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『焼き肉屋に襲われたら吸血鬼に助けを求めろ!!!』

 

「はぁ…はぁ…」


 深夜の路地裏を走る私の息遣いが、静寂を破る。後ろから聞こえてくる重い足音が、じわじわと近づいてくる。


「おいおい、そんなに走られちゃ困るなぁ。上等な霜降り肉が台無しになっちまう」


 私の背後から聞こえてきた低い声に、背筋が凍る。


 思えば全ては30分前、夜食を買いに出たことから始まった。確かにちょっとぽっちゃりした私だけど、それを理由に殺されるいわれはない。でも、あの評判の悪い「ジン(じん)焼き肉店」の店主は、私を見るなり異様な目つきで追いかけてきたのだ。


「ちょっとした営業上の秘密なんだがな…」


 男は中華包丁を投げつけながら言う。


「うちの特上カルビを調達するために、帰すわけにはいかねぇ」


 包丁が私の横を掠めて壁に突き刺さる。警察署まではまだ遠い。このままじゃ捕まる…。


 そのとき、目に入ったのは古びた洋館。そう、あの噂の「吸血鬼屋敷」だ。地域では「あそこには本物の吸血鬼が住んでいる」と噂されている場所。正気なら絶対に近づかない場所だ。


 でも今は…。


「いっそのこと!」


 私は洋館の鉄柵を乗り越え、玄関に駆け込んだ。


「おい!そこは…」


 店主の声が遠のく。どうやら彼も近づくことを躊躇しているようだ。


 重厚な扉をノックする私の手が震える。するとゆっくりと扉が開き、端正な顔立ちの青年が現れた。真っ白な肌に、紅い瞳。


「こんな夜分に、どうされました?」


「た、助けてください!あの、焼き肉屋の…」


 青年は状況を理解したのか、にっこりと微笑んだ。その口元から、鋭い牙が覗く。


「まあ、お入りください。人肉を食べるような野蛮な輩は私も好みません…」



 その夜、吸血鬼の屋敷では奇妙な宴が繰り広げられた。


「お肉屋さん、あなたの肉の目利きには感服しますが…」


 吸血鬼は紅茶を啜りながら諭すように店主に語りかける。


「もう少し上品な商売を考えてみては?」


 縛り上げられた店主は震える声で答えた。


「は、はい…これからは普通の牛肉だけを扱います…」


「そうそう、いい卸売業者を紹介しますよ」


 私はポッチャリ体型を気にしながら、差し出されたスコーンを口に運んだ。


 こうして東京の片隅で、人肉焼き肉屋は吸血鬼によって更生させられたのであった。


 その後、例の焼き肉屋の特上カルビは「天使の味」と評判になった。もちろん、今度は本物の牛肉でね。

プロンプト

「『焼き肉屋に襲われたら吸血鬼に助けを求めろ!!!』。場所は東京風変わりな噂が多い場所だ。「あの焼き肉屋の特上カルビは人の肉」とか。「あの薄汚い屋敷は吸血鬼が住んでる」とか。ぽっちゃり私は夜中に大柄な男と遭遇する。「良い肉の付き具合だ」。男は中華包丁を投げてきた。あいにく警察署までは遠い。逃げきれる保証はない。一か八か、結局あそこしかない。そう例の吸血鬼屋敷だ。このプロットを元にシリアスドタバタコメディ短編小説を書きましょう。」

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