『仁義なきドラキュラ派閥闘争』~修羅の国編~
夜の帝王と呼ばれて半世紀。博多の歓楽街で吸血鬼として生きてきた俺様の縄張りに、最近、余計な輩が現れやがった。
「あいつら、マジでやってくれちょるわ」
中洲の高層ビルの屋上から街を見下ろしながら、俺は煙草をふかす。禁煙なんて吸血鬼には関係ねぇ。死なねぇんだから。
下界では、新参者どもが俺の大事なシマを荒らしまくっている。昨日も、常連の「食事処」だった社畜サラリーマンが集まる居酒屋で、勝手に「狩り」をやりやがった。
「俺様の流儀じゃ、一滴も無駄にせず、相手を殺さず、丁寧に頂くもんなんやけどな…」
奴らときたら、血を垂れ流しにして、店内をグチャグチャに。これじゃあ、警察の目も光るってもんよ。
「よっしゃ、これは勝負たい」
俺は立ち上がり、夜風に舞う長いコートをはためかせる。今宵こそ、吸血鬼同士の勝負をつけてやる。でも普通のバトルじゃつまらん。
「博多の夜の帝王たる俺様が、粋なゲームを仕掛けてやろうじゃねぇか」
俺は薄笑いを浮かべながら、携帯を取り出す。SNSで、敵対する吸血鬼たちに連絡を入れた。
『今夜午前2時。中洲一帯で吸血鬼の鬼ごっこ開催。ルールは簡単。俺を捕まえた奴が勝ち。負けた方は、永遠にこの街から消えることに同意するばい』
すぐに挑戦を受けて立つという返信が来た。
「へっ、甘いね。博多の路地裏を知り尽くした俺様に勝てると思っとっと?」
俺は夜空に向かって高らかに笑う。数百年生きてきた吸血鬼としての経験と、地元・博多の街への愛。これこそが俺の武器よ。
「さぁて、ショータイムばい。修羅の国の血闘、開演!」
夜の帝王の背中には、博多の街明かりが輝いていた。この吸血鬼のプライドを守るため、鬼ごっこという名の死闘が、今始まろうとしていた。
◇
午前2時、中洲の街は吸血鬼たちの追いかけっこで混乱の極みに。路地裏を駆け抜け、ビルの屋上を飛び移り、時には繁華街のど真ん中を疾走する。人間たちは「コスプレイベント」だと勘違いして、スマホで撮影までしている始末。
そして午前3時。まさに追い詰められたその瞬間—
「全員、その場で動くな!」
パトカーのサイレンと共に、機動隊が物々しい装備で包囲網を形成。なんと警察の一斉摘発だった。
「任意同行を求める!深夜の繁華街での追跡行為、威力業務妨害、そして...禁煙ビルでの喫煙の疑いで!」
「ちょ、ちょっと待って!」
俺は慌てて弁明する。
「吸血鬼なんですけど!」
「はいはい、みんなそう言います。さぁ、署まで丁寧にお話を伺いましょうか」
こうして、博多の夜の帝王も、新参者の吸血鬼たちも、揃って留置場のお世話になったとさ。
警察署の留置場。鉄格子越しに朝日が差し込む。
「くそぅ...まさか鬼ごっこで捕まるとは」
隣の檻からは、新参者どもの嘆き声が響く。
「次からは...せめて禁煙は守ろうな」
博多の夜の帝王、まさかの行政処分で幕引き…
プロンプト
「『仁義なきドラキュラ派閥闘争』~修羅の国編~。場所は博多。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近べつな吸血鬼たちが現れて俺のシマを荒らしている。「饒舌じゃなねぇが情熱と超絶スキルをもつ俺にケンカを売るとはな」。俺は前人未到の吸血鬼バトルを奴らに仕掛ける。そう、鬼という名の遊びa.k.a鬼ごっこだ。このプロットを元にハードボイルドコメディ短編小説を書きましょう。」
「警察の一斉摘発で検挙されるオチで物語を締めくくってください。」