『推しの最後の光』
※この話はフィクションです。実在の某王国とアイドルとは関係ありません。ちなみにアイドルは永遠に18歳です。
東京の夜。私は息を切らせながら走っていた。後ろから聞こえてくる不気味な笑い声。振り返ると、月明かりに照らされた吸血鬼の顔が見える。
「ねえ、鬼ごっこしようよ。君が鬼ね」彼は甘い声で誘ってきた。
私は答えない。今夜、そんな命がけのゲームをする暇なんてない。今日は特別な日。アイドルグループ「キラキラ☆ビームズ」のセンター、星野ルミの卒業コンサート最終日なのだ。
吸血鬼の追跡を振り切り、なんとかコンサート会場にたどり着く。ステージに向かって走る私。すると、後ろから聞き覚えのある声が。
「チケット、持ってる?」
振り返ると、そこには例の吸血鬼が立っていた。彼は首からファンクラブの会員証をぶら下げている。
「まさか、あんたも...」
「ルミちゃんのファン?うん、30年くらい前からね」
驚きを隠せない私。しかし、そんな会話をしている場合ではない。開演のブザーが鳴り響く。
会場内は熱気に包まれていた。ステージ上のルミちゃんは、まさに天使のように輝いている。派手な照明に照らされた彼女の姿は、まるで太陽のよう。
「ま、まぶしい...」隣から聞こえてくる呻き声。
そう、吸血鬼だった。彼は苦しそうに目を細めている。でも、ステージから目を離すことはできない。
「30年間、ずっとルミちゃんを応援してきたんだ。最後のコンサート、見逃すわけにはいかないからね」
彼の言葉に、私は思わず笑みがこぼれた。そして、ステージに目を戻す。
コンサートは最高潮に達していた。ルミちゃんの歌声が会場中に響き渡る。ファン全員が一体となって彼女を送り出そうとしている。私も、隣の吸血鬼も、涙を流しながら声を張り上げた。
終演。会場を後にする私たち。
「君、名前は?」吸血鬼が尋ねてきた。
「ミカ」
「そう。じゃあ、ミカ。また会おう。次は鬼ごっこだ」
彼はそう言うと、夜の闇に消えていった。私は呆然と立ち尽くす。この奇妙な夜の出来事が夢だったのか現実だったのか、もはやわからない。
ただ一つ確かなのは、ルミちゃんの卒業コンサートは最高だったということ。そして、きっとまた吸血鬼と会うだろうということ。次は鬼ごっこか...。私は苦笑いしながら、朝日が昇り始めた空を見上げた。
プロンプト
「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私はそんなデスゲームガンを無視して推しの卒業コンサートへ向かう。吸血鬼の弱点は日光。アイドルコンサートなら光は十分だろう。推しの卒コンが始まる。感動する私。隣の客も感動している。しかしよく見ると例の吸血鬼だった。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」
30年もアイドルを続けるとは...。