『関取系ヴァンパイアの対処法』
真夜中の東京。私は両国駅近くのコンビニで缶コーヒーを買って出てきたところだった。
「ふふふ…」
闇に響く低い笑い声に、背筋が凍る。振り返ると、そこには巨大な人影が立っていた。
そこに現れたのは、まさかの吸血鬼。それも普通の吸血鬼ではない。身長2メートル近く、体重200キロはゆうにありそうな、れっきとした関取体形の吸血鬼だった。
月明かりに照らされた姿は、まるで両国国技館の廊下に飾られている昔の横綱の写真のよう。ただし、異常に青白い肌と鋭い牙以外は。
「ちょっとした勝負をしないかね?」
関取体形の吸血鬼が、にやりと笑う。
「鬼ごっこだ。朝日が昇るまでに捕まらなければ、君の勝ち。捕まれば…ふふふ」
私は即座に走り出した。考えている暇などない。ただし、どこに逃げるかは決めていた。
両国国技館だ。
なぜそんな場所を選んだのか。正直、パニックで頭が真っ白になっていた部分もある。でも、相撲の聖地なら何か…きっと。
「なかなか機転が利くじゃないか!」
背後から聞こえる声が、妙に嬉しそうだ。
「だが、ここは私の庭も同然!」
確かに、相撲取りのような体格の吸血鬼にとって、国技館は理想的な狩場かもしれない。広い廊下、明るい場所が少ない構造。しかし、それは私にとっても…。
「おや?」
突然、別の声が響く。振り返ると、私を追いかけてきた吸血鬼が立ち止まっていた。
「遅刻であります!」
闇の中から現れたのは、さらに数体の関取体形の吸血鬼たち。どうやら、深夜の国技館で秘密の稽古会が行われていたらしい。
「今日は三番稽古の予定でしたぞ!」
「ここのところサボりが目立ちますな」
「ではまず、すり足から始めましょう」
私を追いかけてきた吸血鬼の顔が青ざめる…というか、普段から青白いのでさらに青白くなる。
「いや、その…今日は狩りの最中で…」
「言い訳無用!」
そうして吸血鬼は、厳しい稽古の渦に巻き込まれていった。私はその様子を見ながら、そっと国技館を後にした。
後日、両国界隈では「深夜の国技館で、時々相撲を取る音が聞こえる」という噂が広まった。その正体を知るのは、この私だけ。ただし、誰も信じないだろうけれど。
翌朝、私は疲れ切って会社に向かった。デスクに着くなり、同僚が声をかけてきた。
「ねぇ、今朝のニュース見た?両国国技館の土俵に、何故か大量の塩が撒かれてたんだって」
私は静かにため息をつき、パソコンの電源を入れた。
「ああ、きっと誰か、相撲マニアたちが稽古でもしてたんじゃない」
プロンプト
「『関取系ヴァンパイアの対処法』。場所は東京、夜中に関取体形の吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。「ただでさえ、すさまじい力を持つ吸血鬼が関取体形だと…」。私はとりあえず、両国国技館へ逃げる。果たしてこの吸血鬼を撃退できるのか。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」