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『ドラキュラ逃走中』

 

 私は暗闇の中、銀座の街を歩いていた。永遠の命を持つ吸血鬼として、数百年もの間、人間の生き血を糧としてきた。しかし最近では、その日常に退屈さを感じ始めていた。


「不死とはいえ、このままでは脳が錆びついてしまう」


 年末の東京。きらびやかなイルミネーションが街を彩る中、私は新たな娯楽を求めていた。そうだ、単に血を吸うだけでなく、もっと面白いことができるはずだ。


 歌舞伎町で、一人の若い女性を見つけた私は、上品な微笑みを浮かべながら声をかけた。


「お嬢さん、私と鬼ごっこはどうかな?逃げられたら命は助けてあげよう」


 女性は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに不敵な笑みを浮かべた。


「吸血鬼発見!位置、歌舞伎町交差点!」


 その瞬間、空から無数のドローンが現れ、まぶしいサーチライトが私を照らし出した。大型ビジョンには「緊急速報:伝説の吸血鬼、新宿に出現!」という文字が踊る。


「な、なんだこれは!?」


「今夜の『ドラキュラ逃走中』へようこそ!」スピーカーから陽気なMCの声が響き渡る。


「視聴者の皆様、お待たせしました。年末恒例、都市型サバイバルゲームの始まりです!」


 私の周りには既に数十人のハンターたちが集まっていた。全員がスマートフォンを手に持ち、私の動きを実況中継している。


「これは...まさか」


「そうです!今夜のターゲットはあなた。現代のハンターたちから逃げ切れるかな?」


 MCが楽しそうに説明を続ける。


「賞金は1億円!制限時間は午前0時まで。吸血鬼を捕まえた人には、賞金に加えて特別賞として永遠の若さをプレゼント!」


 私は思わず苦笑した。確かに刺激は欲しかった。だが、まさかこんな形で叶うとは。


「面白い...」私は口元を歪めながら呟いた。


「では、パーティの始まりだ」


 そう言って私が暗闇に姿を消すと、ドローンの群れと大勢のハンターたちが一斉に追跡を開始した。新宿の街は突如として、最新技術を駆使した吸血鬼ハントの舞台と化した。


 真夜中の東京で、現代のハンターたちとの追いかけっこ。退屈しのぎには、これ以上ないエンターテインメントかもしれない。


「では、誰が最後に笑えるか...楽しませてもらおうか」


 私の声が夜空に消えると、都会の喧騒に紛れて、新たな年末の伝説が始まろうとしていた。


「では、誰が最後に笑えるか...楽しませてもらおうか」


 私の声が夜空に消えると、都会の喧騒に紛れて、新たな年末の伝説が始まろうとしていた。


 追う者、追われる者。この即席の劇場は、深夜の東京を舞台に、予想外の展開を見せることになる。


 新宿から逃げ出した私は、地下鉄を使って渋谷へ。防犯カメラの映像は瞬時にSNSで拡散され、私の動きは筒抜けだった。現代の技術には、さすがの私も手を焼く。


「おや、渋谷のスクランブル交差点に到着!」MCの声が響く。


「このままカウントダウンまで逃げ切れるか!?」


 と、その時だ。


「見つけた!」


 背後から冷たい声が聞こえた。振り返ると、黒衣の少女。手には不思議な形の十字架。それは現代科学と古の魔術を組み合わせた特殊な装置だった。


「私は、吸血鬼ハンターの末裔。あなたを待っていました」


「ふっ...見事だ。だが、時間切れだ」


 私はガッツポーズをとった。周囲からは歓声が上がる。


「すげえええええ!」


 勝利に沸く群衆。カメラマンのフラッシュが瞬く。MCが駆け寄ってくる。


「おめでとうございます!これにて賞金1億円の権利を獲得!そして約束の永遠の若さを...って、あれ?」


 私は軽く肩をすくめ、艶のある声で告げた。


「永遠の若さ?私自身、もらっているものですから」


「え?」


 私はゆっくりと口を開き、鋭い牙を見せた。スタジオは静まり返る。


「ま、まさか本物...?」


「では、良い年を」


 私は薄く笑みを浮かべると、霧となって消え失せた。後には茫然とする制作スタッフと、歴史的瞬間を収めた無数のスマートフォンの映像だけが残された。


 翌日のニュース各社の報道は軒並み、「年末特番で前代未聞の事態」「本物の吸血鬼が出演か」「都市伝説は実在した」と大騒ぎとなった。


 私は高層ビルの屋上で、夜明けを待ちながら独り言を呟く。


「今度は私が探す番かな。あの少女、始末しないとな」


 東京の夜が明けようとしていた。新しい年の始まりと共に、現代のハンターと吸血鬼の新たな物語の幕が上がろうとしていた。

「ドラキュラ逃走中」。場所は年末の東京。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。「不死とはいえ、刺激がなければ呆けてしまう」。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。私は人間を見つけて声をかける。「お嬢さん、私と鬼ごっこはどうかな?」。「吸血鬼発見!」。その瞬間、無数のドローンが現れる。「パーティナイトの始まりだ!サーチライトをつけろ」。どうやら、年末の鬼ごっこTVショーらしい。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。

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