏せを指導する吸血鬼。


「炭水化物は悪くない。問題は量と質だ。白米を玄米に変え、パンは全粒粉のものを選ぶ」


 スーパーで買い物をする吸血鬼。


「夜食は厳禁だ。私たち吸血鬼でさえ、昼間は眠る。体内時計を尊重しなさい」


 ラーメン屋から引きずり出す吸血鬼。


 玲子は不満顔ながらも指導に従った。たまに「血でも吸って痩せられないの?」と聞いてくるが、「それは無理だ」と毎回諭した。


 二ヶ月後、玲子は見違えるように痩せていた。彼女は泣いて喜んだ。


「ありがとう!おかげでドレスが着られるわ!あなたって本当に優しい吸血鬼ね!」


 私は微笑んだ。


「礼は不要だ。君の恐怖と苦悩を味わえたのだから」


「え?」


「ジョークだ。今夜は君の恋人が帰国する日だろう?」


 彼女は嬉しそうに頷いた。


「空港まで迎えに行くの!」


 彼女を見送った後、私は月を見上げた。人間の生き血ではなく、彼らの喜びを糧にする日々——意外と悪くない。


 だが翌日、私は玲子の元恋人の生き血を啜っていた。「国境なき医師団」のはずが、実は南の島での女遊びだったからだ。


 シニカルに生きて三百年。私の道徳観は人間とは違う。でも、人間の幸せを守ることもある。それがB型吸血鬼の流儀だ。


「グッドラック、玲子。次の恋人は私が審査しよう」


 月明かりの下、赤い血を口元から拭いながら、私はそう呟いた。

プロンプト

「『吸血鬼!トレーニー!体脂肪を燃やせ!!!』~バーニングスピリット!~。場所は東京。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。私は太めな女を見つけて声をかける。彼女の名は玲子。結婚を控える花嫁。しかし、ここ数か月で激太り。焼け石に水と思いながら走り込みを開始して二分。そこに現れたいかにもな吸血鬼。思わず叫ぶ。「キャー!アタシは結婚を控えた花嫁。あと数か月後に結婚式があるのにイケメンでスパダリな恋人が発展途上国へ国境なき医師団として出国して気が緩んでファストフードとラーメン三昧の自堕落な生活を送ったせいで、40kgも太ってしまったわ。採寸は済んでいて、このままじゃドレスが着れないどころか、太った姿に幻滅されて結婚は白紙よ。そう思って2分前に走り込みをしようとしたけど続けられる自信がないわ!いっそのこと…」。なるほど。命の危機かもしれないのに分かりやすく聞き取りやすい説明だ。逆に肝が据わっているのか。おもしろい女性だ。「なるほど、私が心を鬼にして協力しよう」。私は長年の経験と知識から彼女の生活を食事から改善し効果的なトレーニング方法を指導する。このプロットを元に1400文字以内でシニカルコメディ短編小説を書きましょう。登場人物: ・私こと吸血鬼ブラッド・マウンテン:高貴な吸血鬼、あらゆる分野を極める律儀で礼儀を重んじるノリのいい吸血鬼。ナイスガイ。血液型でいえばB型、吸血鬼でいえば保守派。三百年以上生きている。」

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