『婚活パーティーに参加したら、吸血鬼!?』
私、井ノ川洋子。二十七歳。婚活パーティーの常連である。
もちろん、結婚なんてする気はさらさらない。ただ、必死になって話しかけてくる男たちを観察するのが趣味なのだ。女性無料というのも魅力的だし、友達との飲み会での話のネタにもなる。
今日も例によって、新宿のホテルの会場で開催される婚活パーティーに参加している。
「あの、お仕事は...」
「IT企業で営業をしています」
薄笑いを浮かべながら、私は答える。相手の男性は汗を拭いながら、さらに会話を続けようと必死だ。
(ああ、この人も友達からいい人を紹介されない残念な人なのね)
会場を見渡すと、いつものような光景が広がっている。
隅で固まったまま動けない内向的な男性。空気を読まずに一方的に話し続ける営業マン風の男性。シャツのシワが気になる清潔感のない男性。そして...
「おや、お嬢さん」
突然、背後から声をかけられた。振り向くと、まるで絵から抜け出してきたような美しい顔立ちの男性が立っていた。真っ白な肌に、深紅の瞳。
「失礼ですが、あなたの首筋が大変魅力的でして」
「...はい?」
「このパーティー、実は吸血鬼の私たちにとって絶好の獲物探しの場なのです」
彼は艶やかな微笑みを浮かべながら、真っ赤な唇の下から鋭い犬歯を覗かせた。
「ちょ、ちょっと待って!」
私は慌てて両手を上げた。
「確かに私、この場所で男性たちの人生という血を吸って楽しんでいたかもしれません。でも、それは比喩的な意味で...」
「ふふふ、なかなか面白いお嬢さんですね」
吸血鬼は優雅に笑った。
「実は私も、現代の人間たちの婚活という愛と絶望の儀式を観察するのが趣味でして。特に、あなたのような...観察眼を持った方にお会いできて光栄です」
「まさか、あなたも...」
「ええ、私も純粋な悪意で参加していました」
私たちは顔を見合わせ、思わず吹き出してしまった。
会場の隅で、婚活パーティーの参加者たちを冷ややかな目で観察する人間の女性と吸血鬼の男性。なんとも言えない馴れ初めである。
「では、この後お茶でもいかがですか?」
「ええ、素敵ですわ」
こうして私は、婚活市場における最弱者である吸血鬼と意気投合したのだった。だって、日光を浴びられない吸血鬼なんて、まともな婚活なんてできるはずがないじゃない。
プロンプト
「『婚活パーティーに参加したら、吸血鬼!?』。場所は東京。私は井ノ川洋子。婚活パーティーに参加している。しかし、私はただ参加しているだけ付き合う気はない。ただ、参加している男を内心見下して楽しんでいる。参加費もタダで話のネタにもなる。女性有利な社会の縮図をただただ楽しんでいる。男はなんとか話の糸口を見つけようと必死になっている。(まともな男は友達の紹介とかあるのに何かしら欠陥がある人たちなのかしらw)。あの人は受け身で無口。あの人は空気が読めない多弁。あの人は清潔感がない。あの人は吸血鬼...吸血鬼!?。「おや、お嬢さん」。吸血鬼と目が合う私。このプロットを元にシニカルブラックコメディ短編小説を書きましょう。」