表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
256/601

『白と黒』

 

 東京の夜は、いつもより深く、暗く感じた。


 私は息を切らせながら、薄暗い路地を駆け抜けていた。背後から聞こえてくる軽やかな足音に、背筋が凍る。


「おや、もう疲れてしまったのかな?」甘ったるい声が闇に響く。


「まだ夜は長いよ。たっぷり遊ぼうじゃないか」


 振り返ると、月明かりに照らされた色白の吸血鬼が、にやりと笑っていた。


「くそっ」私は舌打ちしながら、再び走り出す。


 頭の中で必死に考えを巡らせる。吸血鬼の弱点は日光だ。朝まで逃げ切れば勝てる。でも、あと何時間ある? 逃げ切れる自信はない。


 そうだ、人混みに紛れ込めば…と思った瞬間、


「おいおい、ちょっと待てよ。俺がそいつを狙っていたんだ」


 低く、どこか怒りを含んだ声が聞こえた。


 振り向くと、そこには…色黒の吸血鬼がいた。いや、色黒どころではない。真っ黒と言っていいほどの肌の色だ。


「え?」思わず声が漏れる。


 色白の吸血鬼も驚いたように立ち止まった。


「お前…吸血鬼なのか?色黒…」色白が尋ねる。


「当たり前だろ。これは生まれつきだ。お前は人種差別主義者(レイシスト)か」色黒が答える。


「俺は高貴な吸血鬼だ!戸惑っているだけだ!」


「お前、そんな色白で大丈夫か?日焼けしないのか?」


「失礼な!これぞ高貴な吸血鬼の証だ。日焼けしたら死んでしまう!!!」色白が反論する。


 私は呆然と二人のやり取りを眺めていた。まさか、吸血鬼にも色の濃さで差別があるとは。


「おい、人間」色黒が私に向かって言う。


「お前、どっちがカッコいいと思う?」


「え?あ、その…」私は困惑しながら答える。


「個性的で…どちらも素敵だと思います」


「なんだと?」二人の吸血鬼が同時に叫ぶ。


「いや、だって」私は必死に言葉を探す。


「白黒つけがたいというか…」


 その瞬間、東の空が薄明るくなり始めた。


「おっと」色白が慌てて言う。


「もう朝か。今日のところは勘弁してやる」


「ちっ」色黒も悔しそうに舌打ちする。


「次は俺が先に見つけてやる」


 二人の吸血鬼は、まるで競争でもするかのように、それぞれ闇の中へと消えていった。


 私はその場に立ち尽くしたまま、夜が明けていくのを見つめていた。


「吸血鬼って…意外と人間っぽいな」と呟きながら、家路につく私。


 これからは、夜道を歩くとき、闇の中だけでなく、明るい場所にも気をつけなければいけないな…そんなことを考えながら。

プロンプト

「『白と黒』。場所は東京、夜中に吸血鬼と遭遇した私。吸血鬼は私に対して鬼ごっこを提案する。私は夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。吸血鬼の弱点は日光。朝まで逃げれば勝てる。しかし、逃げきれる保証はない。それにしても吸血鬼って色白だな。「おいおい、ちょっと待て俺がそいつを狙っていたんだ」。振り向くと、色黒の吸血鬼がいた。松崎しげるさん並みに色黒な吸血鬼。不覚にも夜の闇に溶け込んでいて気がつかなかった。「吸血鬼でも色黒はいるんだな…」このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ