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『ファッションセンターきゅうけつむら』

 

「お嬢さん、私と鬼ごっこはどうかな?」


 その瞬間、渋谷の雑踏が一瞬静まり返った。長身の女性が私を上から下まで値踏みするように眺め、一言。


「ダサ!」


 その言葉は、300年前に刺された銀の鋭い短剣よりも痛かった。周りから聞こえてくる忍び笑い。スマートフォンのカメラを向けられる音。私は暗い路地裏へと逃げ込んだ。


 吸血鬼だって、プライドがある。いや、むしろ持ち過ぎている。夜の帝王たる私が、21世紀の若者にダサいと言われるとは。確かに、この黒マントと白いフリル付きシャツの組み合わせは、先代から受け継いだ由緒正しい装いなのだが…。


 そんな時、目に入った看板。


『ファッションセンターきゅうけつむら』


「まさか…」


 店内に入ると、真っ赤な壁紙に黒のシャンデリア。棺桶型の試着室。意外とセンスが良い。


「お客さま~ん♪」


 突如現れたオネエ系店員に私は驚いて天井にへばりついた。


「あら、察しましたわ。あなた、ブルべ冬の骨格ストレート吸血鬼ね?」


「え?」


「その青白い顔色と、すらっとした体型。でも、そのマントじゃモテないわよ!」


 私は静かに天井から降りた。確かに、最近の獲物たちは逃げ惑う前に笑っている。このままでは夜の帝王としての威厳が…。


「お任せあれ!今夜から、あなたはトレンド吸血鬼よ!」


 次の晩。


 私は黒のレザージャケットに、細身のパンツ。首元にはさりげないシルバー風の銀メッキチェーン。


「お嬢さん、私と鬼ごっこはどうかな?」


「まじ、やばくない?インスタ映えする吸血鬼じゃん!」


 若い女性たちが群がってきた。スマートフォンのフラッシュが瞬く。


 私は内心、深いため息をつく。こうして夜の帝王は、SNSのインフルエンサーへの道を歩み始めたのだった。


 パーソナルカラー診断に行った帰り、私は空を見上げた。先代よ、申し訳ない。でも、時代は変わったのだ。


 そう、吸血鬼だって、トレンドには逆らえない。


「#ナイトスタイル #吸血鬼コーデ #渋谷の夜」


 完璧な投稿文を考えながら、私は今宵も獲物フォローを探しに行く。ただし、今度は撮影用の照明も忘れずに。

プロンプト

「場所は東京。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。私は長身の女を見つけて声をかける。「お嬢さん、私と鬼ごっこはどうかな?」。「ダサ!」。女の一言に私はショックを受けた。そして、近くの人々がくすくすと笑っている。私は足早に裏道へ逃げる。そのとき、吸血鬼専門貸衣装屋『ファッションセンターきゅうけつ』。私はその店に入る。いろいろな服がある。迷っているとオネエっぽい店員が話しかけてきた。「お客さん、もしかしてブルべ冬の骨格ストレート吸血鬼ね」。(これで私もファッションリーダーなのか…)。このプロットを元にシニカルシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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