『不倫野郎を見つけたら、鬼ごっこだ!!!』
私は夜の帝王——といっても、別に歌舞伎町の住人ではない。血に飢えた吸血鬼だ。
東京の夜景を見下ろす高層ビルの屋上で、今宵も獲物を探している。最近は単なる「血抜き」作業にマンネリを感じていた。人間から生き血を啜るだけでは、もはや刺激が足りない。
そんな時、目の前の大通りを歩く二人組が目に入った。
「ん?あれは...」
有名俳優のHだ。横には、明らかに妻ではない若い女性。二人は周囲を気にしながら、ビジネスホテルに向かっていた。
「ふむ」
私は薄く笑みを浮かべた。今夜は「鬼ごっこ」と洒落込もう。無差別に人を襲うのは趣味ではないが、不倫野郎なら話は別だ。
二人がホテルのエントランスに差し掛かったところで、私は彼らの前に現れた。
「こんばんは」
突然の声に、Hは凍りついたように立ち止まった。
「こんな目立つ場所での密会とは、粋な計らいですね」
「き、君は...」
Hの声が震えている。私は意地悪く続けた。
「なぜ、このホテルを選んだのですか?」
「そ、それは...」
Hは小さな声で答えた。
「ポイントが...貯まるから...」
私は思わず吹き出しそうになった。現代の人間とはなんと実利的な生き物か。不倫までもがポイント還元の対象とは。
「では、新しいゲームを始めましょうか」
私は牙を見せながら、にやりと笑った。
「ルールは簡単です。このホテルの周辺を逃げ回ってください。捕まえたら...ふふふ」
「ちょ、冗談じゃない!」
Hは若い女性の手を引いて、ホテルの中へ逃げ込んだ。
私はゆっくりと後を追う。全フロアを使った鬼ごっこの始まりだ。
彼らは必死に逃げ惑い、エレベーターやら非常階段やらを行ったり来たり。時々、他の宿泊客と鉢合わせては慌てふためく。有名俳優が必死の形相で逃げ回る姿は、さぞかし明日のワイドショーを賑わすことだろう。
結局、二時間に及ぶ追跡劇の末、私は彼らを最上階の廊下で追い詰めた。
「さて、つかまえました」
「な、なにをする気だ...」
Hは震える声で言った。私はにっこりと微笑む。
「命までは取りませんよ。ただし...」
私は彼らの首筋に牙を立てた。
「明日から、このホテルのポイントカードは没収です」
「えっ...」
「そして、奥様にも全て話していただきましょうか」
二人の顔が青ざめた。
現代の吸血鬼にとって、ポイントカードの没収と不倫発覚の恐怖は、生命の危機より効果的なのかもしれない。
その夜以来、私の「鬼ごっこ」は、不倫カップルの間で都市伝説となった。
そして私は、新しい趣味を見つけた。血を吸うだけでなく、現代人の「恐怖」を味わうことを。
ポイ活に命を懸ける愚か者たちよ、今宵も私は獲物を探して飛び立つ。
プロンプト
「『不倫野郎を見つけたら、鬼ごっこだ!!!』。場所は東京。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。だが、無差別に誰かを襲っていいわけではない。私も心まで鬼ではない。そのとき、有名俳優のHが若い女と歩いていた。そして、ア○ホテルへ入ろうとしていた。「あの俳優、奥さんでもない女と…不倫か」。私は素早く、彼らの元へ不気味に表れた。「こんな目立つ場所で密会とは、なぜかな」。「ポイントが貯まるから...」。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」