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『座敷牢ドラキュラ』

 

「何があっても地下におりてはならん」


 叔父の厳しい警告が頭の中でリピートする。でも、それって逆に気になるじゃない?私、井ノ川洋子は、スマホをライトがわりに階段を一歩一歩降りていった。


 町田の閑静な住宅街。叔父の家は外見は普通の一軒家だけど、なんか違和感があった。玄関には妙にごつい南京錠がかかってるし、窓には厳重な鉄格子。防犯対策にしては大げさすぎる。


「た、助けてくれ~」


 かすれた声が聞こえる。地下室のドアの向こうから。


「誰かいるんですか?」


「お、お嬢さん...私を解放してくれないか...」


 声の主は座敷牢の隅で縮こまっていた。色白というか真っ白な肌。血走った赤い目。そして...干からびかけている?


「私は...かつて恐れられた吸血鬼...」


「ドラキュラ...様?」思わず敬語が出た。


「いや、ドラキュラは遠い親戚。私は山田吸血鬼」


 なんという残念な名前。


「実は300年前、欧州から日本に観光に来たんだが...このお宅の先祖に封印されてしまって...」


 山田吸血鬼は涙ながらに説明した。どうやら江戸時代、私の先祖が陰陽師で、観光中の彼を封印。以来、代々この家の地下で「お守り」として飼われているらしい。


「お願いです!解放してください!もう人の血なんて吸いません!最近は代用血液で充分なんです!」


 哀れな吸血鬼の懇願(こんがん)。でも...


「それって、叔父さんの家の『お守り』を勝手に解放するってやばくないですか?」


「えっ」


「だって、先祖代々の大切な『お守り』じゃないですか。解放しちゃったら、私、親戚付き合いどうなるんだろ...」


 吸血鬼は絶望的な表情を浮かべた。


「そ、そうか...現代の若者は現実的なんだな...」


「あ、そうだ。Instagramのフォロワー増やすの、協力してくれます?」


「はぁ?」


「だって、本物の吸血鬼との自撮りとか、バズりそうじゃないですか?」


「(コイツ俺の話聞いてねえな)そんな...私は恐れられた吸血鬼なのに...」


「もう2024年ですよ?インフルエンサーになれば、お金も名声も手に入りますよ?」


 吸血鬼は深いため息をついた。


「現代の若者は...本当に恐ろしい...」


 その日から、山田吸血鬼はインスタグラマーとしての第二の人生を歩み始めた。もちろん、座敷牢の中から。#ZashikiroVampire #町田の吸血鬼 #令和のドラキュラ


 ...そして私のフォロワーは確実に増えている。

プロンプト

「『座敷牢ドラキュラ』。場所は東京と神奈川の間たぶん東京つまり町田。私は井ノ川洋子。今日は叔父の家に来た。「何があっても地下におりてはならん」。そう言われたが、好奇心が買って叔父が外出した隙に鍵を開けて地下に降りる。そこは座敷牢になっていた。「助けてくれ~」。なんとそこには色白で目が赤い…干からびかけている吸血鬼がいた。その吸血鬼は私にお涙頂戴で出してくれと懇願する。このプロットを元にシニカルホラーコメディ短編小説を書きましょう。」

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