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『オラオラ系吸血鬼』

 

「オラ、東京さ、行く!」


 オラ、吸血鬼のタローは、両親に向かって吠えた。夜の帝王であるオラが、なぜこんな田舎に留まらなきゃいけねぇんだ。


「タロー、やめとけ。東京は危険だ」


 親父の言葉なんざ耳に入らねぇ。この村じゃ、もう食い扶持もねぇんだ。昔は良かった。毎晩、新鮮な生き血を堪能できたもんだ。だが今じゃ、過疎化で人の数が減って、残ってんのはジジイとババアばっかりだ。あんなカピカピの血なんざ、オラの舌が泣くってもんだ。


「行ってくる。東京で一旗揚げてやる」


 そう言い残して、オラは飛び立った。夜空を舞う姿は、さぞかし美しかったことだろう。


 東京に着いた途端、オラは戸惑った。ビルの林立する街並みに、ひしめき合う人々。そして、あの忌々しい明かり。街中が眩しすぎて、目が痛ぇ。


「おい、そこのお前!血ぃ吸わせろ!」


 オラが声をかけた女は、悲鳴を上げて逃げていった。なんだぁ?田舎じゃ、みんな喜んで首を差し出したもんだぞ。


 駅に向かおうとしたら、改札で止められた。


「Suicaをタッチしてください」


「Suicaってなんだぁ? 吸うか? オラが吸い取ってやるよ」


 警備員に怪訝な目で見られた。仕方なく、現金で切符を買おうとしたが、なんと高いこと。田舎の物価とは大違いだ。


 街を歩けば、至る所に防犯カメラが。これじゃあ、こっそり血を吸うこともままならねぇ。


 そして、驚いたのが人間どもの無関心さだ。田舎なら、見知らぬ顔なんて珍しくて、すぐに話しかけられたもんだ。ここじゃ、誰も振り向きもしねぇ。


「くそっ、田舎が恋しくなってきやがった」


 東京の夜空を見上げて、オラは溜め息をついた。星一つ見えねぇじゃねぇか。


 結局、オラは尻尾を巻いて実家に戻ることにした。東京の血なんざ、添加物まみれで美味くもねぇ。


「ただいま」


 玄関を開けると、両親が待っていた。


「おかえり、タロー。もう出ていかないでくれ」


 親父の目に、涙が光っていた。


「分かったよ。田舎の方が、オラには合ってるみてぇだ」


 そう言って、オラは笑った。夜の帝王は、やっぱり自分の城に帰ってきたのさ。


 これからは、若い衆を呼び込んで、田舎を活性化させるのがオラの仕事だ。吸血鬼だって、時代に合わせて生きていかなきゃならねぇんだからよ。

プロンプト

「タイトル『オラオラ系吸血鬼』。「オラ、東京さ、行く!」。場所は地方の田舎。おらは吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、田舎は過疎化してきて人もいなくなった。食い扶持を探すためにおらは両親の反対を押し切って東京に行く。しかし、田舎とは違う生活に戸惑う。「Suicaってなんだぁ」。電子マネーや物価の高さに癖癖する。そして、防犯カメラの多さ。「田舎が恋しい」。このプロットを元にシリアスシニカルコメディ短編小説を書きましょう。」

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