『桃太郎 with.ドラキュラ』
昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきました。その桃からは、元気な男の子が生まれ、桃太郎と名付けられました。
桃太郎が成長し、鬼ヶ島の鬼たちが悪さをしているという噂を聞きつけました。「よし!退治しに行こう!」と意気込む桃太郎でしたが、仲間集めは思いのほか難航しました。
「犬さん、一緒に鬼退治に行きませんか?」
「いやぁ、最近の鬼は強すぎて...」
「猿さん、鬼退治に行きませんか?」
「ごめんなさい、家族を養わないと...」
「キジさん、鬼退治に...」
「私、高所恐怖症なんです...」
落胆して夜道を歩く桃太郎の前に、突如として黒いマントの人影が現れました。
「フフフ...仲間が見つからないようですね」
「あなたは...?」
「私はドラキュラ。吸血鬼です。実は鬼ヶ島の連中には私も困っているんです。最近の若い普通の鬼たちときたら、血液型にうるさくて。『A型の生娘じゃないと嫌だ』だの『AB型の擦れた女がいい』だの。おかげで私の狩り場が狭められて...」
桃太郎は目を丸くしました。
「じゃあ、一緒に行きませんか?」
「ええ、喜んで。それに...」
ドラキュラは不敵な笑みを浮かべました。
「私には夜の力がある。あなたには昼の力がある。これは相性がいいと思いませんか?」
こうして、誰も想像しなかった最強コンビが誕生したのです。
鬼ヶ島に向かう船の上、桃太郎は黒い日傘を差すドラキュラに聞きました。
「きびだんごはどうですか?」
「ありがとう。でも私、固形物は...代わりに少しだけ血を分けてもらえませんか?」
「えっ!?」
島に着くと、鬼たちは予想外の組み合わせに度肝を抜かれました。
「なんじゃこりゃあ!?桃太郎に吸血鬼!?」
「血液型なんか気にしてる場合じゃねえ!」
昼は桃太郎が、夜はドラキュラが大活躍。鬼たちは散々な目に遭い、ついに降参しました。
「もう二度と人間界に行きません!」
「血液型なんか気にしません!」
桃太郎とドラキュラは意気揚々と帰路につきました。
「良い旅でしたね」とドラキュラ。
「ええ。でも、これからどうします?」
「私は夜の世界に戻ります。たまには会いに来てください。きびだんごは結構ですが」
それからというもの、満月の夜には桃太郎とドラキュラが村はずれで談笑する姿が見られるようになったとか。
めでたし、めでたし...?
プロンプト
「『桃太郎 with.ドラキュラ』。昔々あるところに、おじいさんとおばあさん以下略。桃太郎は仲間を集めようとするが、みんな鬼にビビって断られる。そのとき、「私が仲間になろう」。夜中に吸血鬼と遭遇した桃太郎。とりあえず、吸血鬼と一緒に鬼ヶ島に鬼退治に行く。このプロットを元にシュールコメディ短編小説を書きましょう。」