『バカップルに会ったら、見て見ぬふりをするんだ!!!』~なぜバレた~
「いやあ、もう人が見てるって♡」
深夜の北京郊外。人気のない道で若いカップルが絡み合っていた。月明かりに照らされた二人の姿は、どこか不自然に白く輝いている。
「バカップルどもめ」
私は思わず毒づいた。
「相手の血でも吸ってろ」
その瞬間、二人の動きが止まった。凍りついたように。
「なぜバレた…」
男が囁く。
「へ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「なぜ、私たちが吸血鬼だとバレたのだ!人間よ!」
女が叫ぶ。その声は夜空に響き渡り、反響する。彼女の口から覗く牙が月光に光る。
「いや、まさか本当に…」
私は背筋が凍る思いで、その場から走り出した。後ろから二人の足音が迫ってくる。いや、足音というより風を切る音。吸血鬼の速度なんて、人間の比ではない。
頭の中で必死に吸血鬼の弱点を思い出す。にんにく?今持ってない。十字架?残念ながら無神論者。日の光?まだ夜中の2時だ。
そうだ、ここは北京郊外。あの万里の長城まで走れば…。
伝説では吸血鬼は流れる水を越えられない。そして万里の長城には、古代中国の叡智が詰まっている。風水の力で邪気を防ぐように設計された要塞。きっと吸血鬼も寄れないはず…!
「人間よ、逃げられると思うなよ!」
背後から男の声。
私は必死に走った。月明かりの下、巨大な城壁のシルエットが見えてきた。
「はぁ…はぁ…」
息も絶え絶えだが、階段を駆け上がる。振り返ると、追っていた二人が城壁の手前で止まっていた。
「くっ…」
女が悔しそうに唸る。
「まさか、この観光地が聖地だったとは…」
「ちぇっ」
男も舌打ちする。
「まあいいさ。朝まであと4時間。他の獲物を探そうぜ」
私は城壁の上から、立ち去る二人を見送った。そして夜明けまで、万里の長城の上でスマホゲームをしながら時間を潰した。
後日、私はガイドブックを片手に万里の長城を訪れた。確かに風水の力で邪気を防ぐように設計されているとの記述があった。でも、それは迷信だろう。たぶん吸血鬼たちは、観光地で騒ぎを起こすのを避けただけなのだ。そう、きっと…。
でも念のため、それ以降私は夜の散歩を控えめにしている。万が一、また吸血鬼カップルに出くわさないとも限らないからだ。
プロンプト
「場所は中国、夜中にバカップルと遭遇した私。「いやあ、もう人が見てるって」。人目もはばからずイチャイチャしているバカップル。「バカップルどもめ、相手の血でも吸い合ってろ」。私が呟くと、二人は急に止まった。「なぜバレた…」。「へ」。私は素っ頓狂な声を上げる。「なぜバレたと言っているんだ!人間!」。吸血鬼たちは追いかけてくる。。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもあるが、結局あそこしかない。そう万里の長城だ。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」