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『東京ナイトライド~会計はアイツで、じょじょに奇妙になる鬼ごっこ~』

 

 真夜中の東京。私は息を切らしながら、薄暗い路地を駆け抜けていた。背後から聞こえてくる軽やかな足音に、背筋が凍る。


「おいおい、そんなに必死になるなよ。楽しい鬼ごっこじゃないか」


 吸血鬼の甘ったるい声が耳元でささやく。なぜこんなことになったのか、思い出す暇もない。


「くそっ」


 行き止まりだ。振り返ると、月明かりに照らされた吸血鬼の姿。真っ赤な瞳と鋭い牙が、不気味に光っている。


「さあ、観念するんだな」


 その瞬間、目の端に何かが光った。友達のバイクだ。鍵がついたまま。


「悪いな、明日謝るよ」


 エンジンを掛け、一気にアクセルを踏み込む。後ろから吸血鬼の怒号が聞こえる。


「ふう、これなら逃げきれる」


 安堵の溜め息をつく間もなく、横からタクシーが並走してきた。


「お客さん、危険ですよ」


 運転手の声に振り向くと、後部座席の窓から吸血鬼が身を乗り出していた。


「なんでだよ!」


 絶叫する私に、吸血鬼は優雅に手を振る。


「私からは逃げられんよ」


 信号が黄色に変わる。


「お客さん、これ以上は無理ですよ」


 運転手が諦めたように言う。


「そこが空いているではないか」


 吸血鬼が歩道を指さす。


「いやでも、お客さん…」


「かまわん。いけ」


 吸血鬼の命令に、運転手は渋々従う。タクシーは歩道を走り、私のバイクに追いつく。


「やあ、友よ。楽しい夜だね」


 吸血鬼が窓から身を乗り出し、にやりと笑う。


「なんでタクシーなんかに…」


「21世紀だからね。我々も進化するんだよ」


 呆れる私に、吸血鬼は肩をすくめる。


「それより、そろそろ降りないのか?ガソリン代もったいないぞ」


 ふと気づけば、もう東京の中心部。派手なネオンが夜空を彩る。


「くそっ…」


 バイクを止め、降りる。吸血鬼もタクシーから優雅に降りてくる。


「お客さん、料金は…」


 運転手の声に、吸血鬼はにっこり笑う。


「彼が払うよ。ね?」


 私は観念したように財布を取り出す。


「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


 お辞儀をして去っていく運転手。


 吸血鬼は満足げに私を見つめる。


「さて、楽しい夜はこれからだ」


 私は深いため息をつく。


「お前のせいで俺の給料が...絶対に許さん」


 私は歯を食いしばり、吸血鬼を睨みつけた。一晩中追いかけ回された挙句、タクシー代まで払わされるなんて、たまったものではない。


 吸血鬼は困ったような表情を浮かべると、優雅な仕草で懐に手を入れた。


「まあまあ、そう怒るな。こんなものでどうだ?」


 そう言って取り出したのは、拳大のダイヤモンド。月明かりに照らされ、幻想的な輝きを放っている。


「あいにく現金は持ち合わせてないのでな」


 私は呆気にとられて、その宝石を受け取った。重みといい、輝きといい、間違いなく本物のようだ。


「こんなもの、どこで...」


 質問の途中で、私は口をつぐんだ。聞かない方がいいこともある。それが吸血鬼との付き合い方だ。


 そのとき、


「おい、そこの二人!何をしている?」


 威厳のある声が響き渡る。振り返ると、制服姿のお巡りさんが近づいてきていた。


「深夜にこんな場所で何か怪しいぞ。身分証を見せなさい」


 私は慌てて財布を探り始めた。しかし、吸血鬼の方は涼しい顔で立っている。


「おい、お前も見せろ」


 お巡りさんが吸血鬼に詰め寄る。


「申し訳ありません、警察官さん。私は身分証を持ち歩かない主義でして」


 にこやかに答える吸血鬼。その態度に、お巡りさんの眉間にしわが寄る。


「ふん、そうか。じゃあ、交番まで来てもらおうか」


「いや、それは...」


 私は焦った。吸血鬼が警察に連れていかれたら、どんな騒ぎになるか想像もつかない。


「あの、警察官さん」


 私は急いで口を挟んだ。


「実は私たち、深夜の街を舞台にした映画を撮影していまして...」


 嘘がどんどん膨らんでいく。お巡りさんは疑わしげな目で私たちを見つめている。


「映画?こんな時間に?許可は取ってるのか?」


「ええと、それが...」


 言葉に詰まる私の横で、吸血鬼がスムーズに話を引き継いだ。


「もちろんです。許可証はこちらに」


 そう言って差し出したのは、何と警視庁の公式マークが入った書類だった。お巡りさんは驚きの表情を隠せない。


「これは...本物のようですね。失礼しました」


 吸血鬼は優雅に会釈すると、お巡りさんに向かって微笑んだ。


「いえいえ、お気になさらず。お仕事ご苦労様です」


 お巡りさんは恐縮しながら立ち去っていった。その姿が見えなくなるまで待って、私は吸血鬼に問いただした。


「あれは一体...」


「ただの幻影さ。便利だろう?」


 にやりと笑う吸血鬼。私は呆れて首を振った。


「まったく、お前という奴は...」


「さあ、夜はまだ若い。次はどこへ行こうか?」


 吸血鬼は楽しそうに腕を組み、夜の街を見渡した。私は深いため息をついた。


 グォン!!グォーーーン!


 突然、夜空を引き裂くような爆音が響き渡った。


「おい!俺のバイク返せよ!」


 振り向くと、そこには怒り心頭の友人が立っていた。その背後には、アニメキャラクターのステッカーで派手に彩られた痛車が停まっている。どうやら、バイクを奪われた腹いせに、この痛車で追跡してきたらしい。


「悪い、緊急事態だったんだ」


 言い訳をしようとした瞬間、痛車から箱乗りしていた数人の友人たちが飛び出してきた。彼らは勢いよく車から降りた。


「いくらダチだからって許さねえええええ!!!」


 友人は痛車に乗って、その勢いのままアクセル全開で突っ込んできた...


「うわっ!」


 吸血鬼に激突。吸血鬼は予想外の事態に対応できず、宙を舞って数メートル先に転がった。


「おい!ヤバいぞ救急車呼べ!」


 友人の一人が叫ぶ。みんな、吸血鬼の正体など知る由もない。ただの通行人を傷つけてしまったと思い込んでいる。


 慌てふためいた友人たちは、すぐさま救急車を呼んだ。サイレンの音が近づいてくる。


「大丈夫だって。あいつは...」


 説明しようとした私の言葉は、次の瞬間起こった出来事で(さえぎ)られた。


 救急車が猛スピードで現場に到着したのはいいが、ブレーキが間に合わなかったのか、なんと吸血鬼を轢いてしまったのだ。


「ギャアアアア!」


 救急隊員の悲鳴が夜空に響く。


 私は唖然として、この信じられない光景を眺めていた。吸血鬼は救急車の下敷きになり、ピクリとも動かない。


「まさか...本当に...」


 しかし次の瞬間、救急車の下から細い腕が伸び、車体を持ち上げた。吸血鬼がのそのそと這い出してくる。


「やれやれ、なんて乱暴な夜なんだ」


 埃を払いながら立ち上がる吸血鬼。周囲は静まり返っている。


「さて、私はこの辺で失礼するよ。君との鬼ごっこ、実に楽しかったよ」


 にっこりと笑って、吸血鬼は闇の中へと消えていった。後には、呆然とする救急隊員、友人たち、そして私だけが残された。


「お前...あいつ...なんだったんだ?」


 友人が震える声で尋ねる。


 私は深いため息をついた。


「長い話になるぞ。とりあえず、今夜はもう寝よう」


 東の空が薄明るくなり始めていた。この狂った夜が終わりを告げる中、私たちはそれぞれの家路についた。


 しかし、どこかで吸血鬼が次の「鬼ごっこ」を楽しみにしているのではないかという思いが、私の頭から離れなかった。


 東京の夜は、まだまだ謎に満ちている。


プロンプト

「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。そのとき、鍵がつけっぱなしのバイクを見つける。あれは友達のバイクだ。私はバイクに乗って逃げる。「ふう、これなら逃げきれる」。しかし、そのときタクシーが並走する。チラ見すると吸血鬼が箱乗りで私を追いかけている。「お客さん危険ですよ」。そのとき、信号が切り替わる。「お客さんこれ以上は無理ですよ」。「そこが空いているではないか」。吸血鬼は歩道を指さす。「いやでも、お客さん」。「かまわん。いけ」。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

「つづきをかいてください。「お前のせいで俺の給料が...絶対に許さん」。私が言うと吸血鬼は懐からダイヤを取り出して私に渡す。「あいにく現金は持ち合わせてないのでな」。そのとき、お巡りさんがきた。」

「つづき。そのとき、爆発音が聞こえてきた。「おい!俺のバイク返せよ!」。それは友人だった。痛車に箱乗りできた。その痛車は吸血鬼を吹っ飛ばしてしまった。「おい!ヤバいぞ救急車呼べ!」。友人たちは救急車をよんだ。しかし、救急車は吸血鬼を引いてしまった。その光景を唖然として見ている私。以上で物語を締めくくってください。」

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