『吸血鬼になったら、承認欲求を解放しろ!!』
「これ、絶対にあのアニメの仮面だよね」
私は手に持った石仮面をじっくりと眺めた。確かに、あの有名な作品に出てくるものにそっくりだ。知人の古物商が見せてくれたこの仮面は、どこか妖しい魅力を放っていた。
「まあ、レプリカにしては出来が良すぎるけど」
コミケ通いが趣味の私にとって、これは見逃せないアイテムだった。値段も手頃だし、部屋に飾っておけば話のネタにもなる。
その夜、私は仮面を手に取り、鏡の前に立った。
「ちょっと着けてみようかな…」
仮面を顔に当てた瞬間、激しい痛みが全身を貫いた。
「WRYYYYYY!!!」
思わず奇声を上げる。身体の奥底から未知の力が湧き上がってくる。鏡に映る自分の姿は、見る見るうちに変貌していった。漆黒の髪は金色に輝き、肌は陶器のように白く、瞳は血のように赤く…そして、口の端からは鋭い牙が覗いていた。
「まさか…本物だったの!?」
パニックになりかけた私だったが、ふと思いついた。
「これ、バズるんじゃない?」
SNSの住人である私の脳裏に、とっさにハッシュタグが浮かぶ。
#突然吸血鬼になってみた #闇の貴族 #豹変
「よし、とりあえず盛れる角度で…」
スマホを取り出し、バンパイアポーズを決める。フィルターはナチュラルに。キャプションは「突然闇の貴族になりました。とりま、いいね待ってます(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
投稿から3分。
いいね数が100を超えた。
10分後には1000を突破。
1時間後、フォロワーは10万人を超えていた。
「バズったー!でも…お腹すいたなぁ」
トレンド入りに興奮する私の腹から、グ〜という音が。今や吸血鬼となった私の栄養源は…
「コンビニの豚血って売り切れてないかな…」
真夜中のコンビニに向かいながら、私は次の投稿プランを考えていた。
#初めての狩り #実は豚血 #吸血鬼の日常
これが私、井ノ川洋子の新しい生活の始まりだった。
SNSフォロワー100万人突破まで、あと少し。
プロンプト
「場所は東京。私は井ノ川洋子。コミケ参加が趣味の小金持ち。知人からある石仮面を見せられる。「これってあのアニメのあの仮面っぽくない」。私は興味本位で買って、夜それを着けた。その瞬間、「WRYY!!!」。身体の底から力が湧き上がる。気が付くと、色白で牙の生えた赤目…まさに吸血鬼になっていた。「と…とりあえずSNSにアップするか」。承認欲求の集合体であるネット民なので、冷静にネットにポーズを取った自撮りをアップした。まさかの万バズり。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」