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『自称コメンテーター系吸血鬼の対処法』

「残業も終わって、やっと帰れる…」


 井ノ川洋子は疲れた足を引きずりながら、東京の夜の街を歩いていた。都会の喧騒が徐々に遠ざかり、住宅街の静けさが心地よかった。


「こんばんは、私は山﨑ドラキュラです」


 突然、背後から声がかかった。振り向くと、細身のスーツを着た男性が立っていた。知的な雰囲気を漂わせているものの、やけに青白い顔色が気になる。そして何より、その眼光が尋常ではなかった。


「はぁ…どちら様でしょうか?」


「申し上げた通り、山﨑ドラキュラです。テレビでよく解説をしている者です」


 洋子は首を傾げた。確かに最近、テレビで様々な専門家が解説する番組は増えていたが、このような怪しげな男性は見た覚えがない。


「私は芸能ドラキュラです。それだけで、あなたより格上なのですよ」


「はぁ…」


「その態度は何ですか?芸能ドラキュラという存在の重みをご存じない?」


 山﨑ドラキュラは、まるで社会の常識を知らない人を諭すような口調で語り始めた。


「私たち芸能ドラキュラは、何百年も人類の歴史を見てきました。そのような経験と知見を持つ者の意見を、もっと謙虚に聞くべきではないですか?」


 洋子はため息をつきながら、スマートフォンを取り出した。


「すみません、ちょっと録画させていただいていいですか?」


「どうぞ」


 得意げに答える山﨑ドラキュラ。


「はい、では山﨑さん。今おっしゃった『芸能ドラキュラだから偉い』という論理は、完全な身分差別だと思うのですが、いかがでしょうか?」


「えっ?」


「それに、そもそも吸血鬼であることを誇るのは、人権侵害を誇るようなものではないですか?」


「いや、それは…」


「さらに、テレビに出演されているとおっしゃいましたが、実際の放送実績について具体的に教えていただけますか?」


 淡々と質問を重ねる洋子に、山﨑ドラキュラは次第に青ざめていった。というより、元から青白い顔がさらに青くなっていく。


「あの…急用を思い出しました」


「まだ話は終わっていませんが?」


「申し訳ありません!」


 山﨑ドラキュラは、来た時よりも早い速度で夜の闇に消えていった。


 洋子はスマートフォンを仕舞いながら、小さく笑った。


「コメンテーター系吸血鬼は、ファクトチェック(事実確認)が一番効くのよね」


 そう呟きながら、洋子は帰路についた。東京の夜は、相変わらず賑やかだった。

プロンプト

「『コメンテーター系吸血鬼の対処法』。場所は東京。私は井ノ川洋子。OL。「こんにちは、私は山﨑ドラキュラ」。振り向くと、賢そうな雰囲気の吸血鬼がいた。「あなたのその態度ほんといいのそれで」。ドラキュラは上から目線でしゃべってくる。「私はドラキュラ、それだけで偉い」。芸能人だから偉いと同じような理論で、自己世正当化してくる。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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