『夜のカンピオーネと干ぴょうディス』
2045年、東京。
霧に包まれた夜の街を、私は全力で走っていた。背後から聞こえる不気味な笑い声に、背筋が凍る。
「逃げろ逃げろ〜。君が逃げれば逃げるほど、僕の獲物欲が高まるんだ〜」
振り返ると、月明かりに照らされた白髪で細身の美青年。その唇から覗く鋭い犬歯が、彼の正体を物語っていた。吸血鬼だ。
「ねぇ、鬼ごっこしようよ。君が逃げて、僕が追いかける。簡単でしょ?」
彼の提案に、私は思わず「はぁ?」と声を上げた。こんな状況で鬼ごっこって…。でも、考えてみれば悪くない。時間を稼げるかもしれない。
「わかった。やろう」
私の返事に、吸血鬼は満面の笑みを浮かべた。その瞬間、私は全力で走り出した。
頭の中で様々な逃げ場所を探る。地下鉄?ダメだ、夜は閉まっている。高層ビル?いや、屋上まで追いつめられたら終わりだ。
そうだ、海だ!
私は友人のガチムチ漁師、タケシの船を思い出した。彼なら、きっと助けてくれるはずだ。
「タケシ!」私は叫んだ。
「出港してくれ!急いで!」
幸い、タケシの船は港に停泊していた。彼は状況を察したのか、すぐにエンジンをかけた。
私は最後の力を振り絞って桟橋を駆け、飛び乗った。
「うわっ!」
タケシが驚きの声を上げる。
「お前、何かヤバイのに追われてんのか?」
「まあね」私は息を切らしながら答えた。
「ちょっと夜の帝王様がご立腹でね」
タケシは目を丸くした。
「夜の帝王?まさか…」
その時、桟橋に優雅に降り立つ銀髪の美青年。彼は私たちを見つめ、にやりと笑った。
「ここまでか。さて、どうする?」
私は深呼吸をした。ここが勝負だ。
「おい、お前!」私は叫んだ。
「夜のカンピオーネ(王者)。よく見たら干ぴょうみてぇ!」
吸血鬼の表情が凍りついた。
「な…何だと?」
調子づいた私は続けた。
「夜の帝王様。酔うと低能?」
「貴様ァ!」
怒り狂った吸血鬼が海に飛び込もうとした瞬間、彼の体が光り始めた。
「あ、あれ?なんで…」
彼の声が消えていく。体が蒸発するように消えていった。
静寂が訪れた。
「お、おい」タケシが震える声で言った。
「アイツ、マジで吸血鬼だったのか?」
私はため息をついた。
「ああ。でも、こんなバカな吸血鬼は初めてだよ」
タケシは大笑いした。
「お前、命懸けのディスバトルだったな!」
私も笑った。
「まあ。でも、干ぴょうディスは効きすぎたかな」
その夜、私たちは朝日が昇るまで、海の上で笑い続けた。
時々、夜の街を見つめながら、あの吸血鬼は今どうしているのかと考える。
もしかしたら、どこかで「干ぴょう」という言葉にトラウマを抱えているのかもしれない。
プロンプト
「場所は近未来の東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。とりあえず、友達の漁師の船に乗って海から岸にいる吸血鬼をディスする。「お前、夜のカンピオーネ(王者)。よく見たら干ぴょうみてぇ」「夜の帝王。血に酔ったら低能」。怒った吸血鬼は海に入ろうとして消滅する。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」