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『吸血鬼に襲われたら、琉球空手をお見舞いしろ!!!』~ 那覇の夜に舞う拳~

 

「鬼ごっこをしようじゃないか」


 月明かりに照らされた路地裏で、西洋紳士の装いをした吸血鬼が私に向かって優雅な会釈をした。その白い歯が月光に反射して不気味に光る。


「はぁ?」


 思わず素っ頓狂な声が出た。確かにこれは昔からある伝統的な吸血鬼の習わしだ。獲物と追いかけっこをして、最後は必ず捕まえて血を啜る。そういう趣味なのだという。


 時計を見る。午前2時。日の出まであと4時間。逃げ切れる自信はない。


 そうだ。ここは沖縄だ。琉球王国の地に、何を甘く見てやってきたのか。私は祖父から受け継いだ琉球空手の構えを取った。


「おや?東洋の武術とやらを?」


 吸血鬼が片眉を上げる。


「私もかつてはイギリス陸軍でボクシングのチャンピオンだったのだが」


「へぇ。でも残念でしたね」


 私は薄く笑う。


「空手に段位なんてないんですよ」


「なに?」


「極意は家系で受け継ぐもの。私の空手は琉球古武術、型にはまらない実戦空手です!」


 吸血鬼は優雅にボクシングのスタンスを取った。


「面白い。東洋と西洋の戦いか」


「いえいえ」


 私は肩をすくめる。


「琉球と吸血鬼の戦いです」


 月下の路地裏で、奇妙な格闘技の試合が始まった。


 吸血鬼の動きは速い。しかし琉球空手は相手の力を利用する武術。彼の繰り出すストレートを受け流し、気功で鍛えた掌底を胸に叩き込む。


「ぐはっ!」


 吸血鬼が後ずさる。


「なかなかやるな!だが―」


 彼は突如、蝙蝠に姿を変えた。空中から奇襲してくる。しかし!


「わぁーい!」


 私は蝙蝠を手で捕まえた。


「むぐぐ!放せ!」


「いやいや、こうなったら秘伝の技ですよ」


 私はポケットからニンニクの粉末を取り出し、蝙蝠の顔面に振りかける。


「はっくしょん!」


 人型に戻った吸血鬼は、くしゃみの連発が止まらない。


「くそっ...まさかニンニクパウダーとは...卑怯な!」


「卑怯?実戦空手に反則なんてないんですよ。型にはまらない、それが琉球空手!」


 私は止めの技、祖父直伝の「ニンニク掌底破り(ニンニクショウテイワリ)」を繰り出した。


 吸血鬼は宙を舞って、ゴミ箱に頭から突っ込んだ。


「ぐぅ...降参だ...」


 ゴミ箱から聞こえてきた声は完全に脱力している。


「琉球空手恐るべし...」


 その時、東の空が白み始めた。吸血鬼は慌てて立ち上がる。


「このようなことがあろうとは...私も勉強になりました。では!」


 そう言って彼は蝙蝠に姿を変え、朝焼けに追われるように飛び去っていった。


 後日、那覇の居酒屋で目撃談が囁かれるようになった。


「最近ね、礼儀正しい外国人の吸血鬼が、空手道場を回って稽古をつけてもらってるって噂よ」


 私は焼き鳥を頬張りながら、静かに微笑んだ。ニンニク醤油をたっぷりとつけて。

プロンプト

「『吸血鬼に襲われたら、琉球空手をお見舞いしろ!!!』。場所は那覇、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。吸血鬼の弱点はいくつもあるが、結局あれしかない。そう琉球空手だ。対する吸血鬼は西洋武術で対抗する。このプロットを元に熱血コメディ短編小説を書きましょう。」

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