表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
304/601

『吸血鬼になったら、承認欲求を解放しろ!!』


「これ、絶対にあのアニメの仮面だよね」


 私は手に持った石仮面をじっくりと眺めた。確かに、あの有名な作品に出てくるものにそっくりだ。知人の古物商が見せてくれたこの仮面は、どこか妖しい魅力を放っていた。


「まあ、レプリカにしては出来が良すぎるけど」


 コミケ通いが趣味の私にとって、これは見逃せないアイテムだった。値段も手頃だし、部屋に飾っておけば話のネタにもなる。


 その夜、私は仮面を手に取り、鏡の前に立った。


「ちょっと着けてみようかな…」


 仮面を顔に当てた瞬間、激しい痛みが全身を貫いた。


「WRYYYYYY!!!」


 思わず奇声を上げる。身体の奥底から未知の力が湧き上がってくる。鏡に映る自分の姿は、見る見るうちに変貌していった。漆黒の髪は金色に輝き、肌は陶器のように白く、瞳は血のように赤く…そして、口の端からは鋭い牙が覗いていた。


「まさか…本物だったの!?」


 パニックになりかけた私だったが、ふと思いついた。


「これ、バズるんじゃない?」


 SNSの住人である私の脳裏に、とっさにハッシュタグが浮かぶ。

 #突然吸血鬼になってみた #闇の貴族 #豹変


「よし、とりあえず盛れる角度で…」


 スマホを取り出し、バンパイアポーズを決める。フィルターはナチュラルに。キャプションは「突然闇の貴族になりました。とりま、いいね待ってます(⋈◍>◡<◍)。✧♡」


 投稿から3分。

 いいね数が100を超えた。

 10分後には1000を突破。

 1時間後、フォロワーは10万人を超えていた。


「バズったー!でも…お腹すいたなぁ」


 トレンド入りに興奮する私の腹から、グ〜という音が。今や吸血鬼となった私の栄養源は…


「コンビニの豚血って売り切れてないかな…」


 真夜中のコンビニに向かいながら、私は次の投稿プランを考えていた。

 #初めての狩り #実は豚血 #吸血鬼の日常


 これが私、井ノ川洋子の新しい生活の始まりだった。

 SNSフォロワー100万人突破まで、あと少し。

プロンプト

「場所は東京。私は井ノ川洋子。コミケ参加が趣味の小金持ち。知人からある石仮面を見せられる。「これってあのアニメのあの仮面っぽくない」。私は興味本位で買って、夜それを着けた。その瞬間、「WRYY!!!」。身体の底から力が湧き上がる。気が付くと、色白で牙の生えた赤目…まさに吸血鬼になっていた。「と…とりあえずSNSにアップするか」。承認欲求の集合体であるネット民なので、冷静にネットにポーズを取った自撮りをアップした。まさかの万バズり。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ