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『ヴァンパイア?オンファイヤー!!!!』~過激サイコパス野郎に気を付けろ!~

 

 私は後悔していた。あの時、玄関のドアを開けなければ良かった。


「お邪魔します」と言って入ってきた彼女は、どこか異質だった。異常に白い肌。赤みがかった瞳。そして、微笑むと見える少し長めの犬歯。でも、そんなことは気にならなかった。彼女の魅力に圧倒されていたからだ。


「ちょっと一休みさせてもらえないかしら?」


 その声は蜜のように甘く、私の理性を溶かしていった。


 今振り返れば、それが最初の警告だった。


 ***


 夜半、私は目を覚ました。どこか喉が渇いていた。水を飲もうと起き上がったとき、気づいた。リビングのソファで休んでいたはずの彼女がいない。


「あれ?」


 そこに、背後から声がした。


「起きちゃったの?」


 振り返ると、彼女が立っていた。しかし、昼間とは違う。瞳は赤く燃え、口元からは鋭い牙が覗いていた。


「あなたの匂い、すごくいい。少し、いただくわね」


 それが私の頭を冷静にした。


 _吸血鬼だ。_


 ***


「や、やめろ!」


 私は反射的に枕を投げつけた。無駄だった。彼女はひらりと避け、微笑んだ。


「逃げ場はないわよ」


 私は頭を巡らせた。吸血鬼の弱点は何だ?日光?十字架?ニンニク?


「朝まで逃げ切れば…」


 彼女は嘲笑した。


「あなたがそこまで持つかしら?」


 そうだ、炎だ。吸血鬼は日に弱いから火にも弱いはずだ。


 私はベッドサイドの引き出しからマッチを取り出した。


「何をするつもり?」


 彼女の声に僅かな緊張が混じった。


「さあ、何だと思う?」


 私はマッチに火をつけ、彼女に向かって投げた。


「きゃっ!」


 火は彼女のドレスの裾に燃え移り、小さな炎が上がった。彼女は慌てて払いのけた。


「やるじゃない」


 彼女の声は冷たくなった。もう遊びではない。


 ***


 キッチンに逃げ込んだ私は、スプレー缶とライターを見つけた。即席火炎放射器の完成だ。


「どこに隠れてるの?」


 彼女の声が近づいてくる。


 私は待ち構えた。彼女がキッチンのドアを開けた瞬間、スプレーを噴射しライターで着火した。


「うわあっ!」


 火の柱が上がり、彼女は悲鳴を上げて後退した。髪が焦げる匂いが部屋に広がる。


「すごいわ。ここまでする人、初めて」


 彼女の声は怒りと興奮が入り混じっていた。


「まだまだ、これからだ」


 私は冷蔵庫からニンニクを取り出し、彼女に投げつけた。


「そんなの効かないわよ」


 確かに、彼女は平然としていた。


「じゃあ、これは?」


 私は物置から取り出した灯油の缶を振りかざした。


「冗談でしょ?」


 冗談ではない。私は彼女に向かって灯油をぶちまけた。


「やめて!」


 私は再びマッチを取り出し、火をつけた。


「待って!話し合いましょう!」


「話し合い?人間の血を吸おうとした吸血鬼と?」


 マッチは彼女の方へ飛んでいった。


 灯油に火が移り、彼女は炎に包まれた。


「きゃあああああ!」


 彼女は悲鳴を上げながら、床を転げ回った。炎は徐々に消えていった。


「まだ…生きてる…」


 彼女は弱々しく言った。服は焦げ、髪は乱れ、肌は火傷で赤くなっていた。


「ダイナマイトがあったらなあ」と私は呟いた。


「ダイナマイト?」


 彼女は信じられないという表情を浮かべた。


「あなた、本当に私を殺す気なの?」


「当然だ。吸血鬼なんだろ?」


「吸血鬼だからって、みんな悪いわけじゃない…」


 彼女の声は震えていた。


「血を吸おうとしたじゃないか」


「…それは…」


 彼女は言葉に詰まった。


「少しだけ…おいしそうだったから…」


 ***


 私は彼女を見下ろした。かつて優雅だった彼女は、今や惨めなアフロヘア―になっていた。


「…出て行け」


 彼女は驚いた顔をした。


「殺さないの?」


「面倒くさくなった。二度と現れるな」


 彼女はよろよろと立ち上がった。


「ありがとう…」


「だが、もし二度と現れたら…」


 私は残りの灯油の缶を示した。


「今度は家ごと燃やす」


 彼女は小さく頷いた。


「わかったわ…でも、一つ言わせて」


「何だ?」


「あなた、ちょっと過激すぎない?」


 私は灯油の缶を見た。そして、キッチンの焦げた壁を。さらに、リビングの床に散らばるニンニク。


「…そうかもな」


 彼女は小さく笑った。


「私も血を吸おうとしたのは悪かったわ。でも、次はもっとマイルドに断って」


「次はない」


「そうね、次はない」


 彼女は去っていった。私は部屋の惨状を眺めた。掃除は明日にしよう。今夜は疲れた。


 扉を閉め、鍵をかけ、窓も閉める。これで安全だ。


 そして、灯油の缶をベッドの横に置いた。


 念のために。


 ***


 翌朝、私は目覚めた。昨夜の出来事は夢だったのだろうか?


 しかし、部屋の惨状と、ベッドの横の灯油の缶が現実を物語っていた。


 そして、リビングのテーブルには一枚の紙が置かれていた。


『ありがとう、命を助けてくれて。でも、マッチは持ち歩かないでね。危ないから。P.S. あなたの血、ちょっとだけ味見しちゃった。ごめんなさい♡』


 私は首元に手を当てた。かすかに二つの傷があった。


「くそ…また会うことになりそうだな」


 私はスマホを取り出し、検索を始めた。


「ダイナマイトの作り方…」


 その時、部屋の隅から小さな笑い声が聞こえた気がした。


 気のせいだろう。

プロンプト

「『ヴァンパイア?オンファイヤー!!!!』。吸血鬼だと知らずに性欲に負けて家に奴を家に入れてしまった。私は夜に女吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもあるが、結局あれしかない。そう炎だ。マッチに火をつけて投げる。ライターとスプレー缶を使った即席火炎放射器、灯油をぶちまけて着火、そしてダイナマイト。徐々に過激になる私。果たして奴を撃退できるのか。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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