『吸血鬼ライブ配信者に出会ったら、警察署に逃げ込め!!!』
「逃げれる?逃げれないよね?」
夜の路地裏で、私は背筋が凍る思いをしていた。目の前には、金髪碧眼の美しい吸血鬼。だが、その手には最新のスマートフォンが握られていた。
「ちょっと待って!配信の準備するから!」
吸血鬼は慌ただしくスマホを操作し始めた。私は呆気に取られた。
「えっと…みんな今晩は〜!吸血鬼のヨウコだよ〜!今日は特別企画!人間さんと鬼ごっこしちゃいます♪」
吸血鬼は自撮りモードで画面に映る自分の姿を確認しながら、甘い声でお喋りを始めた。
「今フォロワー99万人なの!この配信で100万人いっちゃうかも!?みんな、応援よろしく〜!」
私は頭を抱えた。なんだこの状況は。確かに吸血鬼は強い。だが、弱点もある。日光だ。朝まで逃げ切れれば…。
「あ、コメント来た!『BGMは?』そうだよね〜。じゃあ、チェイスシーン定番の…」
吸血鬼は配信の演出に没頭していた。そこで私は閃いた。インフルエンサーの弱点。それは…。
「警察署まで逃げればいい」
SNSで影響力のある存在ほど、炎上を恐れる。特に警察沙汰となれば、スポンサー契約にも影響が…。
私は全力で走り出した。後ろから吸血鬼の声が聞こえる。
「あ!逃げ始めました!みんな、どっちに追いかければいいと思う?コメントで教えてね!」
交差点を右に曲がり、まっすぐ進む。あと少しで警察署だ。
「待って〜!『左に曲がれ』ってコメント来たから、左に…あれ?」
吸血鬼は視聴者のコメント通りに左折してしまった。これが私のチャンスだ。
警察署に飛び込む。当直の警官が驚いた顔をする。
「す、すみません!吸血鬼に追われていて…!」
その瞬間、スマホを持った吸血鬼が扉の前で立ち止まった。
「あ…警察署…」
吸血鬼の顔が青ざめる。いや、元から青白かったか。
「み、みんな!今日の配信はここまで!また明日…」
慌てて配信を終了する吸血鬼。警官が不審な目で外を見るが、吸血鬼の姿はすでになかった。
後日、某有名インフルエンサーが突然の引退を表明したという。引退理由は「深夜の徘徊配信における様々な問題を真摯に受け止めて」とのことだった。
警察署。それは現代の吸血鬼にとって、日光よりも恐ろしい存在なのかもしれない。
プロンプト
「場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。「ちょっと逃げる前にライブ配信始めるから」。吸血鬼はスマートフォンと自撮りで配信を始めた。「もう少しで100万人!」。吸血鬼は勝手に盛り上がっていた。インフルエンサーの弱点はいくつもあるが、結局あそこしかない。そう警察署だ。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」