『どこでもドラキュラ』
東京の夜は、いつもより濃い闇に包まれていた。
「おい、きみ!鬼ごっこしよう」
振り返ると、そこには見たこともない奇妙な男が立っていた。長い黒髪、蒼白い肌、そして鋭い犬歯。間違いなく、吸血鬼だ。
「ぼくの名前は銅鑼座衛門。さあ、逃げろ!」
私は全力で走り出した。頭の中では、吸血鬼の弱点である日光のことしか考えられなかった。
「朝まで逃げ切れば勝てる。でも、それまで持つかな...」
最初に飛び込んだのは、24時間営業のコンビニ。店内を駆け抜けると、レジカウンターの向こうで銅鑼座衛門が不敵な笑みを浮かべていた。
「ウフフフ、いらっしゃいませ〜」
慌てて外に飛び出す。次に入ったのは、近くの公衆トイレ。扉を開けると、そこにも奴がいた。
「よう、用足せる?」
「くそっ!」
私は夜の街を必死で駆け抜けた。キャバクラに逃げ込んでも、キャストに扮した銅鑼座衛門が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ、お兄さん。シャンパン開けちゃう?」
最後の望みを託して、ネットカフェに逃げ込む。受付で会員カードを差し出すと、そこにいたのは...
「はい、こちらお客様の部屋になります」
案内された個室のドアを開けると、そこには銅鑼座衛門が待っていた。ブースから顔を出し、にやりと笑う。
「どこでも銅鑼♪」
「もう、どこに行っても無駄なのか...」
絶望的な気分で外に出ると、東の空が薄っすらと明るくなり始めていた。
「あ、もうこんな時間か」
銅鑼座衛門の声が背後から聞こえる。振り返ると、彼は日傘を差していた。
「おっと、日が昇った。今日のところは勘弁してあげるよ。でも覚えといて。ぼくは、どこにでもいるんだから!」
そう言い残すと、銅鑼座衛門は立ち去った。
私は疲れ果てた体を引きずりながら、家路につく。
「まったく、どこにでもいるドラキュラか...」
そう呟きながら歩いていると、ふと気づいた。ポケットの中から、見覚えのない名刺が出てきたのだ。
『どこでもドラキュラ株式会社 代表取締役社長 銅鑼座衛門』
私は思わず苦笑いを浮かべた。
プロンプト
「『どこでもドラキュラ』。場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は銅鑼座衛門と名乗った。私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。私は必死で逃げる。コンビニ。トイレ。キャバクラ。果てはネットカフェまで。しかし行く先々でドラキュラが先回りしていた。「くそ!どこでもいる」。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」